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「福島の子供の甲状腺がん発症率は20~50倍」 津田敏秀氏ら論文で指摘

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2011年3月の東京電力福島第一原発事故による放射性物質の大量放出の影響で、福島県内ですでに甲状腺がんが多発しており、今後さらに多発することは避けられない――。

こうした分析を、岡山大学大学院の津田敏秀教授(生命環境学・環境疫学)らの研究グループがまとめ、国際環境疫学会が発行する医学雑誌「Epidemiology」(インターネット版)で発表された。

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8日に東京の日本外国特派員協会で記者会見した津田氏は「チェルノブイリ原発事故で4年以内に観察された甲状腺がんの多発と同様の現象が起きているが、日本国内ではこのことが理解されず、何の準備もされていない。よく準備して対策をとるべきだ」と訴えた。

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津田氏は、福島県内で2011年10月から実施されている、甲状腺がんの超音波スクリーニング検査数値を分析した。

調査は事故当時18歳未満だった福島県民全員、約38万5000人を対象に、段階的に実施されている。このうち、2011~13年度に検査を受けた約30万人について、100万人あたり3人程度といわれる、ほぼ同年齢の日本全国での1年間あたりの発症率と比較した場合、福島市と郡山市の間で約50倍、福島原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍となった。2013年調査のいわき市で約40倍となるなど、潜伏期間を考慮すると発症率がより高いとみられるケースもあった。

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1986年にソ連(現・ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故では、14歳以下の甲状腺がん患者の発生が5年目以降に急増したという。津田氏は「福島県内において甲状腺がんの著しい多発が起きていて、チェルノブイリで4年以内に観察された甲状腺がんの多発と一緒であり、チェルノブイリ同様、5~6年目以降の大きな多発は避けがたい状態だ」と指摘した。

福島県の検討委員会は8月31日時点で、事故当時18歳未満だった計104人が甲状腺がんと確定したことを明らかにしているが「現時点では原発事故の影響とは考えにくい」とし、理由としてスクリーニング検査による精度の向上や、治療の必要がないのに陽性と診断する「過剰診断」を挙げている。津田氏は「精度向上や過剰診断ではせいぜい2~3倍、あるいは6~7倍、1桁の上昇しか説明できない。統計学的な誤差の範囲もはるかに超えている」と、国や福島県の姿勢を批判した。

その上で「詳細な情報を与えるだけで、有害な暴露は桁違いに少なくなる。きめ細やかな、コストのかからない対策はいくらでも思いつく。被曝量の多い場所を見つけて滞在時間を少しでも短くすることで大きく変わってくる。不要な被曝を避ける手段が、まったくとられていない。福島県に住み続けなければならない人ほど、そういう知識をきちんと与えられなければならない」と指摘した。

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