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【真田丸】草刈正雄演じる真田昌幸、狡猾だけどどこか憎めないわけは...

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『真田丸』戦国時代"描写"ならではの難しさ 一方で"三谷脚本"真田昌幸への好感

主演の堺雅人を筆頭にキャスト陣の好演も話題のNHK大河ドラマ『真田丸』だが、ドラマファンからの声は好評価の一辺倒ではないようだ。
めくるめく謀略が繰り広げられ、情勢が二転三転する波乱の戦国時代における物語の展開の速さに「難しい」「わかりにくい」といった意見もある。

さらには、武田家にはじまり、北条、織田、上杉、徳川、豊臣と、何度も主家変えを図る変わり身の早さ、また策略のためなら息子の結婚式を幼なじみ暗殺の場に利用することも厭わぬ主人公・真田信繁の父・昌幸のふるまいに「ブラックすぎる」「安房守(あわのかみ※昌幸の役職名)というより、あわあわのかみだ」といった悲鳴にも似た声も上がっている。


◆裏切り、謀略は戦国時代のスタンダード

こうした声の多くは、一領主から戦国大名にのし上がっていく真田一族のさまざまなエピソードが描かれるなかで、日本史のとくに戦国時代にそれほど詳しくないドラマファンにとっては、なじみにくいことがあるだろう。しかし、そもそも戦国時代とは、大名ら全国の武将が領地の熾烈な争奪戦を延々と繰り広げ、その過程では大名家などとの政略結婚や主君に人質として一族の人間を捧げる行為が日常的に行なわれてきた。

そんな時代では、策略による裏切りや謀略はいわばスタンダード。

その時代を描く戦国ドラマでは、史実に逆らうことなく、人物像に誤りがなく、広く一般層に向けてどう描写するかで、製作側はさまざまな演出を続けてきた。主人公に添えた武将の裏切りや謀略を、視聴者に“悪”としてだけで捉えられることのないように、主人公にとっての確固とした大義を丁寧に描くことに歴代の大河ドラマ脚本家は苦心してきている。

それが『真田丸』においては、三谷幸喜ならではの脚本で、ともすればおよそ主人公らしからぬダークなキャラクターに見える真田昌幸をソフトに描き出している。


◆三谷脚本ならではの草刈正雄演じる昌幸の狡猾さ

息子たちの成長を見守りながら、物語を牽引していく昌幸は、初回から武田家を守ると宣言したそばから、武田家は滅びると予言したり、策略のためなら長男・信幸を騙し、次男坊・信繁のやる気を悪用して、息子たちを傷つけ、泣かせても、少しも悪びれない。刻々と変わっていく戦況に臨機応変に対応する昌幸の巧妙な立ち居振る舞いは、鼻持ちならない感情にも似た不信感が宿ってしまうのも致し方ない。

しかし「真田三代」の二代目・昌幸も、我が主は武田信玄ただひとりであるという信念を貫いた武将であった。『真田丸』では、武田家滅亡後も信玄への忠誠心が揺らぐことがなかった昌幸の“大義”をしっかりと描写している。

そんなひとクセもふたクセもある昌幸を嬉々として演じているのは、元祖二枚目俳優の草刈正雄。何でも顔に出てしまう生真面目な長男を演じる大泉洋と比べれば、草刈の甘くて濃いマスクは、昌幸の本心を隠すのにうってつけだ。登場人物の内に秘めたおもしろみを引き出す、三谷幸喜らしい脚本で、昌幸の狡猾さが前面に出ているきらいはある。

しかし、戦国ドラマとはいえ、あれだけの裏切りを繰り返して謀略をめぐらす男をなぜか憎めず、どこか愛らしく感じさせるところも、草刈の個性を引き出している三谷脚本のよさなのだろう。

偉大な父・昌幸の背中を必死で追いかける信繁を演じるのは、数々の出演作での妙演も印象深い、芸達者な曲者俳優・堺雅人。この先、「第一次上田合戦」「関ヶ原の戦い」などの大難局に面したときにも、草刈と堺の持ち味を活かした三谷脚本ならではの良さが光ることだろう。

笑いと感動が相混ざる父子の名シーンにも期待したい。

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