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トランプ-安倍時代の日米関係はどのように進展するか? アジア太平洋地域における地球温暖化対策とパリ協定への意味

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日本の内閣総理大臣安倍晋三氏は、11月19日から20日にかけてペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)の首脳会談への参加にあわせて、11月17日木曜日、アメリカ大統領に選出されたトランプ氏を訪問します。

現職の日本の総理大臣がそのように早いタイミングでアメリカの大統領に選出された人物を訪問した前例はありません。なぜ安倍首相は次期大統領トランプとその閣僚らとの友好関係を築く事にこんなにも熱心なのでしょうか?

安倍首相のウィッシュリストには、二つの主要課題が挙げられるとみられます。それらは日米関係への転換点と、アジア太平洋地域が真に持続可能な開発路線を歩むための可能性をもたらす物です。

1. 環太平洋経済連携協定(TPP)


安倍首相の地政学上の野心と、アジア太平洋地域の経済政策の鍵を握るのは、TPPの早期締結です。安倍政権は、アメリカの選挙期間、パリ協定の批准をおしのけてまでも、衆議院でのTPP関連法案の審議を強行しました。結果、パリ協定の批准はずいぶん遅れてしまいました。オバマ大統領が強力なTPPの支持者であり、スポンサーであった一方、トランプ氏は、彼の政権下で迅速にTPPをゴミ箱に放り込むと明確に発言しています。アメリカの批准なしには、発効の条件である少なくとも6カ国の批准と、すべての交渉参加国のGDPの85%が満たされません。安倍首相ですら、協定の発行は「大変厳しい状況になってきた」と発言しています。このことは、中国の台頭に応えるための、安倍首相のアジア太平洋における経済貿易戦略の信頼性を失わせる結果となっています。

では、経済面において、安倍首相にできることは果たしてなんでしょうか。

まず、TPPを諦める事です。多国籍企業にさらなる自由を与える事は、政府による温室効果ガス排出削減の役割を低減させ、最下層への競争を早め、そして、格差の拡大を招くでしょう。さらに、中国をそういった経済のフレームワークから除外する事は、東アジアの緊張を高める結果になるだけでなく、中国が自分たちによるルール作りを追求する事に対して、さらに大きな理由を与えてしまいます。南シナ海をみただけでもわかりますし、また中国がスポンサーの機関(例えばAIIBなど)の設立につながります。

そのかわり、安倍首相はこの機会を、アメリカやトップダウンの少人数の利益のためのルール作りに依拠しない、すべての人に幅広い利益をもたらす代替の地域経済モデルを作り上げるために活用すべきです。そういった経済モデルは中国との協力も含め、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定と整合性のあるものでなくてはいけません。持続可能な未来にむかって地域協力や技術移転を生み出し、さらに2050年までに温室効果ガス排出ゼロ経済への変革を加速させるような、新たな経済の課題設定が必要です。

これを実行するためには、安倍首相にはクリーンコールと呼ばれる石炭利用技術の推進をあきらめ、再生可能エネルギーへの重点的投資が必要です。安倍首相はトランプの意向に引き込まれ、石炭と化石燃料の拡大をおこなう可能性もありますが、世界の大多数の意見に対抗して気候変動対策を怠れば、日本とアメリカのより一層の孤立化を招き、パリ協定の成功と皆が安心して暮らせる地球を台無しにします。

アメリカの場合、オバマ政権下で採択されたクリーンパワープランによる温室効果ガスへの排出規制を引き下げ、多くの汚い石炭火力発電所に影響を与え、国有地のリースに関する規制を緩和する可能性がありますが、これは石炭に対する需要の縮小とコストの拡大、対、再生可能エネルギー投資への需要の拡大とコストの縮小という、より大きな枠組みで見た石炭の経済性に大きな影響を与える事はないでしょう。日本の場合、海外における石炭開発の巨額の補助金を継続していることが、過去の電源としての石炭の延命につながるかもしれませんが、東南アジアの成長を続ける経済は、よりクリーンで、健康的な代替を求めるようになるでしょう。国内的には、48基の石炭火力新設計画がありますが、これはパリ協定を批准した日本の義務にまったくもって整合性を欠くものであり、日本の石炭への執着に対する国際的な批判をさらに増やすことになるでしょう。

トランプの化石燃料支持路線に従う事は、気候災害、経済の衰退、そして座礁資産化への確実な道を意味します。さらに、日本の化石燃料依存を深化させることで、再生可能エネルギーにおける中国の世界的なリーダーシップをさらに強化することになり、中国にさらなるソフトパワーと、この地域における持続可能な開発のための市場をゆずることになります。

石炭火力を推進するかわりに、アジア太平洋でさらに需要が拡大する再生可能エネルギーの分野で、日本の信頼性や価値ある技術で評判の日本の企業を活用し、日本の再生可能エネルギー市場、そして輸出を拡大していくことが出来ます。これはカリフォルニアなどのアメリカの先進的な州や、トランプが政権につこうとも気にせずに再生可能エネルギーの発展と確信を積極的に支援し続ける世界の技術を牽引するリーダー達との協力の元でおこなっていけます。日本を再び世界のリーダーとしての地位に就かせることにもなり、地域内での再生可能エネルギーの需要が成長するにしたがい、日本の経済面も強化するでしょう。

これは安倍首相のチェックリストの二番目の項目につながります。

2.中国と日米同盟


トランプが大統領選を勝利した事で、確実にアメリカはトランプ流の「アメリカ第一」の保護主義に向かっていくでしょう。これは中国を敵に回すことになり、もしも貿易規制が加速すれば中国が応酬にでざるを得ない事で、日本を含む市場がマイナスの影響を受ける可能性があります。アジアにおけるアメリカの役割に対するトランプの見方は曖昧です。そして安倍首相の主な懸念は、トランプによる、日本を護衛するためにアメリカが支払っているコストを全額負担すべきという要求と、北朝鮮の脅威に対抗するために日本と韓国は核武装すべきだという思いつきの発言です。

この発言が日本との二国間関係において何か実質的な変化をもたらすかどうかは疑わしいところですが、安倍政権は日米安保条約の重要性を強調し、中国の拡大するパワーと影響力に対して対抗するためアメリカの存在を東アジアにつなぎ止めたいと強く望んでいます。アジアでの防衛協力に対するトランプの冷遇は、安倍首相に独立した外交政策にむけた戦略的関係性を再考させるでしょう。

では、中国に対して何をすべきでしょうか?

封じ込め政策については忘れて、気候変動を止めるための協力を通じた地位安全保障の形成をおこなうべきです。中国はゼロサムゲームの中で、既に強い力を持っています。貿易を武器として使ったり、軍拡を通じて敵対関係を維持するのではなく、お互いのための経済的反映と、地域の安全保障のために中国とのさらなる協力に日本は向かうべきです。日本の繁栄は今や中国の繁栄と表裏一体であると認めるべきです。中国の参加なしで貿易ルールをコントロールしようとするよりも、レジリエントな炭素ゼロのインフラへの国際的な投資のための透明性の強化と、社会・環境へのセーフガードを強化していく事で、豊かで、持続可能でそして平和なアジア太平洋地域を中国とともに達成するべきです。それは国内的にも、二国間関係的にも、そして国際的にもウィンーウィンーウィンな解決策です。

パリ協定の発効を潤滑油として活用し、安倍首相は100%再生可能エネルギーベースのアジア太平洋地域を達成することに日本の企業が参加する新たな機会として、AIIB への参加を再考することもできます。化石燃料拡大への道を歩み続ける事は、単に危険な温暖化の未来に自分たちを閉じ込めることにしかなりません。地球規模の安全保障と経済的福祉に対してもっとも大きな脅威です。

日本のアジア地域での役割を再考する


ドナルド・トランプの第45代アメリカ合衆国大統領選出は、日米同盟を越えた地政学的、また、地域経済におけるオルタナティブを設定する機会と、経済的優位を誇る中国を、アジア太平洋地域の持続可能で協力的な未来に巻き込む機会を、安倍首相に与えました。つまりTPPを断念し、石炭技術の輸出をやめ、そしてパリ協定のもとで、未来の再生可能エネルギー技術に基づいた、持続可能、平和、そして豊かなアジア太平洋地域というゴールを中国とともに達成してくということを意味します。