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どう進める?「働き方改革実行計画」

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罰則付き時間外労働上限規制は労働基準法制定以来の大改革


働き方改革実現会議」の議論を受け、3月28日、「働き方改革実行計画」が決定された。

「実行計画」には、非正規労働者の処遇改善や長時間労働是正など、19の改革項目とロードマップが示されている。連合は「実行計画」をどう評価し、どう進めていくのか。連合逢見事務局長が解説する。

非正規の処遇改善と労働時間規制を求めて

安倍内閣は、「アベノミクスは道半ば」だとして、その加速化を掲げているが、約7割の国民がその恩恵を感じていない。

また格差拡大や、低所得層の増加、人口減少問題など国民の将来への不安も根強い。こうした中で、安倍首相は、内閣の最大のチャレンジは「働き方改革」であるとして、昨年9月に「働き方改革実現会議」を設置し、連合から神津会長が委員として参加した。

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連合はかねてから、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、すべての働く者の雇用の安定、公正な労働条件の確保を求めてきた。

特に、重要な課題として、①雇用形態間の合理的理由のない処遇格差を禁止するための法規制の実現、②すべての労働者を対象とする、労働時間の上限規制や、休息時間(勤務間インターバル)規制の導入を求めて主張してきた。

「実現会議」が取り上げたテーマは、以下の9点であった。

①同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
②賃金引き上げと労働生産性の向上
③時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
④雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定させない教育の問題
⑤テレワーク、副業・兼業などの柔軟な働き方
⑥働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
⑦高齢者の就業促進
⑧病気の治療や子育て・介護と仕事の両立
⑨外国人材の受け入れの問題

不合理な処遇格差の解消は待ったなし

「実現会議」は10回にわたる議論を経て、「働き方改革実行計画」をとりまとめ、19の改革項目とロードマップが示された。

この中で、有期・パート・派遣などのいわゆる非正規雇用者の処遇改善や長時間労働の是正など、連合が求めてきた政策について盛り込むことができた。

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非正規雇用労働者は、雇用者の約4割を占め、職場では不可欠な存在となっている。しかし、正規雇用との間に賃金・一時金だけでなく、休暇や福利厚生などの格差があり、不合理な格差の解消は待ったなしの課題になっている。

連合は、「同一労働同一賃金」は瞬間的に同じ業務を行っていれば同じ時給というように限定的に捉えるのではなく、もっと広く捉えるべきと発言してきた。

すなわち、賃金だけでなく、各種手当や休暇、福利厚生、安全衛生、教育訓練なども含めたものとして捉えるべきということだ。

政府は昨年12月に「同一労働同一賃金ガイドライン案」を策定した。

「実行計画」では、このガイドライン案の根拠を法律で示し、不合理な格差については、裁判(司法)で救済を得られるようにするとしている。

また、事業主に対しては、雇入れ時にはその労働者に適用される待遇の内容についての説明義務、雇入れ後には比較対象となる労働者との待遇差の理由についての説明義務を課す、と法律に書き込むとしている。

派遣労働者については、派遣先からの情報提供義務とあわせ、派遣先労働者との均等・均衡待遇規定を設ける。

その上で一定の要件を満たす場合には、当該派遣元企業と過半数を組織する組合等とで派遣労働者の保護に資する一定の要件を満たした協定を締結すれば、派遣先との均等・均衡は求めなくてもよいこととしている。

長時間労働解消へ、最初の一歩

もう一つ大きな論点となったのは、時間外労働の上限規制である。わが国の労働基準法は1日8時間、1週40時間を超えて労働させることを禁止している。

ただし、使用者が過半数を組織する労働組合と労使協定(36協定)を締結した場合は、そこで定めた時間まで時間外労働をさせることができる。

36協定で定める時間外労働の限度は、月45時間かつ年360時間以内となっているが、これには強制力がないため、限度時間を超える協定を結んでも違反にはならない。

さらに、臨時的な特別の事情がある場合には特別条項を締結すれば6カ月間までは、上限なく時間外労働をさせることができる仕組みになっており、これが過労死を招く原因になっていると指摘されている。

特別条項を含む時間外労働の上限規制については、労使の当事者である経団連と連合とで協議することになり、3月13日に「労使合意」がまとめられ、政府に提出された。「労使合意」は、①労働基準法に時間外労働の上限規制を明記すること、②勤務間インターバル制度の努力義務化、③パワーハラスメント防止等、過労死等を防止するための対策、④労働政策審議会における検討、⑤見直しにあたっての検討規定を置くことを内容としている。

具体的には、週40時間を超えて労働することが可能となる時間外労働の限度は、原則として月45時間かつ年間360時間とし、特例として、臨時的な特別の事情がある場合(特別条項付き36協定)であっても上回ることができない時間外労働時間を年720時間とする。

この720時間についても、①2カ月ないし6カ月の平均は月80時間以内(休日労働を含む)、②単月は100時間未満(休日労働を含む)、③月45時間を超える時間外労働は年6回を上限とすることが要件となっている。

法に違反した場合は罰則を科すことも合意された。また、現在適用除外となっている、建設事業、自動車の運転業務等についても5年間の経過措置をおいて、適用されることになった。

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連合事務局長 逢見直人

「労使合意」でまとめた時間外労働の上限とは、あくまで「これ以上働かせてはならない」ことが原則であり、特別条項を適用する場合であっても上限時間水準までの協定を安易に締結するのではなく、月45時間、年360時間の原則的上限に近づけることを求めている。

罰則付きの時間外労働の上限規制は、これまで長年、労働政策審議会で議論されてきたものの結論を得ることができなかった課題であり、労基法70年の大改革とも言えるものである。

この「実行計画」を踏まえ、4月から労働政策審議会で関係する法律改正の審議が行われており、6月には建議がとりまとめられた。

これによって、長時間労働解消への最初の一歩が踏み出せたと思っている。とりわけ重要なのが集団的労使関係の構築である。労働組合のないところにも従業員意思が反映される仕組みが機能しなければならない。

連合としては、「クラシノソコアゲ応援団!RENGOキャンペーン」などを通じて世の中にアピールしていくことにしている。

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2017年6月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。