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学生に向けて語りたい起業体験談について考えた

2014年07月28日 22時09分 JST | 更新 2014年09月27日 18時12分 JST
kristian sekulic via Getty Images

先日学生向けに話す機会を頂きました。内容は起業体験談だというので、事前に自分の起業体験について振り返ります。

ただし私は起業家としてはまだまだな段階ですので偉そうに言えることはなに一つありません。

ですので自分が学生だった頃を振り返りながら、その時の自分が知らなかったこと、知りたかったことなどをまとめられればと思います。

はじめに

いま私は会社設立3年の会社の代表をやっていて、その会社ではMisocaというクラウド請求書管理サービスを運営しています。昨年の秋にVCから3,000万円を調達し、チームも2人から7人に増え、オフィスも引っ越して頑張っているところです。「起業したらまずMisocaを契約する」そんなサービスにしたいと思って事業に取り組んでいます。

最初の起業

僕にとって最初の起業の記憶は、小学校で割り箸を一膳100円で売っていたことか、妹相手に手書きの宝くじを売ったことのどちらかのはずです。特に後者は母にめちゃくちゃ怒られたのでよく覚えています。

その次はもう少しまともな起業で、「レモンをお金にかえる法」というのを本屋で立ち読みして、自己資本がなくても事業が起こせると学んだ時です。

母に事業計画を説明し2,000円を出資してもらってジュースを仕入れ、下着を入れていたプラスティックの衣装ケースをひっくり返して水と氷を入れて河原で開催されていたイベント会場で売ったのでした。

結局衣装ケースが全然保冷してくれないのが失敗の原因となり、利益は300円程度とわずかでしたが、それでも一日が終わった時に

"朝は資金0円だったのに、自分の行動と知恵だけで手元にお金が残った"

と、お小遣いをもらうのとは決定的に違うものを感じたのが印象に残っています。(初めて馬券が当たった時も同じことを思いましたが・・・)

他にもネットでプログラムを販売したり、フリーマーケットを主催したりと「あ、これって他にも駒てる人がいるんじゃないかな?」と感じると試していました。お金を稼ぎたいという気持ちもすごくありましたが、課題や需給のアンバランスを見つけて解決方法を考えることが楽しいのです。

学校は岐阜工業高等専門学校にいき、卒業してそのまま自営業として独立しました。就職しなかったのは就職活動が嫌だったからです。その当時は頭を下げたり、自分を偽るような面接をしてまで行く価値のある会社はないと思っていたのです。(今はその考えは別に正しくはなかったなと思っています。)

現在の会社を設立

今の会社は自営業として独立後7年たってからで、いまから約3年前に設立しました。自営業ではシステム開発中心のWeb制作をしていて結構儲かっていたのですが1人で出来る仕事というのには限りがあるので、法人化してチームを作り大きな仕事をしたいと思ったのがきっかけでした。

正直な話をすると上記のように全部自分の前向きな意志で決めていればカッコいいですが、実際にはそうではありません。

「このままダラダラしていたらいつか友人らに仕事の内容でも年収面でも負けるだろうな」とか、「結婚するまえに大きいチャレンジがしたい」とか、祖父や同僚で同じ歳だったプログラマが亡くなったりして人生について考える機会があったりと、複数の理由に後押しされました。

ただ「機は熟した。今こそ会社を作るんだ!」という明確なタイミングが勝手に来なかったのは確かです。「そういえば去年も一昨年もタイミングは来なかった。じゃあ今年もこないだろうから今やるっきゃない」という感じでした。みなさんも起業に限らず新しいチャレンジをするいいタイミングを待っているのであればそれは間違いです。何かやろうと思ったら今日から始められることを始めるべきだと私は思います。

楽しいけど起業は全然おすすめしない

ここまでが起業体験の話です。いま私は仕事も大きくなっていって毎日がとても楽しいし、現時点ですでにすごく幸せだなと感じています。

しかし、これを他人や自分の子供に勧められるかというと話は全く別です。経営者になって会社を大きくすることを継続していくというのはとても大変なことだなとつくづく感じています。

野球で言うならプロ選手として活躍して、監督になり、球団経営者まで目指すようなことだと思います。イチローや田中投手だってそこまでは目指していません。

僕は自営業時代にプロ選手として多少活躍しました、そこで勘違いして法人化して今は監督業をしています。監督の仕事はチームの能力を最大限に発揮し、リーグ優勝をすることです。そして、それが奇跡的にうまくいって優勝をしたとしてもそのチームを5年、10年、30年と優勝させ続けるための球団経営者としての仕事が待っています。

なぜそんな大変そうなことをやっているかと言われれば、それは単純に新しいことや世の中を変えるようなことが好きだし楽しいからだと思います。

いまの事業がうまくいかなくなるとか、給料が払えなくなるかも、会社が潰れるかもとかっていう不安はものすごくあります。ストレスで夜うなされることもあります(なぜかそういう時は学校を留年しそうになるという夢を見ます。)。でも、失敗した後に自分がどうなるかという心配は全然ありません。また新しい仲間と楽しいことを見つけて取り組んでいるだろうという確信があります。

それは好きだからだとしか説明ができません。

最後に

最後に学生だったころの自分が勘違いしていたこと、わかってなかったことをまとめて終わります。

十分な貯金があるか借金しないと起業できない

僕が中学生だった頃に起業するといえば、借金をしてお店をつくるか、佐川急便で働いて貯金を貯めて会社を作るぐらいしか知りませんでした。

しかし実際にはお金というのはあるところにはあるので重要な問題ではありません。弊社もベンチャーキャピタルから3,000万円の出資を受けていますし、個人保証なしで事業用のお金を借りる方法というのもあります。

まずはお金の制約を考えずに事業のアイデアをだすことが大事でしょう。適切な人に相談すればお金の問題は解決します。お金がないからといって自分のアイデアや技術を封印してバイトでお金を貯めたりするのはビジネスのスピードがどんどん加速している現代では自殺行為です。

また、親兄弟すらお金をだしてくれないような事業は始めるべきでないとも言えます。

抜群のアイデアがないと事業は立ちあげられない

世界を一夜にして変えるような、まだこの世のだれも思いついていない抜群のアイデアがないと会社は成功しないと思っていました。

しかし実際には弊社も含め多くの企業が方向転換をしますし、有名なところではソニーなどは設立してから「さてなにをやるか」と会議を開いていたりします。

とにかく創業者と優秀なスタッフがいれば会社は進んでいきます。実際に大切なのは創業者の会社を通して実現したいことへの執着と、一緒にやる人の質なのです。(これはビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則の受け売りです)

私の例で言うなら、やってて楽しいことはITによって時間を生み出すことです。Misocaでは請求書発行に関する時間を短縮し、世の中の人達にいままで失っていた時間を提供しています。 だから私は請求書管理サービスができなくなっても会社を続けます、なんであれ時間を生み出すような事業ができればそれでいいからです。

20代を失敗しても取り返しがつく(つかない場合もある)

学生の頃は、社会人のスタートで失敗したら人生が終わると思っていましたが実際にはそんなことありませんでした。しかし注意点もあります。

まず、22歳から3年間なにかに取り組んで4回失敗しても34歳です。34歳といえば脂っぽいものは食べたくなくなりますが社会人として人生終わっていません。

怖いのは20代のうちになにも取り組んでこなかった、なにも積み重ねてこなかった場合です。これは残念ですが30代後半になると取り返しがつきません。20代に経験や知識、技術を積み重ねてきた人達と圧倒的な差がつきますし、あなたが追いつこうとする間に更に相手も伸びていきます。

スポーツ選手だと簡単にわかりますよね。30代から始めて一流プレーヤーになれる普通の人はいません。体力だけでなく脳みその力に関しても同じです。

ここまで書いてみて

昔を振り返ってみたら、宝くじを発行してたこととかを思い出せてよかったです。たしか1000円ぐらい売り上げたのでそろそろ妹達に返そうかな。

学生の皆さん、起業したら是非請求書をMisocaで送ってくださいね!