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爆撃や処刑を目にする毎日、奪われた子ども時代―IS支配下のラッカ

さまざまな機会が奪われた生活について訴えた。

2017年08月31日 13時50分 JST | 更新 2017年08月31日 14時10分 JST

セーブ・ザ・チルドレンは、過激派組織「IS(イスラミックステート/イスラム国)」が支配するシリア北部ラッカの一部地域から避難してきた子どもたちに話を聞いた。

子どもたちは、IS支配下の暮らしや最近のラッカ奪還作戦による戦闘で、日常的に斬首による処刑や爆撃を間近に目撃したことで負った心的外傷(トラウマ)や、何ヶ月も自宅から出られず、遊ぶことも学校に行くこともできず、さまざまな機会が奪われた生活について訴えた。

Save the Children

ラシダさん(13歳、仮名)「ある日、ISが人々の首を切り落とし、遺体を路上に置き去りにするのを目撃しました。私には耐えられず、その光景を思い出すと、眠りたくても眠れなくなってしまいました。あまりの恐怖のために、一晩中起きていることもありました。避難してきた今は、誰も処刑される心配がないので、普通に眠ることができるようになりました。」

ラシダさんには小学6年生の弟がいるが、未だに読み書きができないという。

ラッカでは、処刑執行の場と化した公園や公共の場所に遺体が残され、空爆により多くの市民が犠牲になっている。ラッカの人々は、このまま留まり空爆の犠牲になるか、あるいは、ISに狙撃されたり地雷を踏んだりする危険を冒して避難するか、という苦渋の決断を迫られている。

Save the Children

ファリーダさん(13歳、仮名)「もし、女性が何か間違ったことをしたら、その女性はISから石打ちの刑を受けます。誰かが喫煙したら、たばこを持った指が切り落とされます。また、ある男性は、ISについて何か話したために、口を縫い付けられました。その男性は、むちで打たれている間、口から血を吐いていました。とても酷いことです。」

今年に入り、セーブ・ザ・チルドレンは、戦闘や激しい暴力などが子どもたちに与える心的外傷についての調査報告を発表した*。この調査は、シリア国内および、イラク・モスルから避難した子どもたちを対象に実施した。

多くの子どもたちが砲撃や空爆、暴力行為に日常的に晒されている不安や恐怖から、精神が常に戦闘もしくは逃避態勢にある、最も危険な形のストレス反応を意味する「毒性ストレス(toxic stress)」の兆候を見せていることが明らかになった。さらに、最大のストレス要因は、調査に参加した実に9割の子どもたちにとって、戦闘の犠牲や誘拐などで家族や親族を失ったことだった。

ISが支配する地域へのアクセスができない中、避難してきた子どもたちの証言から、ラッカに残された子どもたちの置かれた状況は深刻であることが分かる。子どもたちが心的外傷から回復するには、何年もあるいは何十年もかかる可能性がある。

セーブ・ザ・チルドレン シリア事務所代表ソニア・クシュは、「子どもたちが、死や暴力の恐怖に晒されたり、何日も地雷原を歩かされたりすることなく、ラッカから安全な場所まで脱出できるようにしなくてはなりません。安全な場所まで避難できた子どもたちにとっては、心的外傷から回復するための精神科治療などの専門的な支援は極めて重要です。ラッカの子どもたちは、一見普通に見えるかもしれませんが、精神的に大きな苦痛を受けています。子どもたちのメンタルヘルスに関するニーズが満たされない限り、多くの子どもの精神的・身体的な健康に、生涯にわたる影響を及ぼす可能性があります」と訴える。

紛争に巻き込まれた子どもたちを守ることは、何をおいても優先されなければならない。

*記事中で言及している調査報告書。
◆【紛争6年目のシリア】毒性ストレスに晒される子どもたちのメンタルヘルスが危機的状況に―シリアの子どもたちに関する調査報告書「見えない傷」
http://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?d=2431

◆イラク・モスル―戦闘が子どもたちに与えている深刻な心的外傷が明らかにhttp://www.savechildren.or.jp/scjcms/sc_activity.php?c=36