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消費税8%、見返りは何?解雇特区や軽自動車税値上げも引き続き検討〜経済政策パッケージ【争点:アベノミクス】

2013年10月01日 20時17分 JST | 更新 2013年10月02日 15時48分 JST
時事通信社

安倍首相が消費増税を表明した。予定通り2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げる。10月1日の閣議後の記者会見で発表された。消費増税での増収分は全額、社会保障の財源に充てる。また、閣議決定された「消費税率及び地方消費税率の引上げとそれに伴う対応」を踏まえ、景気の腰折れを防ぐための「経済政策パッケージ」が実施される。

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安倍首相は記者会見で、「毎年増え行く社会保障費をどうまかなうかが課題であり、同時にデフレから脱却し、成長軌道を取り戻さなければ安定した社会制度は作れない」と述べ、財政政策と経済政策を同時に実施するとした。

そのために、消費税率を引き上げ、また、景気の腰折れを防ぐために大胆な経済政策を果断に行うと表明。5兆円規模の補正予算案を編成することや、企業の設備投資・賃上げを促す減税措置などが盛り込まれた「経済政策パッケージ案」の内容を示した。

家計向けの政策

■低所得者向けの「簡素な給付措置」

所得の少ない人ほど、食料品などの必要不可欠な消費支出の割合が高いために、消費税負担率も高くなる。この逆進性を踏まえ、所得が少ない人に現金を配る「簡素な給付措置」を実施。住民税非課税世帯などを対象に、1人当たり1万円から1万5000円を1回限り支給する。支給総額は約3000億円になる。

■「住宅ローン減税継続」と「すまい給付金」

集宅取得者の負担を緩和するため、「すまい給付金」制度が導入される。所得に応じて最大30万円、東日本大震災の被災者には所得にかかわらず住宅の被害に応じた額を、現金で給付する。この政策には約3600億円を充てるとした。

また、2013年末で終了予定だった住宅ローン減税制度も拡充し、1100億円規模の対策を行う予定だ。

■「自動車取得税の廃止」と「自動車重量税」

これまで消費税との二重課税と批判されてきた自動車関連の税制は、「見直しを行う」という表現に留まった。消費税が10%になる際に廃止することが決定されていた「自動車取得税」や、自動車取得税に変わる財源として検討されていた「軽自動車税」の値上げ、2014年度末に終了となる「エコカー減税」の存続などの検討が今後行われることになる。

しかし、軽自動車税については、TPPの交渉においてアメリカから不公平と言われていることもあり、優遇措置が撤廃される可能性もある。

企業向けの政策

政府は、企業の手持ち資金を、設備投資や賃金に回るようにすることが、デフレ脱却のカギとみて政策が作成された。安倍首相は今回の経済政策パッケージを「目先の経済を押し上げるだけの一過性の対策ではない」と述べ、企業収益の増加が、賃金上昇と雇用拡大ににつながり、消費を押し上げる「経済の好循環」につなげるための投資であると強調した。具体的な内容は次のようなものになる。

■「所得拡大促進税制」の拡大〜賃上げ促進税

企業の収益が増えても賃上げにつながらなければ意味が無い。安倍首相は「収益を賃金で従業員に還元する企業には税制で支援する」と述べ、賃金上昇につなげることを目的とした「所得拡大促進税制」を拡充する案を表明。

これまでは、2012年度と比較して、給与総額が5%増やした企業だけが法人税を10%(中小企業は20%)減ずるとされていた内容を緩和する。この対策には、1,600億円が使われ、企業の増益が確実に賃金アップに繋がることを促す。

■規制緩和のための「国家戦略特区」創設や各種法案の策定

企業の増収につながる案としては、まずは規制緩和に取り込む政策を前面に押し出した。日本の経済社会の風景を変える大胆な規制・制度改革を実行するために、「国家戦略特区」の具体化を進める。具体的には、土地利用規制の見直し、公立学校運営の民間への開放、保険外併用療養の拡充などを検討する。

さらに、農業、医療、エネルギー等の戦略分野の市場創出を加速化するため、「電気事業法改正法案」などを次期国会に提出する。また、継続審議となっている「薬事法等改正法案」の早期成立を目指すとした。

■「設備投資」や「研究開発」を促す控除

企業の設備投資や研究開発を促すために、税制を優遇する仕組みも盛り込んだ。

設備投資を進めた企業は税控除を受けられる仕組みを設ける。現金を使わず、内部留保を貯めこんでいた間に老朽化した設備を改善するため、生産性が1%以上高められる「先端設備」への投資には、即時に償却または税控除ができる「生産性向上設備投資促進税制」を創設する。

設備投資の促進は中小企業も対象とされ、補助金を中小企業向けの設備投資支援に重点化を検討するとしている。

また、研究開発費を増やせば増やすほど税控除が受けられる仕組みも検討する。

■「復興特別法人税」の1年前倒し廃止

震災の復興法人税は、「足元の経済成長を賃金上昇につなげることを前提」に1年前倒しで廃止を検討する。もちろん、25兆円の復興財源を確保することが大前提とした。今後は、「復興財源の確保」、「被災地住民の十分な理解を得る」、「確実に賃金上昇につなげられる方策を確認する」などを踏まえて議論し、12月中に結論を出す。

一方、法人税率の引き下げは、「速やかに検討を開始する」とだけの表記にとどまり、引き下げ時期は明記しなかった。

その他

東京オリンピック・パラリンピック開催にむけた「首都交通網」の整備や、老朽化した橋、学校施設の耐震化などについては、これから具体化し、景気や税収の動向を見極めた上で、12月上旬に新たな経済対策の策定を行うとした。

安倍首相は財政難に苦しんでいた長州藩が、検地で4万石を集めた例と、その収入を新しい産業を開拓することに充てた例を上げ、今回の発表内容を「ベストシナリオであると確信している」と述べた。

これから新たな経済政策は、引き続き議論され、12月上旬にまとめられる事になる。

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※訂正:TPPにおける軽自動車税に関して、「優遇措置」の撤廃と修正しました(2013/10/02 15:48)

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