まだまだ汚染水処理

国会で福島第一原発の汚染水処理と言えば、秋本真利代議士だ。その秋本代議士が、最近、人の顔を見るたびにヒック、ヒック、ヒックというようになった。べつにしゃっくりが出ているわけではない。

国会で福島第一原発の汚染水処理と言えば、秋本真利代議士だ。

歩く汚染水とか、歩く汚染水処理とかと言われる。(どちらを言うかはその人の立場によるようだ。)

その秋本代議士が、最近、人の顔を見るたびにヒック、ヒック、ヒックというようになった。べつにしゃっくりが出ているわけではない。

ということで、HIC、または高性能容器の話だ。

福島第一原発で汚染水処理に使われる既設ALPSは、三系統でそれぞれ毎日250トンの汚染水を処理している。

汚染水はまず、鉄共沈処理設備と炭酸塩沈殿処理設備を通り、次に14の吸着塔と2つの処理カラムを通り、処理されていく。

この吸着塔はアメリカのエナジーソリューションが製作し、東芝がALPSのシステムとして組み立てている。

鉄共沈処理設備と炭酸塩沈殿処理設備ではスラリーと呼ばれるどろ状のものが出てくる。

さらに吸着塔からは使用済み吸着材(フィルター)が出てくる。

こうしたものを入れておくのが高性能容器、HICだ。

HICはポリエチレン製の容器で、そのまわりをステンレス製の補強体で囲み、それをボックスカルバートと呼ばれる容器に2つずつ、あるいは3つずつ入れて保管する。

福島第一原発には、現在、1610基のHICがある。

専門家によると、このHICの中の放射能量は200兆ベクレルを超える。ちなみに六ヶ所村の低レベル廃棄物埋設センターに運び込まれる廃棄物の放射能量は最大でドラム缶一本当たり、5000億ベクレル。

まず、このHICは、スラリーから出るベータ線により、約10年程度で劣化するといわれる。

さらにHICの上部には、水素を逃がすための穴があけられていることになっている。ところがその穴が開いていなかったり、穴の数が設計よりも少ないHICがいくつも見つかっている。

HICはエナジーソリューションが製造し、東芝を経由して納められているが、東芝は途中まで、この穴を確認していなかった。

さらにHICの中で、水の放射線分解が起き、水素が出てくる。その水素ガスがスラリーを膨張させ、上澄みの水が水素ガスを逃がすためにあけられているHIC上部の穴から押し出され、漏れだしているものが発見されている。

HICの周りをかこっているステンレスの表面で5mSv/hという高線量になっている。水が押し出されたりして、その処理が必要になると、かなりの被曝をしながらの作業が必要になる。

地下水の流入が止まらない限り、汚染水は増え続け、その処理から出てくるスラリーも増え続ける。

そしてこのHICをどうするのか、それも決まっていない。

秋本代議士のヒック、ヒック、ヒックはしばらく続きそうだ。

(2015年7月10日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)

注目記事