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40年で自然の豊かさは半分に 『生きている地球レポート』2014発表

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EARTH
Ro-Ma Stock Photography via Getty Images
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2014年9月30日、WWFは2014年版『生きている地球レポート(Living Planet Report)』を発表しました。これは、失われ続ける自然の豊かさの現状と、世界人口の増加に伴う人類による消費活動の増大が地球上の環境にかけている負荷の大きさを、数値で示したものです。とりわけ、今回発表されたレポートは、世界の生物多様性がより深刻な危機にさらされている傾向を示すものとなりました。

失われる世界の生物多様性

地球全体の生物多様性の劣化と、その原因である、人類による資源や環境の過剰な利用の現状。

WWFは、これを数値化した、『生きている地球レポート (Living Planet Report)』を2年に一度、ロンドン動物学協会およびグローバル・フットプリント・ネットワークと共同で発表してきました。

このレポートが設けている主な指標は、次の2つです。
  • 1)生きている地球指数(Living Planet Report LPI) :地球上の生物多様性とその豊かさを示す指数
  • 2)エコロジカル・フットプリント:人類が環境や資源を消費することによる、自然界への圧力指数

これを基にレポートでは、それぞれの各国、各地域のデータや傾向、さらに地球全体で起きている環境破壊の規模を示しています。

WWFが2014年9月30日に発表した、その最新版の中では、まず「生きている地球指数」の大幅な悪化が明らかになりました。

「生きている地球指数」は、世界各地の野生生物の個体数の変動を基に計算されています。

今回のレポートでは、さまざまな環境に生息する3,000種以上の脊椎動物のデータを基に、その変動を明らかにしました。

その結果、1970年~2010年までの40年間に、この指数が52%、減少したことが分かりました。

特に、淡水の指数は76%も減少しており、それぞれ39%の減少であった陸上や海洋の指数のほぼ倍近い減少率となっています。

さらに、こうした損失の大半は、中南米を含む、熱帯や亜熱帯の途上国の国々で生じている減少に起因していることも、あらためて確認されました。

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増大する消費の圧力

生物多様性を脅かしている要因となっているのは、環境に配慮の無い開発などによる、野生生物の生息地の消失と劣化。さらに、過剰な漁業や密猟を含む狩猟などです。

また、化石燃料の消費に起因するとされる気候変動も、地球規模でその影響を及ぼし始めていると考えられています。

こうした、エネルギーや漁業資源、木材・紙などの森林資源の過剰な利用が、地球環境にかけている負荷の大きさを示す「エコロジカル・フットプリント」は、1961年から2010年までの間に倍近くまで増加してきました。

その「エコロジカル・フットプリント」の指数が示す現在の負荷の規模は、地球1個が本来持っている1年間分の生産力を、50%も超過するまでになっています。

これは、今の人類のライフスタイルを維持するためには、地球「1.5個分」に相当する資源が必要である、ということです。

また、エコロジカル・フットプリントの増大は、今ある自然環境を、ただ劣化させるばかりでなく、環境が持つ生産力や、二酸化炭素(CO2)などを吸収する再生能力そのものをも損なう原因になっています。

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世界の国々の間に生じている「不衡平」

さらに、このエコロジカル・フットプリントは、経済力とモノの消費量が大きな先進国などの国々ほど、高い傾向があります。

レポートは、こうした国々の大きな消費を、貧しい国や地域の自然が持つ生産力が支えている現状も指摘。先進国の暮らしのため、途上国で自然の豊かさが損なわれている、明確な「不衡平」が生じている事実を明らかにしています。

こうした「不衡平」は、世界人口のおよそ4分の1を占める、先進国などの人々が送っている豊かな暮らしを支えるために、残り4分の3の人々が、環境破壊と貧困にさらされている、今の世界の現状にもつながっています。

日本のエコロジカル・フットプリントは世界第42位であり、先進国のなかでは低いものの、それでも世界平均の約1.5倍の水準にあります。

この国土が狭く自然資源の少ない日本の、大きな消費を支えているのは、やはり輸入を通じた海外の自然資源。こうした日本と同じ傾向は、国民一人あたりのエコロジカル・フットプリントが高い中東の産油国などでも見られます。

解決の道は「持続可能な社会」の実現

『生きている地球レポート』が示す、さまざまな危機を解決するために必要なこと。それは、人類の消費がもたらしている環境への負荷を、「地球1個分」の生産力の範囲に抑えることです。

そのためには、生産と消費の一方通行ではなく、それを循環させ、資源を賢明に利用できる「持続可能な社会」を実現してゆかねばなりません。

2014年版の『生きている地球レポート』では、実際にエコロジカル・フットプリントを小さくし、生物多様性の損失を減らすための取り組みを行なっている、コミュニティの例も紹介しています。

たとえば、アジアのいくつかの都市が取り組んでいる、再生可能エネルギーを増やし、二酸化炭素の排出量を減らす革新的な取り組みや、アフリカで地域の豊かな自然を守るために行なわれている、政府と産業界の協働事例などです。

自然環境は、あらゆる生物の生存に欠かせないものであると同時に、人間自身が生きのびていく上の基盤でもあります。世界のどこで暮らしていても、自然の力に由来する食料や、きれいな水、空気が必要であることは変わりがありません。誰もが当事者であるという事実を起点に、不衡平の壁を破り、全ての人にとって有効な解決策を考え、未来を築くこととが今、必要とされています。

WWFはこの『生きている地球レポート』の発表を通じて、各国政府や産業界、市民社会に対し、問題解決に向けた対話と、意思決定を下すことを求めるとともに、「持続可能な社会」の実現をめざす取り組みを続けてゆきます。

関連資料

『生きている地球レポート2014』要約版(日本語)(PDF形式)

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