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【韓国船沈没】大量犠牲の原因は「儒教文化」? 欧米の指摘に反発の声も

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JINDO
JINDO-GUN, SOUTH KOREA - APRIL 16: In this screen shot handout of helicopter camera provided by the Republic of Korea Coat Guard, the ferry is seen sinking off as the rescue work continues the coast of Jindo Island on April 16, 2014 in Jindo-gun, South Korea. Two people are dead, and more than ninety are missing as reported. The ferry identified as the Sewol was carrying about 470 passengers, including the students and teachers, traveling to Jeju island. (Photo by The Republic of Korea Coast Gu | Handout via Getty Images
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韓国南西部の珍島沖で沈没した大型旅客船「セウォル号」の事故で、300人以上の死者・行方不明者が出た原因は、儒教文化にあるとする意見が欧米などで出ている。修学旅行の高校生が「船室で待機」を命じた案内放送に従順に従った結果、沈没した船に閉じ込められて多数が犠牲になったとの見方だ。韓国内にはこうした見方を受けて反省や反発が交錯している。

CNNは次のようにリポートしている。

アンカー:韓国の文化的な価値観が、多くの生徒が船の中に取り残された大きな原因かもしれないですね。

リポーター:確かにそうですね。今回は特に、両親が付き添っていない高校生の修学旅行です。韓国の文化が子供や生徒に称賛するのは、服従です。だから大人からその場にとどまるように言われ、もちろん彼らはとどまりました。大人たちは「急いで甲板に出ろ」と命令されていれば、子供たちは海に飛び込んで助かったかも知れないと、親たちは怒っています。胸が痛いことでしょう。子供たちに服従を教え込んだのは、まさに親たちにほかならないからです。

(CNN.com Blogs "South Korea cultural values played a role in passengers staying below deck as ferry sank – The Lead with Jake Tapper - "より 2014/04/18 16:24)

地方紙ダラス・モーニング・ビューズの論説委員も、以下のようなコラムを書いた。

ここアメリカでは、そもそも、船が沈むという状況でさえ、高校生が大人の言いつけを完全に忠実に守るということは信じがたい。

なぜなら我々アメリカ人は、そしておそらくテキサスの人間は、集団より個人を優先させるからだ。もしこの船の乗客がアメリカ人の生徒だったら、彼らは何としてでも船から脱出しただろう。しかしアジアの文化では、個人より集団の要求に重きを置く。服従は絶対条件なのだ。

(Dallas Morning News"South Korean ferry: death by obedience | "より 2014/04/21 13:52)

シンガポールのストレーツ・タイムズ紙はより踏み込んで「儒教文化」の価値観に原因を求めた。

他のアジア諸国のように、韓国社会は儒教文化を基盤とし、権威や年長者への服従を強調している。セウォル号事故の発生直後、この価値観も問われた。記者の15歳の娘はソウル中心部の学校に通うが、友人とこの事故について長いこと議論した。結論は「大人や先生や権威ある人を無視し、自分たちのことを考えることがベストだ」。従順な生徒が行方不明になり、言うことをきかない生徒が生き残ったと、10代の生徒たちは結論づけた。

(Straits Times "South Korea ferry disaster: Fury and questions grip South Koreans"より 2014/04/17 14:28)

韓国人の意見はどうか。

韓国紙「ヘラルド経済」の北京特派員は、中国でも韓国の「服従文化」が事故の原因だと指摘する声があるとして、年長者に無条件に従うのではなく、独立した思考や判断の必要性を訴えている。

(中国メディアは)韓国と儒教文化を共有する中国も、セウォル号事故を通じ、不健全な「服従文化」を検証し、教訓を得なければならないと指摘する。中国でも、韓国ほどではないが、年配者や先輩に無条件服従する現象は珍しいことではない。

(中略)

韓国の「服従文化」が無益というわけではないだろう。しかし我々は、他人が決めた標準を簡単に受け入れすぎる傾向がある。実際、長幼有序の伝統が根付いた韓国社会で、服従への疑問や挑戦はあまり見られない。ここには韓国特有の軍事文化的な色彩も強い。

(ヘラルド経済「中国人も批判する韓国の‘服従文化’」より 2014/05/07 12:01)

これに対し韓国の儒学者は米紙ウォールストリートジャーナルで「文化的偏見」と批判し、むしろ高校生が非常時の船内で秩序だって行動したことを、孔子の説く「公共心」を発揮したと評価した。

東アジア人が権力者に疑問を持たないという仮説だが、多くの人々がこの(あるとされる)傾向を誤って孔子の教えのせいにする。だが孔子はたとえ両親に対してでも、盲従するように説いたことはない。父が息子に盗みを教えたら息子はそれに従って盗人にならなければならないのだろうか。これは「孝行息子」のとんでもない解釈だ。孔子が説いたのは目上の人々を敬うということだ。

(中略)

非常時に必要とされるのは無謀で無責任な「自由」ではなく自制と協力だ。この点で生徒たちはよくやった。彼らは慌てずに指示に従い、互いを助け合った。生存者は、生徒たちが救命胴衣を譲り合う場面を目撃した。彼らは自分より集団の必要性を優先した。そのことは間違いではない。最も緊迫した状況で公共心を発揮したのだ。彼らの行動は、仁者は「己立たんと欲して人を立てる」という孔子の教えをまさに体現したものだった。


(WSJ日本版「セウォル号の悲劇、儒教のせいではない=儒学者」より 2014/05/07 04:19)

乗っていた高校生たちは、疑問を持たなかったのだろうか。

ケーブルテレビ「JTBC」が遺族から提供された船内の映像には、船室内で待機するよう求めた船内放送に、高校生から疑問の声が噴出していたことがわかる。

「えっ、おかしいんじゃない」
「こんな状況でそういうこと言う? 安全だからじっとしてろって」
「じゃあ私たちだけで出よう」
「地下鉄(2003年の大邱地下鉄火災)でもそうだったじゃない。安全だからそのまま動くなって言って、本当に動かなかったから死んだって。外に出た人は助かって」

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韓国・セウォル号沈没事故(2014/04/16~)
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