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引き渡す気もないし、金を返す気もない

2015年03月28日 15時58分 JST | 更新 2015年05月26日 18時12分 JST
PHILIPPE WOJAZER via Getty Images
French President Francois Hollande waits for guests aboard the Charles de Gaulle aircraft carrier off shore near Toulon, southern France, on August 15, 2014 as part of ceremonies marking the 70th anniversary of the Allied landing in Provence. Two months after D-Day, the Allied invasion of southern France pushed the exhausted Nazi army back towards Germany and hastened the end of World War II in Europe. AFP PHOTO / POOL / PHILIPPE WOJAZER (Photo credit should read PHILIPPE WOJAZER/AFP/Getty Images)

 フランスは、前渡金を使い切るつもりなのだろう。

 フランスがロシア向けに作っている揚陸艦だが「2隻目も公試を始めたが、引き渡しの予定もない(大意)」という記事がある。

 この揚陸艦はいわくつきである。ロシアから2隻の発注を受け、1隻目は去年の完成したものの、ウクライナ情勢によっていつ引き渡せるか、そもそも引き渡せるか分からないる。その上、2隻目が完成した状況にある。下手をすると数年間は在庫として港に係留しっぱなしとなる。

■ 建造費を使いきるフランス

 フランスは、引き渡せない軍艦の建造を継続し続けたということになる。手許にある前渡された建造費を使い切るつもりが伺える。

 揚陸艦2隻を引き渡す目処はまったくないが、契約解除もされていない。それなら「今のうちに、相手から預かっている建造費は使い切ろう」となる。仮に契約解除されても、精算時に「費消されている」として、返還しないで済むからだ。

 使い切らせる理由は立つ。工事中断は高くつくといえばよい。ドックが塞がれる分お金がかかるよとか、今の状態で引き出しすと海水で腐食するよ、中断して再工事では、着手コストとしての労務契約費や仮設工事費、資材手配費用が膨らむよ、といったものだ。

■ ロシアは弱い立場にある

 ロシアには弱みがあるので文句は言えない。ウクライナ情勢では四面楚歌にある。その状況で、フランスは、ロシアに対しまた妥協的な雰囲気がある。ロシアは、外面では孤高を気取っている。だが、欧州で話ができるフランスとの関係維持には、汲々としなければならない。

 また、ロシア体制は失敗を認められない体制である。民主主義を装っているが、政治的には後進的な権威体制にある。失敗は「強いロシア」や「強力な指導者プーチン」のイメージを損ない、その指導力低下をもたらしてしまうためだ。

 フランスとの関係や、国内での権威を考慮すれば、全く強くは出られない。たかが揚陸艦である。そのためトラブルは起こせない。それでフランスの心証が悪化し、ロシア外交の行き詰まりを世界に印象づけることを避けたい。

 だから、ロシアは揚陸艦では泣き寝入る。その引き渡しや、造船所の建造費使い切りを黙って見ているしかない。

■ 足許を見るフランス

 実際に、ロシアは契約解除に着手する素振りはない。一時期、口先では勇ましいことをいっていたが、現実には何もできない。

 フランスも見透かしている。造船所が手許の建造費を使い切ろうとしても、文句をいう勢力はない。フランスにとっては国内経済の問題でもあるため、政治は使い切りに何も言わないし、その他の勢力をみても、労働界はむしろそれをけしかける立場にあるためだ。

※ Pugliese,David"Second Mistral-class ship completes first sea trial but no delivery to Russia""Otawa Citizen"(POSTMEDIA,2015.3.23)http://ottawacitizen.com/news/national/defence-watch/second-mistral-class-ship-completes-first-sea-trial-but-no-delivery-to-russia