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減反廃止でコメ農家に国際競争力つくのか?

2013年10月29日 23時27分 JST
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A farmer harvests rice in a paddy field in Sakura, Chiba Prefecture, Japan, on Tuesday, Aug. 27, 2013. Japan is self-sufficient in rice as the government imposes high tariffs on imports. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images

kyokasho

TPPを前にとうとう減反政策を転換。だが日本のコメ農家は大規模化で強くなれるのか?

政府は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の締結を視野に、50年にわたって続けてきたコメの生産調整(減反政策)を廃止する方向で検討を開始した。農家に対する補助金を大規模農家に絞ることで農家の集約化を促進する。ただ減反の廃止を急激に進めると、逆に大規模農家の経営を圧迫する可能性もあり、実施には混乱も予想される。

日本はこれまでコメの価格を維持するために、減反政策と呼ばれる生産量の調整を実施してきた。政府がコメの生産量を決定する代わりに、市場価格よりも高い価格で政府がコメを買い取り、農家の安定的な収益を保証してきたのである。だがTPP交渉の妥結が目前に迫っていることから、農業の競争力強化が必要と判断、保護政策の柱であった減反を廃止し、農家の集約化を促進する政策に転換する。

安倍政権における経済政策の司令塔である産業競争力会議では、民間議員が減反政策の廃止を強く訴えている。またTPPが締結された場合には、海外から安いコメが大量に流入してくることが予想される。多数の小規模農家が存在する現在の状況では、競争力を維持できない可能性が高い。

教科書的にはその通りであり、農家の大規模化は避けることができない時代の流れといえるだろう。だが減反の廃止を中心とする農家の大規模化で、本当に日本の農業に競争力が付くのかについては疑問の声も多い。仮に兼業農家が生産から撤退し、農家の集約化が進んだとしても、本当にコスト競争力のある農地は増えない可能性があるのだ。

優良な農地は、大規模農家や農業法人によってブランド米が植えられ、十分な競争力を保つことになるだろう。だが兼業農家が細々と耕作する農地の中には条件の悪いところも多く、大規模農家や農業法人にとって魅力的な農地とは限らない。結局、多くの農地が放棄され、日本にはごくわずかな農地しか残らない可能性がある。

また一部からは減反廃止そのものがうまくいかない可能性も指摘されている。兼業農家はサラリーマンとしての収入があるため、補助金がなくなり、極めて安い値段でしかコメを売ることができなくなっても、お小遣い代わりに生産を続ける可能性があるというのだ。そうなってしまうと、価格低下が必要以上に加速し、本来有利であったはずの大規模農家の経営までも脅かすことになりかねない。

コメから他の作物への転換も進まない可能性が高い。あまり知られていないが、コメはもっとも手間がかからず容易に生産できる農作物の一つである。高品質のブランド米を栽培するのは大変だが、そこまで味にこだわらなければ、週末の作業だけで十分に生産を維持することができる。そのような農作物はコメ以外にはないのが現実であり、兼業農家がコメ以外の作物に転換する可能性は限りなく低い。

原則自由化というTPPのルールを受け入れた以上、農業の集約化は進めていくしかないだろう。だがこれまでの議論では、日本の農業に本当に競争力があるのかという点について、あまり検証されてこなかった。フタを開けてみれば、一部の農業法人以外、コメ農家は壊滅という状況になる可能性があることも、ある程度覚悟しておく必要があるだろう。

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