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環太平洋合同演習(リムパック)に27カ国が参加 海洋生物への影響は配慮されているか

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US NAVY / REUTERS
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夏の旅行者が太陽と砂と波を求めてハワイへ押し寄せるなか、ハワイ沖には27カ国の軍艦が、5週間の環太平洋合同演習(リムパック)のためにやってくる。

リムパックは、アメリカ海軍第三艦隊が主催する世界最大の国際海洋軍事演習とされる。1971年からほぼ2年ごとに実施され、日本の海上自衛隊も80年から参加している。アメリカ海軍は「シーレーンと世界の海の安全を確保するために不可欠な関係国との連携」を目的としている

この大規模な軍事演習について、ハワイの住民や環境保護団体から議論が噴出している。演習が海と海洋生物をにダメージを与えるという理由からだ。演習の多くは、はるか沖合いで行われ、旅行者には目に見える影響はない。

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2014年のリムパックで、40隻以上の船と潜水艦が同盟15カ国から参加し隊列を組んで進む

25回目となる2016年の演習は過去最大規模となり、6月30日から8月4日まで続けられる。27カ国、45隻の船舶、200以上の航空機、5隻の潜水艦、そして2万5000人の人員が参加しハワイ周辺海域と、南カリフォルニアで行われる。

アメリカ海軍のロシェル・リーゲル報道官はハフポストUS版に、「リムパック2016は、デンマーク、ドイツ、イタリアが初めて参加し、最新鋭潜水艦の救助訓練を実施する。そして、アメリカ海軍の沿海域戦闘艦からハープーンミサイルが発射される」と述べた。ブラジルは現在、数々の危機に直面しながら、この夏の終わりにオリンピックを控えており、リムパック参加の予定だったが「予期しない出来事」により帰国した。

参加国は災害救助、海洋保安活動、海洋監視その他複合的な軍事戦闘訓練を実施する。訓練では、アメリカの2隻の退役艦「タク」と、「クロメリン」を攻撃目標とし、太平洋の海底の海の墓場へと送ることになる。この訓練を軍は「シンケックス」と呼ばれ、退役した船舶を沖へとえい航し、ミサイルや魚雷でその船が沈むまで攻撃するというものだ。

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メキシコのヘリコプターがロケットを元米国艦「コノリー」に発射して沈めた2009年リムパックの様子。

リーゲル報道官によると、地球の70%は水で覆われており、世界の人口の80%は海岸線、そして海上に住み、国際的な商取引の90%は海運を利用している。

「世界の海洋環境はあまりに大きく、複雑すぎて、どの国にとっても単独で安全を確保するのは困難です」と、リーゲルはハフポストUS版に答えた。

軍事演習がクジラ、イルカその他の海洋生物の犠牲を生んでいる。

環境活動NPO「アースジャスティス」は2013年、海軍とアメリカ海洋漁業局を提訴した。代表のデビッド・ヘンキン氏はハフポストUS版に、「リムパックをはじめとする海上軍事演習がクジラやイルカを傷つけているのは、科学的議論を待たない」と語った。

ヘンキン氏は「このことは確実です」と語る。海軍の推計によると、ハワイと南カリフォルニア沖での訓練により、この5年あまりの間に155頭の海洋性哺乳類を不用意に殺し、およそ2000頭を傷つけたと指摘している。

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ハワイ、コナ沖で撮影されたイルカの群れ。

海軍は2015年にクジラ、イルカなどの海洋哺乳類に危険が及ぶ生息域ではソナー(水中物体探知機)と爆薬の使用を制限することに合意した。この合意は、ハワイ地方裁判所のスーザン・オキ・モルウェイ判事が2015年4月に「海軍は、演習の海洋生物への影響を著しく低く見積もっている」という判断を下した数カ月後に実現した。

ヘンキン氏からすると、それは「妥協」だという。海軍は影響の大きい海域での活動は制限したものの、リムパックなどを含めて、海の生物への脅威は続いているとヘンキン氏は語る。

アースジャスティスは、海軍とアメリカ海洋漁業局に演習を全て停止するように圧力をかけ続ける。

「私たちはリムパックについて、重大な懸念を抱いています」とヘンキン氏は語る。また、2004年の演習は「カウアイ島での150から200頭のイルカが座礁した原因になった可能性が高い」とも述べた。「今後このような座礁を防ぐ唯一の手段は、海軍が命に関わるような演習を海洋哺乳類の生息域に影響を与える場所で行わないことです」

アメリカ海洋大気庁は、イルカの座礁がリムパックによるものかどうか、結論は出していない。「この座礁事件の因果関係は明確に特定できていません。私たちは2004年7月2-3日のアクティブソナーの発信が、この事件が起きた原因としてありうると考えています」と海洋大気庁は報告している

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リムパック2014でエアクッション型揚陸艇( LCAC)が米国艦ラッシュモアから降ろされ、カノアヘベイの海兵隊ハワイ基地への上陸の準備をする

アースジャスティスの訴訟に加え、シエラクラブやバセルアクションネットワークといった環境保護団体も、2011年に環境保護局を提訴している。シンケックスで、海が有害物質に汚染されることを環境保護局が防がなかったというのが理由だ。

リムパック演習の海洋生物に影響を与える可能性を最小限に抑えるために、リーゲル氏は「参加国が海洋生物保護の訓練を受け、環境保護規則に従うことが求められている」と語った。これらの規則は、訓練を受けた管理者の任命、ソナーや爆薬の使用前と使用中の海洋生物のモニタリング、安全な除外区域の設定そして「海洋哺乳類が所定の距離にいることが推測されるときにはソナー発信を減らすかもしくは取りやめること」などが含まれる。

2016年の訓練のテーマは、「能力、適応力、パートナー」で、参加国はオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、インド、インドネシア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、中国、韓国、フィリピン、シンガポール、タイ、トンガ、そしてイギリスとなっている。

南シナ海の緊張が高まる中、中国はリムパックに復帰(2回目の参加)する。3月、アメリカのマーク・タカイ下院議員(ハワイ地区)は、アッシュ・カーター国防長官に「中国のリムパックへの参加を禁止するように」要請した。タカイ議員によると、中国の最近の行動は「この地域でアメリカ合衆国が目指すものと対極にあるものだ」という。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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