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横尾俊成 Headshot

18歳からはじめる!議論の文化

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「18歳選挙権」を得て、18歳・19歳の240万人が新たに有権者として加わる参議院議員選挙。7月10日に投票日を迎えるにあたり、メディアでの報道も熱を帯びてきました。

そんな中、ニュースなどで大きく取り扱われるのは「アベノミクスの評価が争点」、「改憲勢力が2/3を占めるのか否か」、「若者は、政府・与党支持?」などシンプルで分かりやすい論点ばかり。個々の具体的な論点についてはあまり提示されていません。

例えばアベノミクスひとつとっても財政政策、金融政策、トリクルダウンの効果、株価、消費の動き...など様々な論点があるにも関わらず、ひとくくりにして議論される傾向にあるようです。

メディアから流れる情報が私たちが望んでいるものを反映しているのだとしたら、もしかしたら私たちは、YesかNoかで答えられるような、あまりにも単純明快な答えばかりを求めすぎているのではないでしょうか?

政治は、もっと複雑。

考えてみると、政治もメディアもシンプルな論点をつくりたがるのは昔からのようです。「郵政民営化に賛成か、反対か」、「安倍政権に賛成か、反対か」、最近で言えば「現状の不安感を打破するためにEUを離脱するか、否か」などがその例に挙げられます。

そんな中、有権者もまた難しい政治の話をできるだけ楽にとらえ、政策集などあまり読まず、ポスターを見てさっと投票してしまおうとする傾向が強まっているように感じます。

複雑で中々折り合いがつかず、解決していない「論点」が本当は多数あるのに、政治や社会の課題を深堀りすることなく、世の中のムードになんとなく流されて投票してしまう結果、問題は「わからない」まま放っておかれ、結果的に、後で批判を浴びるような政治家を生むことにもつながってしまっているかもしれません。

それではなぜ、シンプルな論点ばかりをメディアは提示し、有権者もそれに乗っかってしまうのでしょうか。ひとつには、私たちが普段から議論をすることに慣れていないことがあげられます。

私たちの多くは、学校で本当の議論を経験することがありません。常に上から与えられた議題や決められた論点の中で「正解」を探すことが得意な一方、論点を自ら見出し、提示すること、そしてそこから議論することが不慣れになってしまっています。

「教えてもらっていないからできない」、「言われてないからわからない」のも、自発的に問題を発見したり、解決策を探したりすることから離れていることに起因するのかもしれません。

議論をする文化をつくるには?

こうした問題を打破し、論点を見つけてはどんどん議論していくカルチャーを生み出すためにはどうすればよいのでしょうか。日本の教育現場での取り組みを見てみましょう。

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最近、「票育」という新しい政治教育が各地で行われています。票育とは、中学校や高校に地元の大学生が出張授業を行うプログラムで、都内をはじめ日本全国およそ30か所で実施されています。

運営主体は22歳以下の若者のみで組織されているNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(http://www.hyoiku-boku1.org/)です。授業を受ける生徒は、自分たちのまちにはどんな課題があり、その課題の解決策としてはどのようなものが挙げられるかをユニークな仕掛けと共にディスカッションを通じて考えます。

まちの財政や防災、ポイ捨てやホームレスに関する問題などの生徒にとって身近な個々の問題を、地元の大学生と共に見つけ、考えることで、社会問題を考える手法を一通り経験することができます。こうした政治教育は、参議院議員選挙後もぜひ各地の自治体で実施してほしいと思います。もちろん、港区でも。

『18歳からの選択』

議論のカルチャーを生み出すためにはまず、この社会にどんな論点があるのか、そしてそれが自分たちの生活にどのように結びついるかを知ることも大事。そこで今回、私は博報堂時代の先輩・上木原弘修さんと、上記で紹介した「僕らの一歩が日本を変える。」代表の後藤寛勝くんとともに「18歳からの選択」(http://filmart.co.jp/books/society/infomation/18choice/)という本を書かせていただきました。

この本では、結婚・子育てから世代間格差・高齢化、テロや戦争、憲法、LGBT、AI、宇宙開発に至るまで、10年後、20年後の未来を見据えながら、そのために今どのようなことを考えなければならず、また世の中ではどのような議論が、どんな風に議論されているかということをなるべくフラットに解説しました。そして、今後のキャリアデザインにも役立つ選択肢をたくさん示したつもりです。

もちろん大学生や大人が読んでも目からウロコの内容になっていると思います。是非一度手に取ってみていただければ幸いです!

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社会に溢れる様々な課題は、一筋縄では紐解くことのできないものばかりです。楽に、簡単に考えようとしすぎていては、本質や隠れた問題点を見落としてしまうこともあるはず。「難しいことを難しいまま考える」ことから逃げず、真正面から向き合う訓練をすることが、日本に議論の文化を生み出すことにつながるのではないでしょうか。

その先にはきっと、みんなが論点を提示し合い、それをみんなで主体的に解決する社会が待っているはず。それこそが、長い目で見て、日本が抱える、複雑にこんがらがってしまった課題を解決していく一助となると思います。

これを機に、18歳からそんなうねりがつくれたら、素敵ですよね。