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アンジェリーナ・ジョリー、乳房切除手術を告白

2013年05月14日 21時18分 JST | 更新 2013年05月14日 21時18分 JST
Getty Images
US actress Angelina Jolie in front of G8 foreign ministers speaks at a G8 Foreign Ministers press conference on sexual violence against women in London on April, 11, 2013 to announce new funding to tackle the issue. The G8 annouced a total of 35.5 million USD (23 million GBP), including 15.4 million USD from the UK, in funding to support efforts to tackle sexual violence in conflict and violence against women and girls (VAWG). AFP PHOTO / POOL / ALASTAIR GRANT (Photo credit should read ALASTAIR GRANT/AFP/Getty Images)

日本人女性の16人に1人が発症するともといわれる乳がん。統計によると、2008年に乳がんと診断された女性は6万5千人を超える。そのうち、5~10%は遺伝的な影響があると考えられているという。

米女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が14日、米ニューヨークタイムズ紙に「My Medical Choice」と題する記事を寄せ、両乳房の切除手術を受けたことを明らかにした。遺伝性のがんを予防するためという。

あなたにそのリスクがあったら、どうしますか。

あなたの大切な家族にそのリスクがあるとわかったら、どうしますか。

ジョリーさんの記事によると、ジョリーさんの母親は約10年間がんと闘病し、56歳で亡くなった。ジョリーさん自身も最近、乳がんと卵巣がんの発症リスクと関連する「BRCA1」という遺伝子の変異がわかった。医師から「乳がんになる確率が87%、卵巣がんになる確率が50%」と説明を受けたジョリーさんは「現実を知り、出来る限りリスクを最小にするために行動を起こした」と手術を決断。卵巣がん手術はより複雑で、乳がんリスクの方が高かったため、乳房切除手術を決めたという。

また朝日新聞デジタルによると、

乳房を切除し、インプラントで復元する手術を3カ月かけて受けた。その結果、乳がんになる確率は5%以下になったという。

ジョリーさんによると、事実婚の相手で同じく俳優のブラッド・ピットさん(49)も手術を支持し、その間ずっと病院に付き添ったという。

投稿では「この記事を読んでいる女性には、選択肢があることを理解してほしい」と記し、「人生には多くの挑戦が伴うが、受け止め、コントロールできるものを恐れるべきではない」と結んだ。

朝日新聞デジタル 2013/5/14 17:54)

としている。

このBRCA1という聞き慣れない言葉。遺伝性乳がんや卵巣がんとどのような関係があるのだろうか。

ファルコバイオシステムズのホームページによると、乳がんや卵巣がんのうち5~10%は遺伝的な要因が強く関与して発症していると考えられ、その中で最も多くよく知られているのが遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)。BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に病的変異があると、乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高くなるという。

慶応義塾大学病院のホームページでは次のように「遺伝性乳がん・卵巣がんの特徴」を紹介されており、比較的若い年齢で発症するとしている。

・若い年齢で乳がんになった

・両乳房に乳がんができた

・本人や家族に、乳がん・卵巣がんと診断された方が2名以上いる

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の情報サイトによると、乳がんや卵巣がんが多く見られる家系であっても、乳がんや卵巣がんを発症した方に必ずBRCA1/2遺伝子の変異が見つかるわけではない。また、遺伝子に病的変異があっても必ずしも乳がんや卵巣がんを発症するわけではないという。

最近報告された日本人を対象にした研究結果によると、BRCA1/2遺伝子の変異が検出されたのは約27%(36/135症例)で、他の国々での報告と同程度以上でした。

この研究では、乳がんあるいは卵巣がんを発症したことがある方で、かつ第1度近親者または第2度近親者に少なくとも1人乳がんあるいは卵巣がん発症者がいる方が対象となっています。乳がんや卵巣がんを発症された方の既往歴や家族歴の違いによって、変異の検出率に違いがあることも分かっています。

また、BRCA1/2遺伝子検査で変異が見つからなかったからといって、遺伝性の乳がんや卵巣がんでないと判断することはできません。それは、乳がんや卵巣がんの発症に関与している遺伝子が他にもあるかもしれないからです。

■ 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)が疑われたら、必ず変異が見つかるの?


BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に病的変異がある女性が、必ず乳がんや卵巣がんを発症するわけではありません。しかし、これらの遺伝子のどちらかに変異がある女性では、変異がない女性と比較して次のような傾向があると海外では報告されています。

(1) 乳がんや卵巣がんを若い年齢で発症するリスクが高い

(2) 乳がんを発症するリスク(生涯発症リスク)は、45-84%

(3) 卵巣がんを発症するリスク(生涯発症リスク)は、11-62%

(4) 最初の乳がんを診断されてから10年以内に、もう片方の乳房にがんを発症する割合は、予防的な対応を行わなかった場合、BRCA1遺伝子の変異で43.4%、BRCA2遺伝子の変異で34.6%

(5) 最初の乳がんを診断されてから10年以内に卵巣がんを発症する割合は、BRCA1遺伝子の変異で12.7%、BRCA2遺伝子の変異で6.8%

■ BRCA1/2遺伝子に変異があると乳がんになるの?


BRCAの変異は、遺伝子検査でわかる。ただ、公的保険の対象外で二十数万円の自己負担が必要だ。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の情報サイトによると、一般的には採血によっておこなわれる。医師やカウンセラーによる遺伝カウンセリングもあり、発症の可能性のほか、治療や予防、遺伝子検査の方法なども話し合われる。

各医療機関は「まずは、遺伝カウンセリングを受けて」と呼びかけている。

BRCA1/2遺伝子検査は、一般的な採血によって行われます。血液に含まれる細胞(白血球)からDNAを取り出し、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べます。BRCA1/2遺伝子検査は、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の診断をするのに役立ちます。

■ 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の遺伝子検査とは?


最近では乳がん検診も浸透してきた。一方で、患者数も増えている。家族を乳がんで亡くした人にとっては、ジョリーさんのように「もし私もなったら・・・」と心配する人も少なくないのではないだろうか。

ただ、遺伝子変異があったときに乳房を予防的に切除するケースには賛否両論あり、今後も議論を呼びそうだ。