夏がやってきた。陽光が冴え渡るビーチの風物詩と言えば、女性達の着るカラフルなビキニの水着だが、あなたはその起源が南太平洋で行われた原爆実験だということをご存じだろうか?
第二次大戦の終結の翌年である1946年7月、アメリカ軍は広島と長崎で落とした原爆の効果をさらに確かめるベく、南太平洋のビキニ環礁で原爆実験を行った。世に言うクロスロード作戦である。
21キロトン級の原爆「エイブル」と「ベーカー」が7月1日と25日の2回にわたって投下された。実験用として集められた軍艦のうち、旧日本海軍の軽巡洋艦「酒匂(さかわ)」は2日、戦艦「長門(ながと)」は29日に沈没している。
クロスロード作戦でのベーカー爆破実験(1946年7月25日)
アメリカが核実験に成功したとの報道は、あっという間に世界を駆け巡った。フランス人のルイ・レアールは同年7月5日に、露出度の高いツーピースの水着をパリで発表。クロスロード作戦の原爆の破壊力になぞらえて「ビキニ」と命名した。これが水着のジャンルとして一般に広まった。
1946年7月5日で初めて発表された「ビキニ」の水着
クロスロード作戦以後、周辺地域ではアメリカ軍による原爆・水爆実験が相次いだ。1958年までの12年間で、計67回にも及んだ。1954年の水爆「ブラボー」の実験では島民だけでなく、第五福竜丸など近海で操業していた漁船の乗組員らも被曝する結果となった。核実験が終わっても放射能汚染がひどすぎて島民は帰還できなかった。核実験から60年たった2014年現在でも、ビキニ環礁には施設の維持管理などに当たる作業員5人ほどが暮らすだけだ。
美しいビキニの水着を見かけたら、太平洋で実施された凄惨な原爆実験があったことを、たまには思い出して欲しい。
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