BLOG

【対談イベント】お気に入りを楽しむ!FREAK’S STOREとLenetによる新しいEC体験

これからは「服屋」以上の価値を作る時代

2017年11月22日 16時54分 JST | 更新 2017年11月22日 16時54分 JST
中島のりゆき

2017年10月30日、デイトナ・インターナショナル FREAK'S STORE事業部 Eコマース部部長の小林昌樹さんと、メガネスーパー デジタル・コマースグループ ジェネラルマネジャーの川添隆さんをお迎えして、「お気に入りを今ほしい、ずっと着たいを叶える顧客体験 〜FREAK'S STOREとLenetが行う新しいオムニ販促のカタチ」 をテーマにトークセッションを開催しました。その模様をご紹介します。

中島のりゆき

フリークスストアとリネットは2017年7月1日〜8月31日の間、「FREAK'S STORE ONLINE」にてキャンペーン「FUN MY STYLE〜お気に入りを楽しもう〜」を実施しました。

期間中に指定の新作アウターをご購入いただいたお客様に、フリークスストアの店頭・ECで使えるFREAK'S POINT10% 還元に加えて、リネットのプロが一点ずつ手仕上げするワンランク上のケア「デラックス仕上げ」50%OFFを含む2,000円分のアフターケアチケットをプレゼントしました。

お気に入りを見つけるだけではなく、適切なケアを行うことでお気に入りを長く楽しむご提案をリネットがお手伝いし、お客様のニーズに応えることで、対象商品の受注が前年比850%を達成し、売り上げに貢献しました。

アウター受注前年比850%を達成したワケとは?

弊社・中島規之(以下、中島) まず、キャンペーンについて小林さんにお伺いしたいと思います。これを始めるにあたって、成功する確信はありましたか。

小林昌樹氏(以下、小林) 成功する確信はありました。ただ、どのくらい実際に売れるかはわかりませんでしたね。というのも、対象アウターのECシェアが非常に低かったので、どれほど需要があるか予測しにくいところがありました。

中島 なるほど。そもそもなぜ協業相手にリネットを選んでいただいたのでしょうか。

小林 私自身がヘビーユーザーで、リネットの品質の高さを感じていました。私たちの顧客は、若年層も増えているものの30代が中心で、男女比率は1:1。この世代は普段からクリーニングを利用される方が多く、リネットのサービスを知ることで、より生活が豊かになるのではと思ったのがきっかけです。

中島 キャンペーンでは、自社ECでの対象アウターの受注が前年比850%になりました。ここまで成功した要因は何でしょうか。

小林 1番は自社の「FREAK'S POINT」10%還元を実施したことだと思います。さらに協賛があって、販促をかけやすくなったことも要因だと考えています。

セール時期のトップバナーをアウターに。踏み込んだ決断で成功

FREAK'S STORE

中島 川添さんは、このキャンペーンについてどのように感じますか。

川添隆氏(以下、川添) そうですね、個人的にはキャンペーン時の自社ECでのクリエイティブについてお伺いしたいです。

小林 キャンペーンを始めたのが、ちょうどセール時期でした。セールだとなかなか利益が出ないので、自社ECのトップバナーは対象アウターにしました。

川添 おお!夏のセール時期にアウターというのは振り切りましたね。 小林 その時期はセールの目的買いがあったので、そこでの売り上げも取りつつ、アウターのおかげで粗利もいい状態になりました。

川添 セールの売り上げは減らさずに、アウターをプラスしたということでしょうか。

小林 そうですね。

川添 セール時期のトップバナーをアウターにすることについては、社内で問題ありませんでしたか。

小林 自由な社風なので、そこは問題ありませんでしたね(笑)。社内のECメンバーも「やってみよう」という雰囲気でした。

川添 セール時期ならセールのバナーを出すと思うので、その判断はすごいですね。「セールの売り上げが減らないだろう」という仮説のもとに、来訪者に対して100%伝えるために、そこまで踏み込んだことが、キャンペーンの成功に寄与しているのだと思います。

小林 ただ、自社ECの売り上げ自体がまだそこまで高くないので、リスクを取らずにチャレンジできたということも事実です。

「ファンを作るため」の自社EC

中島 昨今、各社が自社ECに力を入れていると思います。このような背景について、川添さんに教えていただければと思います。

川添 教える立場でもないと思いますが(笑)、やはり「ZOZOTOWN」への依存を危惧していることが大きいと思います。かといって、私はZOZOから脱却する必要もないと思っています。 自社ECで一本立ちするというのは事業戦略上、リスキーなポートフォリオになってしまうので、一定規模のアパレル企業だったらオススメしません。自社ECには顧客がついているので、事業全体の売り上げが減ったとしても、自社ECの売り上げは緩やかに下がっていきます。

これがモールの場合だと、明らかに激減します。ファションビル、駅ビルに実店舗を出店されている方はわかると思いますが、フロアには回遊層がいて、そういったお客様がブランドの新規になったりします。もちろん、店前の通行量もある。顧客がついてくると自社ECは強い店舗になるものの、在庫を捌きたいときにはモールECの販売力が必要になってきます。なので、個人的にはモールECも自社ECも両方必要だとは思います。

また、そもそも「なぜ自社ECをやるのか」ということを考える必要があります。私は前職の時、自社ECの顧客に話を聞いたことがあるんですが、「他のブランドの商品が出てきて、モールECは探しにくい」と言われました。もし、ブランド指名がないようなブランドはモールECに依存していいですが、ファンを作りたいのであれば、セグメントされたサイトが必要です。顧客にとっては、そもそもセグメントされた自社ECの方が買いやすいということもあるので、そこに注力するのは自然な流れだと思います。

中島のりゆき

これからは「服屋」以上の価値を作る時代

中島 ZOZOTOWNさんやモールECをやめる必要はないけれど、自社EC化はファンを作る上で重要ということですね。川添さんは、先日のイベントで「ウェブ接客」について触れられていましたが、今注目している事例などはありますか。

川添 ウェブ接客とオムニチャネルは近い関係だと思っています。

例えばアダストリアの場合は、"商品画像"もウェブ接客だと捉えています。「ローリーズファーム」だと"モデル着用"で、「ジーナシス」だと"ブツ撮り"といったようにブランドごとに商品画像を変えています。

ビームスの場合は、"パーソナライズ化"に注力しています。ただ、パーソナライズ化できるのは、ビームスのスタッフ1人1人の個性があって、服だけじゃない楽しみがあってこそ可能なことで、仮にビームスのやり方をパクってもそのブランドには意味はありません。

ウェブ接客とオムニチャネルが近いところは、自分たちが「何屋であるのか」が問われていることだと思います。「服屋」であるのは当たり前で、より具体的な価値を提示しないと、これから厳しいと思います。特に、服は必需品というよりは嗜好品に近く、仮にセールで90%OFFされていてもいらないものはいらないですから。

中島 ビームスの場合は、ウェブサイトでECとカタログを一体化させていますね。お気に入りのスタッフを登録すると、そのスタッフのスタイリングが自分のタイムラインに流れてきます。これはビームスのスタッフが、ブランドの一つだと捉えているということですよね。「ローリーズファーム」の場合は、動画を導入するなど、ZOZOさんではできないことを実践しています。

川添 例えばアダストリアのECサイト[.st](ドットエスティー)は、商品画像を見るとかなりの繊細なこだわりや工夫が見られ、年々進化してます。売上規模はモールEC並みで、ブランドやアイテムごとにモデルや撮り方を変えている。逆にいえば、そういうモールECってあまり見たことないですよ円?ECではなんとなく撮って、なんとなくアップすれば、それなりの見栄えはしますが、こだわりを持ってやれば、顧客に伝わるのではないかと思いますね。アダストリアもそうですし、フリークスストアでもそう感じます。

中島 各社が自社ECの差別化を進める中で、フリークスストアではどのような取り組みをされているのでしょうか。

小林 前職のベイクルーズでもそうだったのですが、川添さんの言うように画像のクオリティはこだわってやっていこうと思っています。ユーザーのアンケートを見ると、やはり画像への期待が大きいと感じています。

例えば、モデル画像はモデルっぽく撮るのがいいと思いがちですが、顧客はそれを求めておらず「ディティールが分からないので、やめてください」と言われたりします。そういった意見を汲み取っていきたいと思いますね。

必要なのは、顧客に喜んでもらうことを追求すること

中島 川添さんは最近、オムニチャネルでの気になる事例などはありますでしょうか。

川添 そもそもオムニチャネルは、チャネルごとに販促をすることでも、顧客情報を統合することでもなくて、自分たちが「何屋」であるのか、「強み」はなにかということを理解していないと、表面的な手段になってしまいます。

また、アパレルの販促に関しては、値引きだけではなく、なおかつ納得感のある販促もこれから必要だと思いますね。例えば、ファクトリエの山田敏夫代表も値引きをしない分、販促に力を入れています。工場見学ツアーなどを行なってファンを作り、これについては体験としても価値があると感じます。一方で、今のアパレル企業が値引きしなくていいかというと、それはそれでやらざるを得ない。利益が残る範囲での値引きをやりながら、中長期目線で独自性を探し続けていく必要があります。

オムニチャネルだからとか、差別化しないといけないからとかではなく、顧客に喜んでもらうことを追求する必要があると思いますね。

小林 私たちも、顧客が本質的に必要としているサービスを提供したいという気持ちがあります。今回の取り組みも、自身がリネットのユーザーで満足度が高かったということもありますからね。

また、今後は別の企業との協業も必要だと思います。クリーニングもそうですが、例えば「メガネ・コンタクト」も生活に根付いているので、これとアパレルが協業するのも面白いかと。このような本質的に必要なものと協業して、今後も面白い取り組みができればと考えています。

"EC"での成功を受けて"店頭"でもキャンペーン展開。その意図は?

中島のりゆき

中島 フリークスストアさんとECで行なったキャンペーンを、今後は店頭で実施します。ECでの成功事例を受けて、店頭で展開していくという流れは、これまであまりないかと思いますが、この意図について教えていただければと思います。

小林 今回は自社ECでやってみて、その結果を受けて店頭でどういう規模感でやるのかということを、中島さんと事前に打ち合わせしていました。商品が同質化して、どこで買っても同じという状況の中で、差別化をしていきたいと考えていました。リネットと協業することで顧客に価値を与えられますし、アイキャッチとして商品にキャンペーンの下げ札をかけることで、顧客との会話のきっかけにもなると。店頭ではECよりも対象アウターを広げて行います。

質疑応答

自社ECの価値を高めるためにやるべきこととは?

質問者 ZOZOやAmazon以外の「公式」から服を買うことについて。個人的にはポイントカードを持たされるのは嫌ですし、様々なことが"お客様目線"ではなく"企業目線"で残ってしまっていると感じています。自社ECの価値を高めるためにできることは何でしょうか。

小林 ブランド側は、ファンの方の期待に答えられるようなサイト作りが必要だと思います。お客様が気に入っていただいたブランドの良さが際立つようにしていかなくてはと感じます。サービス的な側面でいうと物理カードを廃止するとか、会員統合するとか、お客様の利便性を第一に考えてスムーズにお買い物ができるようなサイト作りを、"身の丈にあった規模"でやっていくべきだと思います。正直、私たちにとって即日発送は規模的に難しいです。そこはお客様に理解していただきつつ、発送までのリードタイムをなるべく短くするとか、様々な支払い方法を導入していくといった努力はしていくべきだと考えています。

中島 川添さんはいかがですか。

川添 ちょっと質問してもいいですか。今日お越しいただいた皆さんの中で、実店舗で事業をやっていて、なおかつECもやっている企業さんはどのくらいいらっしゃいますか。......20%くらいですね。その中で店頭とECの商品の販売日が一緒で、店頭とECで全く同じキャンペーンをやっている企業さんはいらっしゃいますか。......こっちは、誰もいらっしゃらないようですね。私はこれが課題だと思うんです。そもそも差別化をする以前に、店舗と同期できていないことが良くないと思います。私の前職時も含め109系など一部でやっているところはありますけど、実際に店舗とECを同期させているところは、まだまだ少ないです。自社ECでは、まず店舗でできていることを優先してやるべきだと思います。私は店舗でやっている販売方法は、ECでもできると思います。その上ではじめて、プラスαの"体験"に価値がでるのかと。もちろん、同期させるハードルが高いことは承知していますが、本当にファンをつけたいのであれば、店頭とECの二つのタッチポイントで接客していくことが必要だと思います。「公式」はECだけでなく店舗を加えて、店舗とECの両方で売り上げを取っていくことは、私たちが今やっていることでもあります。

中島のりゆき

ニーズは点在していて、チャンスがあったらそこに出向く

質問者 今回のような小売としてのアパレルとクリーニングの異業種コラボは面白いし、結果も出ていて感心しました。クリーニング以外に異業種でコラボしたら、売り上げが伸びそうな業界はありますか。

小林 具体的にこれといった業界はありませんが、本質的にお客様の需要がある製品やサービスとコラボすることが重要だと思っています。生活必需でいうと、先ほど言った「メガネ・コンタクト」などがあると思います。例えば、若年層には今カラーコンタクトがものすごい需要がありますよね。そのような"今イケてるモノ"とコラボするのもありだと思います。

川添 異業種のコラボとは少し違うかもしれませんが、メガネスーパーでは高齢者介護施設や個人宅への出張サービスなどを行なっています。要は、身体が思うように動かなくなってメガネ屋に行けなくなってしまった人たちのもとに、出張販売としてこちらから赴くわけです。恐らく、他の業界絵もニーズは点在していて、チャンスがあったらそこに出向くのはありだと思いますね。

自社ECを差別化するポイント、顧客ニーズを探る方法

質問者 自社ECでの差別化のポイントとして、自分たちが考える"軸"を教えていただきたいです。個人的には、ITの進化に伴う"テクノロジー軸"、想いや商品企画などの"コンセプト軸"、そして"マーケティング軸"だと思います。これ以外で思考する軸はありますか。

小林 私はテクノロジー軸と、そもそも何を売っているかというコアの部分が重要だと思っています。もう一つは"ヒト軸"ですね。社内に誰がいるかが重要で、テクノロジーをやるにしても、いい商品を作るにしても、人が絶対的に必要なので、そこに対応できる人材が必要だと思います。

川添 同じく"ヒト"が重要だと思います。中でも私は、"顧客軸"と"社内の人軸"という両方で見ています。当社がやっているアイケアは、専門スキルを持ったスタッフじゃないとできないことなので、そのようなスタッフたちの手を煩わせないように、やらなくて良いことをいかに省くか、短縮するかが重要です。1時間検査・接客が必要なメガネと、すぐに受け取りたいコンタクトレンズを少ない人数で対応しなければなりません。だから、前回買った商品をリピートする傾向があるコンタクトレンズは配送したほうがお客様も店舗も双方にとって良いということでアプリを展開しました。テクノロジー軸でいくと頓挫したり、店舗でできなかったりする状況が起こり得ます。テクノロジーはあくまで手段として、"顧客軸"と"社内の人軸"で考えると、実現の可能性が高まると思います。

顧客の声にはすぐに対応

質問者 顧客のニーズを探る手段を教えていただきたいです。

小林 当たり前ですけど。データを見ることですかね。あとは、NPSのフリーコメントをスタッフ全員で全コメントを読むようにしています。それをカテゴライズして、優先順位をつけて、優先度が高いところから対応しています。あとは街に出て、どんな人がいるかなどを観察するようにしています。

川添 当社も店頭で顧客満足度アンケートを行なって、それを集計してネガティブな内容については該当の店舗ですぐに対応するようにしています。あとは自社ECやLINEアカウントでアンケートを行なっています。前職では、VIP顧客を展示会に呼んでいました。そのときに「どのようにECを見ていますか」などの質問をしていました。顧客に直接ヒアリングをすると発見がありますね。

中島 ありがとうございます。まだまだ話足りないところですが、この辺で締めたいと思います。今回、フリークスストアとリネットで「お気に入りを今ほしい、ずっと着たいを叶える顧客体験」としてアウターを販売して、商品をずっと大切に着てほしいという想いを込めてクリーニングチケットをつけました。11月1日からは、店頭でキャンペーンを行うことで、差別化の事例がまた作れるのではないかと思います。川添さん、締めの一言はありますか(笑)。

川添 うーん、締めの一言はありません(笑)。言い残したのですが、今の時代の購買行動には、C to Cや買い取りが前提にあると考えるべきです。その中で顧客に選ばれるブランドというのは、二次流通でも必ず売れるし、買い取りをしたいブランドでもあると思います。今後、自分たちのクローゼットの資産価値が見える化できるようになる時代が恐らく2、3年以内に訪れます。定期的にクリーニングするということは、一般消費者が持つ資産価値を最適化する上で必要だと感じます。そういったことからも、今回の取り組みは個人的にも非常に興味深いと思いました。