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アメリカでは音楽療法士は国家資格?

2015年06月30日 23時34分 JST | 更新 2016年06月29日 18時12分 JST
佐藤由美子

こんにちは。米国認定音楽療法士の佐藤由美子です。2015年も半分が終わりましたね。

昨年の暮れ、「何で音楽療法士がもっと病院にいないの? 2014年で印象に残った6つの言葉」という記事を書きました。この記事が好評だったので、今回は2015年上半期で印象に残った言葉をご紹介します。

1.「うちの病院で音楽療法士を雇うことに決めました」

今年のはじめ、大学病院の先生からメッセージをいただきました。

「音楽療法という言葉は聞いたことがあったけど、今までよくわからなかった。でも、『ラスト・ソング』(ポプラ社)を読んでよくわかりました。うちの病院では定期的にコンサートを開いていますが、それと音楽療法は違うということもわかりました」

この病院では今年から音楽療法士を雇うそうです。とても嬉しいことです。このような病院がもっと増えるといいですね。

2.「うちの施設で音楽療法士を雇ったのですが、あまりにも下手なのでもう雇わないことにしました」

残念ながら、こういうメッセージが多いのも事実です。

現在国内では、音楽療法士の資格がなくても音楽療法士を名乗ることができますので、この方のトレーニングや資格の有無はわかりません。

日本にも実力のある音楽療法士がたくさんいますし、音楽療法のニーズは高まってきています。今後音楽療法士が専門職として確立されるためには、この職業のレベルを高める必要があるでしょう。

3.「アメリカでは音楽療法士は国家資格なんですよね?」

米国認定音楽療法士(Board Certified Music Therapist = MT-BC)は国家資格ではありません。あくまでも民間の資格です。

しかし、日本と大きく違う点は、音楽療法士の資格がCBMT(Certification Board for Music Therapists)というひとつの団体から出ているという点です。

(国内では日本音楽療法学会以外にも、さまざまな団体や自治体などで資格を出しています)

アメリカで「認定音楽療法士(MT-BC)」を名乗った場合、その人がどれだけのトレーニングを積み、どのような資格をもっているかということがはっきりとわかります(→「音楽療法Q&A」)

これは、音楽療法を受ける人(クライアント)や雇用者に大きなメリットがあります。安心して音楽療法を受けたり、音楽療法士を雇ったりできるからです。

*アメリカは広い国ですので、基本的に国ではなく州で資格を出します。近年では音楽療法士の資格を認める州が増えてきています。

4.「 ホスピスケアの対象から外れることになったって...本当に終末期疾患だったのかな?」

先日のブログ記事「沖縄戦を生きのびた患者さんが死ぬ前に後悔したこと」に寄せられたコメントです。

アメリカでは病名に関わらず、6ヶ月の余命と診断された人であれば誰でもホスピスケアを受けることができます。この記事で書いた時子さんという患者さんは、末期の心臓病とうつ病のためホスピスケアを受けていました。その後容態がよくなったため、ホスピスケアの対象から外れたのです。

信じられないかもしれませんが、ホスピスケアを受けることで容態がよくなるというケースは稀ではありません。

5.「グリーフという言葉をはじめて知りました。そして、3.11以来自分がグリーフになっていたことに気づきました」

ラスト・ソング 人生の最期に聴く音楽』(ポプラ社)に寄せられたご感想です。

「グリーフ」は聞きなれない言葉かもしれませんが、喪失に対する自然な反応で、誰にでもいつかは起こることです(→「グリーフQ&A」)。

この方のように、3.11以来グリーフになっている人は多いと思います。 今後国内でグリーフケアの重要性が認識されることを願わずにはいられません。

6.「患者さんから教えられる、与えられる、それがケアの基本ですね」

NHKオーディオドラマ「ミュージックセラピスト」をお聞きになった、緩和ケア病棟のお医者さんからのコメントです。

本当にそのとおりです。私は今まで、たくさんのことを患者さんから教わりました。私が彼らに与えたものよりも、彼らから受けとったもののほうがはるかに多いです。

7.「音楽療法を学びたい方、必要としている方に音楽療法を届けてほしい」

先日、30代の患者さんのお宅を訪問しました。患者さんはピアノの先生で、音楽療法士になるのが夢だったそうです。末期がんを患っていた彼女の最後の希望は、家族で音楽療法を受けることでした。しかし、私が訪問する数時間前に、彼女はご家族に囲まれて亡くなったのです。

彼女の希望を叶えるため、ご家族とセッションをしました。そして帰り際、お姉さんから一通の手紙をいただきました。

「妹のように音楽療法を学びたい方や必要としている方のために、今後も活動を続けていってください」

2年前に帰国してから、音楽療法に関する執筆や講演活動をしてきましたが、その理由を思い出させられる出会いでした。

(「佐藤由美子の音楽療法日記」より転載)

著書『ラスト・ソング 人生の最期に聴く音楽』(ポプラ社)
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