小泉純一郎元首相、原発推進派に反論 「最終処分場できると思う方が無責任」【争点:エネルギー】

小泉純一郎元首相は11月12日に日本記者クラブで会見し、約300人の記者団の前で初めてマスコミ向けに「原発ゼロ」を訴えた。小泉氏は首相退任後は原発ゼロを強く主張したことで、原発推進派からは批判も強い。この日の会見では「放射性廃棄物の最終処分場を、原発事故の後に場所を見つけることは不可能」という見解を示して反論。「安倍総理が原発ゼロを進めて自然を資源にする国家を作ろうと方針を決めれば、反対派は反対できない」と述べ、安倍晋三首相に原発ゼロの決断をするように促していた。
JIJI

小泉純一郎元首相は11月12日に日本記者クラブで会見し、約300人の記者団の前で初めてマスコミ向けに「原発ゼロ」を訴えた。

小泉氏は首相退任後は原発ゼロを強く主張したことで、原発推進派からは批判も強い。この日の会見では「放射性廃棄物の最終処分場を、原発事故の後に場所を見つけることは不可能」という見解を示して反論。「安倍総理が原発ゼロを進めて自然を資源にする国家を作ろうと方針を決めれば、反対派は反対できない」と述べ、安倍晋三首相に原発ゼロの決断をするように促していた。

■原発ゼロの代案を個人が出すのは不可能

小泉氏はまず、読売新聞の社説への反論で、原発の代替エネルギーの問題について言及した。「私一人が代案を出すのは不可能。原発ゼロという方針を政治が出せば、必ず知恵ある人がいい案を作ってくれる」として具体案は出さなかった。ニコニコ生放送によると、以下のように発言している。

「10月8日の読売新聞の社説で、私の原発ゼロ発言に対して批判があったので、それに対する意見から始めたいと思います。『原発ゼロにした後の(代替エネルギーの)代案を出さないで、原発ゼロ発言をするのは無責任。あまりにも楽観的すぎる』という批判でした。でも、原発問題は広くて大きくて深い問題ですよ。国会議員だけで代案を出そうたって、なかなか出せるものじゃありません。まして私一人がゼロの代案を出せと言ったって不可能ですよ。

だから、政治で一番大事なことは方針を示すことだと。『原発ゼロ』という方針を政治が出せば、必ず知恵ある人がいい案を作ってくれるというのが私の考えなんですよ。内閣に原発ゼロに賛同する専門家を、経産省、文科省、関係省庁の官僚も含めて識者を集めます。何年かけてゼロにするのか。その間の再生可能エネルギーをどのように奨励し、促進していくのかなどの広範囲の問題を考えていきます。

こんなのが一政党や一議員に浮かぶわけがないじゃないですか。だから専門家の知恵を借りて、その結論を尊重して進めていくべきです」

■事故の後に「最終処分場を見つけろ」という方が無責任

その上で、フィンランドの核廃棄物の最終処分場「オンカロ」を訪問したことを引き合いに出して、日本国内で最終処分場の場所が10年以上かかっても決まらない以上、福島第一原発事故の後に見つけることは不可能という見解を示した。ニコニコ生放送によると発言は以下の通り。

「原発ゼロ批判論者は、『核廃棄物の処分法は技術的に決着してるんだ。問題は処分場が見つからないんだ』と。ここまでは私と同じなんです。ここから先が私と違うんです。

原発必要論者は『処分場のメドがつかない。メドをつけるのが政治の責任ではないか』という主張なんです。私は結論から言うと、これから日本において、核のゴミの最終処分場のメドをつけれると思う方が楽観的で無責任すぎると思いますよ。

10年以上前から最終処分場の問題は技術的には決着してるんですよ。それをなぜ10年以上かかっても、一つも見つけることができないのか。政治の責任で進めようと思ったけどできなかったんじゃないですか!? それを事故の後『これから政治の責任で(場所を)見つけなさい』っていうのが必要論者の主張ですよ。この方がよっぽど楽観的で無責任ですよ」

【※】小泉氏が代案を明確に示さずに原発ゼロの決断をするように安倍首相に促したことを読者の皆様はどのように感じましたか?コメント欄にご意見をお寄せください。

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