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#飲み会やめる その代わり蛇口からカレーを出そう

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runin via Getty Images
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ハフィントンポストでは、仕事の飲み会に関するご意見を募集しています。Twitterで、#飲み会やめる、とつぶやいていただけると嬉しいです。ハフポストのメンバーや私も日々つぶやいて行こうと思います。

朝6時20分のつぶやき

先週の5/23、「#飲み会やめる そしたら、人生変わる気がする」というブログ記事を書いた。職場の飲み会を減らした方が、人生楽しくなるのではないか。より生産的になれるのではないか、という問題提起だ。記事を発表する日の朝の午前6時20分に「#飲み会やめる」というハッシュタグを作って、Twitterでつぶやいてみた。どんどんTwitterが拡散され、たくさんの意見が集まってきた。全部読んだ。

日本のあちらこちら、様々な職場で、仕事の飲み会をめぐって色々な思いを持っている人がいた。日本の「働きかた」を変えようとしたり、今までのやり方に悩んだりしている人が多くいるのがわかった。

私がつぶやいて3時間49分後。同じ職場のハフポスト編集部の久世和彦がこんなつぶやきをした。

久世は飲み会の「賛成派」。ネクタイを頭に巻くタイプの昭和な感じの人だ。本人と話してみた。私が、お酒自体を否定しているわけではないこと。なくしたいと思っているのは、「仕事の延長の飲み会」であること。同僚や得意先と仲良くなったり、仕事のミーティング的な飲み会は、他の手段で代替できるのではないか、という問題提起のつもりだったと伝えた。

久世はそうしたことをわかった上でこう言った。

「仕事で大事なのは信頼だと思うんです。その人の考え方や仕事に対する思いを聞いて『あ、この人は信じられる。一緒に思い切り働きたいな』と思って、初めていい仕事ができるんではないでしょうか」。

信頼から始まる

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ビジネスの現場では成果が上がらない時期がある。そうした時に同僚や上司を尊敬できないと、結果はどうでも良くなり、責任のなすりつけ合いや対立が起こる。

しかしながら、相手の「意外な一面」や「仕事への情熱」を知っていれば、困難を乗り越えられるものだ。例えば上司が、子育てや介護で時間を作るのが大変なことを知っていれば、ちょっとした仕事の遅れは、我慢ができる。

あるいは部下が失敗しても、「自分の殻を破るために、あえて難しい仕事に挑戦している」という気持ちを知っていれば受け止め方が変わってくる。取引先が無茶な提案をしてきても、普段から熱く語っている仲なら、「きっと事情があって今回は無理な要求をしているんだろう」と察することができる。

同じ会社でも、別のフロアにいる他の部署の人は話しかけづらいものだ。滅多に話したことがない上司に大胆な提案はしにくい。人数が多くなればなるほど、組織のメンバーの「キャラ」を把握しにくくなり、相談や提案のスピードは落ちる。

「ひょっとしたら、否定されるのではないか」

「この人が保守的で官僚的な人だとしたら、手の内を見せたら仕事は失敗するのではないか」

「隣の部署がどんな考えで仕事をしているのかわからない」

妖怪のような「壁」が立ちはだかる。

壁の向こうの相手の人となりを知っていれば、怖くない。壁の向こうの「相手」を知る手段として、飲み会はとても有効なのも良くわかる。

秘密結社 わるだ組

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「わるだ組」の大川陽介さん

でもね。と思う。他の方法はないのだろうか。壁の向こう側の人と対話する方法が。お酒の力に頼らないで、人と人を繋げ、お祭りのような高揚感と連帯感を作り、仕事において戦略やノウハウより大事な「信頼」を得る方法が。

富士ゼロックスの大川陽介さん(35)が立ち上げた「秘密結社 わるだ組」。社内外の人を集めた、知る人ぞ知る非公式の謎の組織だ。

社内のファンキーな社員や他の会社の人を含めた、気持ちが若くて面白い社会人たちが集まっている。Facebookページの会員数をみると、600人以上。「楽しいこと」をテーマに毎月2つ3つのイベントや集まりを企画をしているらしい。

例えば社内の営業系の部署の人と、開発系の部署の人を集めてお互いの文句を楽しく言い合う「ファイトクラブ」。日頃の不満をぶつけ合った後、握手して終わるイベントだ。

こんな企画もした。「バーベキューを盛り上げるためにはどうしたらいいか」をテーマに、100個以上のアイデアを出し合ったところ「蛇口からカレーが出たら面白いのではないか」という案が選ばれた。そこで、「わるだ組」のメンバーらでバーベキューを開いて実践することにした。(食べ物を粗末に扱ったのではなく、全部完食し、子供達も喜んだという)。カレーという誰もが知っている商品を違った視点から見て、アイデアを実行に移したことで、その後の本来の仕事の会議でも議論が盛り上がるようになったそうだ。

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「わるだ組」提供

大川さんは言う。「日本の組織は、『こういうことは、ひょっとして、やっちゃいけないのではないか』という発想がはびこっている。なぜみんな、縮こまっているのだろうか。なぜ、仕事を楽しんでいないのだろうか、という発想から活動を始めた」。

同じく「わるだ組」メンバーの遠藤彩子さん。「私は転職してきて、最初は社内に知り合いがいなかった。一見仕事とは関係のない、遊びのような企画を立てることで、みんなの人となりが分かり、他の部署の人に相談しやすくなった。仕事の進め方がスムーズになったと思う」と話す。

「わるだ組」は飲み会も開く。お酒の良さを否定しているわけではない。大川さんとじっくり話して私が思ったのは、仕事の人間関係を良くする手段は、「飲み会」以外に、いくらでもあるということだ。

アルコールは、とても便利な飲み物だ。しかし時には心や体の健康を害するし、苦手な人もいる。仕事の人間関係を構築する手段はもっと多様であっていい。

失われた20年から醒める

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日本のバブル崩壊の後遺症と金融危機による長年のダメージを指して「失われた20年」という人もいる。この間、私たちは「反省」と「改革」を行ったり来たりしていた。「改革」については、民間や市場の時代というキャッチフレーズに飛びつき、小泉改革に期待した。アベノミクスに夢を見ている。

しかし、「民間や市場」というのは多くの場合、私たちのことだ。その改革すらも「官僚」や「政治家」に頼り、誰かが何かをぶっ壊してくれるのを期待するわけにはいかない。私たちにとって、必要なのは「昔の方程式」ではなく、新しいアイデアだ。

かつて日本企業はグループ会社や系列会社の堅い結束で、人事も仕事のノウハウも同じ「仲間」の中で交換してきた。情報を一箇所に吸い上げることで、自動車や電機産業は急成長し、それは欧米の熱い眼差しと嫉妬とともに、一つの成功モデルを作り上げてきた。しかし、今はインターネットによって、情報は簡単に空を飛び回る。系列やグループ会社ではなくても、企業や人が情報をシェアできる。そんな時代。

私たちにとって、必要なのは「昔の方程式」ではなく、新しいアイデアだ。

ハフィントンポストでは、仕事の飲み会に関するご意見を募集しています。Twitterで、#飲み会やめる、とつぶやいていただけると嬉しいです。やめるだけでなく、「飲み会に代わる交流手段」もあれば是非教えてください。ハフポストのメンバーや私も日々つぶやいて行こうと思います。