ふとん屋の「女子会専用貸し布団」から見る、ターゲット戦略

ほしいと感じているニーズに対してターゲットをぐっと絞る事で、サービスの利用を加速させる。そして、そこから次の商品につなげる。知恵一つで、流れを変えて行く、地方の小さな事業者の事例として、とっても注目のサービスですね。
Steve Gorton via Getty Images

愛知県岡崎市の街の小さなふとん屋さんが、貸し布団サービスの売上をいかに上げるか・・・という中で、あらたな用途提案を行った取り組みが、密かに注目されているのです。

▼進化する「女子会ブーム」

2010年流行語大賞に選ばれた「女子会」。

4年経った今でも、「女子会」ブームは未だ続いており、様々なサービスを生み出しているんです。

女子会の経済波及効果は3兆6941億円――。こんな景気のいい数字が発表された。

調査を行ったのは大垣共立銀行のシンクタンク「共立総合研究所」(岐阜県大垣市)。岐阜と愛知県に住む20~60代の主婦784人を対象に、「ランチ」「夜の飲食」「ショッピング」「旅行」「スポーツ等」「読書等」の6項目について、年間にどれだけ支出するかを調べたところ、1330億円という数字が出たのだ。

(中略)

「居酒屋が個室風の内装にし、旅行業界がアロマエステ付きツアーを企画するなど、女性を引き付けるサービスを提供した結果、女子会が大きなマーケットとなりました。2010年に『女子会』が流行語大賞に選ばれてさらに拍車がかかったかっこうです。意識調査では、今後も女子会への支出を増やしたいという女性が圧倒的に多いという結果が出ています」(同研究所主任研究員の渡邉剛氏)

また株式会社メイコーポレーションの調べによると、女子会を行った事のある女子は、92パーセント、また女子会としてホームパーティを行った事がある女子は75%という数字が出た。

ホームパーティをする理由としては、「経費節減になるし、家の方がくつろげる」としている。

(日刊ゲンダイ 2013年3月23日)

日刊ゲンダイの記事にもあるように、お泊まり女子会も盛んに企画されており、高級ホテルや高級旅館もプランを作り、お泊まり女子会を誘致しようとしていますね。

「女子会 宿泊」で検索をすると、わんさか出てきます。

一方で、女子会は、若年層の方が開催に柔軟で、頻度も高い傾向もあるようです。

彼女たちの間では習慣化していて、特に気軽に、節約したホームパーティとして開く事が多いようです。

▼地方の小さな布団屋がはじめた「貸し布団サービス」

そんな中で、ホームパーティでのお泊まり女子会に欠かせないサービスも出てきています。

その中で、かゆいところに手が届く!と感じるのは、「貸し布団」サービス。

ある地方の手作りの布団屋がはじめました。「女子会専用貸し布団」サービス。

女の子が好んでくれそうな「花柄」カバーがついた3点セット。

注文した日に届けられ、そして、翌日回収される。

干す手間も、運ぶ手間も、カバーを洗う手間もない。

一人暮らしだからこそ、開きたい女子会。お泊まり女子会だって、誰にも気兼ねなく開けます。

しかしながら、困るのがお布団。

ピザを頼む感覚で、布団が届けば、この課題が解決されるという話。

▼布団を作るのが本来の事業

一人暮らしの女性も多い中で、お客様用布団がない事に目を付け、

このサービスを展開するのは、「ふとんのタツネ」(愛知県岡崎市)

http://tatune.boo-log.com

夫婦二人で営む布団店で、綿布団を作ったり、打ち直したりすることがメインの事業。それ以外に「貸し布団」サービスも行っています。

今回は、この貸し布団のサービスを、ターゲットをぐっと絞り、ターゲットにあわせたサービス内容に変えたのです。

「貸し布団」サービスを使ってもらう事はその収益につながる以上に、綿布団の良さ、タツネが作る手作り綿布団の寝心地を実感してもらう機会として、より広めて行きたいサービスとのこと。

地元新聞でも大きな紙面をさいて、注目されています。

ほしいと感じているニーズに対してターゲットをぐっと絞る事で、サービスの利用を加速させる。

そして、そこから次の商品につなげる。

知恵一つで、流れを変えて行く、地方の小さな事業者の事例として、とっても注目のサービスですね。

ではでは。

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