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「もし子どもの足を引っ張っているなら、手を離してあげて」ゲイの息子を持つ親がLGBT成人式で伝えたこと

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「お前まじでホモなのかよ」
「俺のことは掘るなよー!」

成人式の後の中学の同窓会で、わりと仲の良かった(と思っている)男子の友達からかけられた最初の言葉でした。

カミングアウトして臨む初めての成人式


1月9日は成人の日でした。今年は全国で123万人の新成人が誕生したそうです。新成人の皆さま、成人おめでとうございます。

地元の成人式に出席したのが2年前かと思うと、20歳を過ぎてからの時間はあっという間に過ぎていくなと痛感しています。

私がはじめてゲイであることを友人にカミングアウトしたのは、高校を卒業してすぐの春休みでした。大学で地元を離れることが決まっていて、友人とは「毎日顔を合わせる存在」ではなくなったからこそ伝えられたのかなと思うと、約1年が経ち、成人式のための帰省はいつもより少し楽しみで、少し不安だったのを覚えています。

地域によっては一悶着ある式典ですが、私の地元では滞りなく終わり、その後中学校の同窓会が開かれました。

カミングアウトしてから約1年。噂として自分のセクシュアリティが広まっているだろうなというのはある程度想像していたので(本来はセクシュアリティを勝手に第三者にばらすことをアウティングといって、避けるべき行為です)冒頭のような揶揄も、いつも通りの返しでひと笑い起きたあとは、他愛のない話で中学時代のことを懐かしんでいました。

とはいえ、成人式に参加したこと自体後悔しているかというと全くそうではなく、中学も高校の同窓会もどちらも楽しくて、旧友との再会は話が尽きず気づけば日付も変わっていたりして、参加して良かったなと思っています。

LGBTの新成人は約9万3千人


成人式はLGBTにとって参加しづらい現状があります。男性はスーツや袴。女性は振袖といったドレスコードが男女でわかれているため、トランスジェンダーが自分の望む服装で参加することが難しかったり、同性愛や両性愛等の人にとっても、学生時代にセクリュアリティが理由でいじめにあっていて、成人式に参加することが難しかったりすることが少なくありません。

今年の新成人は約123万人ということでしたが、LGBTの人口は約7.6%(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」)と言われているので、計算上ではLGBTの新成人は約9万3千人ということになります。決して少なくない数だと思います。

本来は、ありのままの自分で自治体の成人式に出席できることが良いと思いますが、上記のように、まだまだ自分らしい姿で祝福されることが難しい現状があるのです。

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(2016年度LGBT成人式WEBサイトより)

私が所属している特定非営利活動法人ReBitでは、誰もがありのままの自分で出席できる「LGBT成人式」を2011年から毎年全国各所で開催しており、東京では今年度で6回目を迎えることとなりました。

成人式は大人になったことを祝福する場だと思いますが、ReBitでは、成人を「成りたい人」ととらえ、成人式を「成りたい人になるための第一歩を踏み出すきっかけの日」と位置付けています。そのため、当事者の家族や友人を含め、LGBTだけでなく様々なセクシュアリティや幅広い年齢の方に毎年ご参加いただいています。

息子を語るとき、私の中でセクシュアリティは案外小さな事なんです


式典の目玉はやはり新成人の辞です。毎年数名の方が自身のライフヒストリーや、それぞれの「成りたい人」についての思いを語ります。胸を張って、自分らしく生きているさまや、力強く語るその言葉ひとつひとつに会場では涙を流す人も。

実は私も2014年度のLGBT成人式で母親とともに登壇し、私からは新成人の辞を、母からは新成人への辞を読みました。

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「小学校時代の息子の口癖は「無理」や「普通」、今とは正反対の自信のない子どもでした」

母からの新成人への辞では、私の幼少期を親視点で振り返るところから始まりました。その後もセクシュアリティの話よりは、どちらかというと息子である私の性格や、挫折体験、そこから得たであろう学びについて話していました。

「このように、息子を語るとき、私の中でセクシュアリティは案外小さな事なんです。息子は勇気を出して戦ったり、挫折したり、いろんな経験をたくさんして、今の彼になりました。大切なのは、健康や性格や人格であって、セクシュアルマイノリティーである事の悩みが、そこに悪い影響を与える事で、それはとても悲しい事だと思います。」

そして、私の中でも最も印象に残っているのが、ゲイの息子を持つ親として同じ親へ伝えたい言葉。

「ここに来ている方の中には、親御さんにまだ何も話しをしていない方もいらっしゃるでしょう。息子は大学生になってカミングアウトしてくれました。でも、ショックはありませんでした。小さな頃にテレビを見て「俺がおかまになったらどうする?」と、息子が聞いてきた時から、布石はそこらじゅうにあったんです。

今日ここにいらっしゃる親御さん達の中にも、心当たりがあった方は多いのではないかと思います。そして、そんな事はどうでもいいと気が付くまでに、紆余曲折あったと思います。

もしも、子どもの足をひっぱっている人がいるなら、手を離してあげてください。ご自分の理想に誘導しようとされている方は、腹をくくって潔くあきらめましょう。

子ども達は、いつだって行くな行くなと思う方に歩いて行くものです。親である私たちも子どもの頃はそうやって親を悩ませてきたのではないでしょうか。子どもたちは自分の進みたい方向にちゃんと進んでいくのです

私は子ども達に、失敗して、恥をかいて、傷ついても、誰かのせいにする事もなく、笑って立ち上がれる強さを持って欲しいと思いながら子育てをしてきました。これからも生きていく中で、セクシュアリティが原因でも、そうじゃなくても、つらい思いはたくさんたくさんするでしょう。どんなつらい事も、やがて自分の糧になります。笑い話にできる事もあるかもしれません。

けれど私が言いたいのは、つらい時につらいと言える強さも、同じように持っていて欲しいということです。逃げる勇気も、頼る弱さも、同じように重要な事です。私はいつもあなたの言葉を待っています。たまには、LINEではなく電話もください(笑)。ご静聴ありがとうございます。」

「成りたい人になる」そんな第一歩を踏み出すきっかけの日として、2016年度LGBT成人式は2017年1月15日(日)に世田谷区の三茶しゃれなあどホールで開催されます。