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「外国にルーツ」の子が4割超、大阪ミナミの小学校 「この子らは宝や」【ルポ】

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世界各地で難民が問題となるなど、近年、外国人との共生が大きな課題としてクローズアップされるなか、日本は移民・難民をどう受け入れ、付き合ったらいいのか。この課題は首都圏だけの話ではなく、地方でも課題となっている。大阪市のミナミの繁華街では外国にルーツを持つ子が増え、地元小学校や地域は取り組みを進めている。現地から報告する。

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「Minami こども教室」でボランティアの指導をうけて学習する子供たち=大阪市中央区

5月下旬。西日本随一の繁華街、大阪・ミナミにある「中央区子ども・子育てプラザ」に夕方、子供たちが集まってきた。

「ただいま」「こんにちは」

毎週火曜日の午後6時から開かれている「Minami こども教室」だ。外国にルーツを持つ約30人の子供たちが、日本語を学んだり学校の宿題をしたり、定期テストの準備をしたりしている。指導するのは大学生や会社員ら市民ボランティアだ。

「こども教室」は2013年9月に始まった。対象は小学校3年生から6年生だが、ほかにもここを卒業した中学生で継続して通ってくる子もいる。

午後8時前、マンツーマン指導を終え、教室の最後に集まった児童らを前に、2人の子供が作文を読み上げ、終了した。そのうち1人、中学1年生のレガスピ・ブラヤネさん(12)はハフポスト日本版に対し、教室について「友達と一緒に勉強し、話すのが楽しい」と話した。

■将来の夢は東京の高校への進学

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作文を読み上げるレガスピ・ブラヤネさん(奥右)と、教室の実行委員長、金光敏さん(奥左)=大阪市中央区

母はフィリピン人、父はブラジル人。日本で生まれ、4~6歳の時は母とフィリピンで過ごした。父は母国に帰ってしまった。6人姉妹の長女で、母が仕事で不在の夜は、妹たちの面倒を見ている。教室には小学4年の時から通っている。教室に来ている時はどうしているのか尋ねると、「家では携帯やタブレットでYouTube見ているから大丈夫」と話した。

学校ではサッカー部に所属し、毎日練習に励む日々だ。好きな科目は英語と体育。将来の夢について聞くと、「東京の高校に行きたい」と教えてくれた。ただし、その先については「内緒」だ。

「こども教室」に通う子供たちの多くは、近くにある大阪市立南小学校に通っている児童らだ。この学校では、全校児童児童180人の4割以上にあたる約80人が、フィリピンや中国、韓国など外国にルーツを持っている。

大阪市の住民登録人口に占める外国人比率は約4.4%(2013年12月末現在)で、全国の政令指定都市で最も高い。ミナミの大部分を占める中央区の外国人登録者は、韓国・朝鮮籍が多い生野区と平野区に次ぐ7600人(2016年3月末)で、9万5800の住民の約8%を占める。中央区と隣の浪速区は中国籍をはじめとして、どの国籍の人も増加傾向にある。

ミナミには、バブル期から(歌手やダンサー向けの)興行ビザでフィリピン人が多く入ってきた。そのフィリピン人の女性たちと日本人男性との間に生まれた子は「JFC(ジャパニーズ・フィリピーノ・チルドレン)」と呼ばれている。ミナミでは、外国にルーツをもつ子供たちは2004年~05年ころから増えてきたという。

■「子供たちは過去の自分のよう」

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「Minami こども教室」でボランティアの指導をうけて学習する子供たち=大阪市中央区

「教室はこの子たちの憩いの場、居場所です」。教室の実行委員長、金光敏(キム・クァンミン)さん(44)はそう語る。

金さんは在日コリアン3世で、外国人支援をする「コリアNGOセンター」事務局長。ソーシャルワーカーでもあり、これまで多くの母子支援をしてきた。

自身の少年時代は、在日への根強い差別と貧しさから「努力をしたら報われる」という実感がなく、荒れていたという。だが、学校に行かないといけないという母の勧めがあり、高校に進み、いまに至る。「ここに来る子供たちは過去の自分のよう。自分の姿を思い出しながら、手助けしたいと思っているんです」

「こども教室」の会場は区から無償で借りているが、運営資金が課題だ。「公のファンドがほしいし、教え方を知っているボランティアも確保していかないといけないですね」と話す。今後は、寄付集めに力を入れていくという。

金さんは語る。「ここの子が、将来は助産師になりた言っているんです。素敵でしょ。国境をまたいで活躍する。こんな可能性を持った子供たちです。医者やスポーツ選手になりたいという子もいます。みな、将来の目標を持ってほしいですね」

5月下旬のこの取材の後、ブラヤネさんがフィリピンに帰ることになった。生活が苦しいためで、2017年3月までは現地にいるのだという。

金さんは「貧困が子供たちの日々をゆがめていく現実を前に、無力を感じます」と語った。

■「国際交流の懸け橋になった時は、すごい力になると思う」

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日本語を学ぶ生徒に話しかける大阪市立南小学校校長の山崎一人さん=大阪市中央区

「Minami こども教室」の設立や取り組みについて、子供たちの多くが通う大阪市立南小学校校長の山崎一人さん(61)に聞いた。

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この学校に赴任した2012年の4月の入学式の直後、フィリピン母子の無理心中がありました。衝撃的な事件で、母親と妹は助かりましたが入学したての6歳の男児は亡くなりました。これによって、外国にルーツを持つ子供たちが抱える生活や学力の厳しい現実が改めて明らかになり、「Minami こども教室」開設のきっかけになりました。

入学式では、保護者のみなさんが満面の笑みでした。そのお母さんも同じような笑顔で子供の姿をタブレットに収めてはりました。事件が起こったのはその1週間後のことです。市の検証結果は「母親が言葉や文化の違いから孤立感を深め精神的に不安定になったのでは」と指摘しました。ただね、後からわかったんですが、一番大事にされていたタブレットの盗難被害にあわれていたようなんです。写真もデータも入っていてとても大事にされていたものです。心中事件の前日かそのあたりです。

南小学校の外国にルーツをもつ課題の大きい子供たちを見て感じたのは、かつて私が教師になって最初に赴任した「同和教育推進校」の子供たちの抱えている状況と似ているなということです。そのため「自文化理解を基盤とした多文化共生の学校づくり」を教育課題に挙げ、つながりを重視した取り組みを強化していきました。

赴任当初、4月の事件を含め、学力が数値に表れないことや生活の改善が図れないことに教職員はとても疲れていたように感じました。そこで、教職員がやらなければならないこと、授業改革や行事の見直しでを徹底していったんです。

しかし、学校だけではどうしようもないものもありました。例えば、日本語が不自由な親に宿題などの協力を得ることができなかったり、夜間、子供だけで生活をしなければならない現実があったりしたんです。そのため連携していただけるところはないだろうかと探しまくりました。そんな中、地域のNPOが主催した「外国人母子支援事業をテーマにしたネットワーク会議」に参加しました。会議には行政と領事館、NPOが参加しており、4月の事件についても話し合われていたようです。その会議に何度か参加するうちに本校の実態も共有化が少しずつ図れるようになっていき、外国にルーツをもつ学習支援と居場所である「こども教室」誕生へと繋がっていきました。

「こども教室」は学校と地域、外国人支援団体がそれぞれが持っているノウハウを活かしてつながって実行委員会をつくり、スタートをきったんです。

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大阪市立南小学校の高学年の授業の様子。半数が外国にルーツのある子供という

数人の子供とボランティアから始めた「こども教室」も現在、子供の登録数は40人弱で常時参加者は約20人、ボランティアの登録数は40人以上にもなっています。今は、中学生も参加しています。

「違い」が溢れているこの子供たちは、これからの多文化共生の社会にとって「宝」やと思うんです。それは、異文化で生活することの厳しさを体感し、ものすごく厳しい現実を知っているからです。この子供たちが異文化に暮らす厳しさに押しつぶされ社会からドロップアウトしてまうのではなくて、こういった厳しさを知っている子供たちが国際交流の懸け橋になったらすごい力になると思うんです。その道をつけてあげたいと強く思っています。

子供の家庭の来日目的は様々ですが、中には、JFC(ジャパンフィリピノチルドレン)と言われ、人権を侵害され経済的にも社会的にも苦しい生活を強いられている母子もいます。一方で経済的にも豊かな生活を送られている方もいて、大きな格差があります。

多文化共生の学校づくりを進めていくと、南小学校は、「外国人のことばかり手厚くて、その分、日本人のことを考えてもらえてないんじゃないか」という声が聞こえてきます。とても、残念な気持ちになります。多文化共生の学校というのは、日本人の子供にとっても外国人の子供にとってもこんなに恵まれた環境はないと思うんです。これからの国際社会を生きていく上で「ちがい」を肌で感じ、多様な文化に触れ、その中でコミュニケーション力を養い、主体的に協働的に持続可能な社会を築くという力は、欠かすことができないと思います。

これからも南小学校の多文化共生の学校づくりが広がって行けばと思っています。学習中、通訳をする子がいたり、外国語を教えてもらう子がいたりする光景が日常的に見られます。思わず、「すごい」と思っています。

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