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甲子園のスパイ疑惑と高野連の対応

2013年08月21日 23時39分 JST | 更新 2013年10月21日 18時12分 JST

『東スポweb』が掲載していた「スパイ疑惑の花巻東に高野連『没収試合もありうる』」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

これは、19日に行われた第95回全国高校野球選手権大会の準々決勝第1試合で、「花巻東(岩手)vs鳴門(徳島)で花巻東のランナーの動きを審判が注意する事態が発生した」ことを受けて書かれたものです。

注意された原因は「二塁から捕手のサインを伝達しているのではないかと疑われた」ためで、「花巻東の関係者は"スパイ疑惑"を完全否定したが、高野連はどう受け止めているのか。高野連・竹中雅彦参事に聞いた」ことを記事にしたもので、以下のようなやりとりを紹介しています。

―検証作業はするのか

竹中:(サイン盗みを)やっているとか、やっていないとかという検証はしない。(花巻東の)佐々木監督と部長に確認したら「やっていない」ということだったので。

―以前からやっていたという声も聞かれているが

竹中:それは知らない。県大会の報告も受けていない。

―では、今回注意しただけで終わりということか

竹中:一度注意したにもかかわらず、今大会中にまたやるようなことがあれば、没収試合ということもあります。

―この件で抗議電話などは

竹中:「そんなの許していいのか」というような電話が何件かかかってきています。同じように説明をしています。

2 あいまいさ

この記事を読んで私が最初に浮かんだ感想は、「あいまい」「中途半端」というものです(ドイツの戦後処理を賞賛する中国は妥当か?)。

特にアメリカ人などは全く理解できないと思いますが、本来であれば、どこまでやって良い(悪い)行為かはっきり明確に規定化し、それに違反していれば処罰、そうでなければお咎めなしという話にすれば良いのではないかと考えます。

1999年の選抜大会から「サイン盗み」行為は禁止されたそうですが、罰則規定は設けられておりません。本来であれば、最初から明確に基準及びそれに違反した場合どのような処罰を行うかまで明確にしておくべきだったかと考えます(罪刑法定主義)。

その上で、選手の行動がそれに違反していたかどうかを、しかるべき判断機関に判定してもらえば良いだけのことですが、思うに日本ではどうもこうした明確化はあまり好まれない傾向にあります。

3 明確化

確かに何でもかんでも明確にして、基準に違反すればそれでおしまいというより、ある程度幅を持たせた方が運用としてはやりやすいのは間違いありません。

しかし、結果担当者によって判断が異なり、不公平との批判が出たり、判断を任された担当者に余計なプレッシャーをかけることになる等、デメリットもあります。

交通違反などが典型でしょうが、正直どこまで守られているかという問題のある規定もあるので、本来であれば、こうしたことも含めていろいろ話し合っておくべき問題だったのではないかと考えます(古屋国家公安委員長の交通違反取り締まり発言に対する雑感)。

実際高校の野球部で、なにか不祥事がなどがあった場合、高野連がどのような処分を行うか等の基準も私的には明確になっていないように思えてなりません。

あってはならないことなので、話し合わないという話かもしれませんが、まさに原発事故と同じであることを前提にあらかじめ決めておくべきことの重要さというのはあると思います(福島原発事故調中間報告と日本人の危機管理)。

4 教育

夏の高校野球というと、いろいろ「教育」とか「青春」とかいう話が出てくるので、こうしたことも加味して判断しなくてはならないという意見もあるかと思います。

確かに少年法などでも更生に重きを置いた規定となっておりますが、「野球」というスポーツを「ルール」に基づいて行うだけの話なので、そのルールの明確化を行うだけの話ですし、こうした「ルール」に基づいて行動することを教えるのも大事な教育だと思っております。

運営が大きくなりすぎたり、後ろにいろいろマスコミなどがついていたりするので、いろいろ面倒な話になるのかもしれませんが、本来すべきことをしてこなかった高野連の責任というのも大きいと考えております。

(※2013年8月22日の「政治学に関係するものらしきもの」より転載しました)