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霞が関の抵抗文法

2013年10月16日 22時33分 JST | 更新 2013年12月16日 19時12分 JST

成長を実現するために必要な規制改革を推進する手段として「国家戦略特区」が、アベノミクスの三本目の矢の一つとして創設されることになっている。

「総合特区」などのこれまでの特区制度は、地域が手を挙げてスタートすることになっており、国がそれを抑え込んで改革が進まないという欠点が目立った。

「国家戦略特区」は、スピード感を大事に、内閣総理大臣主導で民間の力を活用しながら集中的な改革を行うためのものだ。

この「国家戦略特区」を進めるために、まず、総理のもとに「特区諮問会議」が創設される。

この諮問会議では、総理と特区担当大臣が民間有識者メンバーとともに議論して、特定の規制に関して、所管する関係大臣に対して是正措置を要求することができる。

さらに特区ごとに「統合推進本部」が設置され、特区担当大臣、首長、民間代表が施策を推進する。

さらにそこであらたな規制改革の要望が出されれば、特区担当大臣が特区諮問会議に持ち出すという枠組みになっていた。

ところが霞が関が準備してきた国家戦略特別区域法案は、そうした狙いをつぶすための霞が関のサボタージュだということがわかってきた。

まず、「統合推進本部」は、六月十四日の閣議決定の中に、その名前もはっきりと書かれていたにもかかわらず、「国家戦略特別区域会議」と名前が変更され、「推進」の文字も消されている。

さらに特区担当大臣、首長、民間代表から組織されるはずだったこの推進本部の構成員が「内閣総理大臣、特区担当大臣、国務大臣のうちから総理が指名する者、首長、民間代表」に変えられている。

関係の大臣、つまり規制を所管する大臣がメンバーになれば、「推進本部」ではなく「抵抗本部」になるのは明白だ。

さらに会議のメンバーが増えれば、会議は形式的になる。

とくに、特区ごとに設けられる会議の構成員に総理を入れるということは、物理的に総理本人が参加することはできないので、誰かが代理で出席することになる。

その他の大臣も代理(つまり役人)でよいということにして、役人が抵抗できるようにしてあるわけだ。

しかも念の入ったことに、「(この会議)は、構成員の全員の合意により」物事を決めると書かれている。

規制を所管する大臣が反対すれば、特区は止められるように毒を盛ってあるわけだ。

さらに特区を進めるはずの「特区諮問会議」という名前も消され、「内閣総理大臣を本部長、官房長官及び特区担当大臣を副本部長、その他の大臣を本部員とする」国家戦略特別区域推進本部が創設されることになっている。

すべての大臣が本部員の会議体など、形式的な抵抗会議になるのが明白だ。

総理が所信表明で、実行あるのみと演説しているそばから、霞が関が抵抗を始めた。

まさかこの動きに同調しようとする自民党議員はいないと思うが。

2013年10月16日の「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」から転載しました)