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「改憲勢力が3分の2」って本当? 民進党は護憲を否定、公明は「9条変えない」【参院選】

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SHINBUN
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参議院議員選挙から一夜開けた7月11日、新聞の各紙は「改憲勢力が3分の2議席を獲得し、国会で改憲を発議する要件が整った」などと伝えているが、良く比較してみると微妙に表現が違っている。

さらに、選挙の大勢が判明した10日夜、テレビ番組に出演した民進党の枝野幸男幹事長は「護憲ではない」、公明の山口那津男代表は「9条は変えない」と発言した。

おや?民進は「3分の2をとらせない」と言っていたはず、公明は「改憲4党」の一角だったはずでは...?「3分の2」とは一体何だったのか?もう一度整理してみたい。

■3分の2に「迫る」朝日、「超えた」産経。この違いはなぜ?

参院選挙の結果、「改憲前向き4党」と言われた政党が獲得した議席は合計「77」(自民56議席、公明14議席、おおさか維新7議席、日本のこころ0議席)だった。

その結果を受けて、7月11日の朝日新聞デジタルは「自公と維新の改憲3党77議席 参院「3分の2」に迫る」と報じている。これに対して、産経新聞などは「改憲勢力3分の2超」としている。結局、超えたのか、それとも超えてないのか?なぜ表現が違うのだろうか?

実は、朝日新聞がこの原稿で採用していた改憲ラインは「78議席」、産経新聞は「74議席」だった。

朝日新聞が「78議席」としていた根拠は以下の通りだ。

参院(定数242)では、非改選の121議席のうち、与党とおおさか維新、日本のこころの「改憲4党」で84議席を占めており、今回の参院選で計78議席以上を得れば3分の2(162議席)を確保し、発議が可能となる。
 
改憲、自民じわり言及 合区解消など「入り口に」 参院選:朝日新聞デジタルより 2016年7月7日05時00分)

しかし、その後の各社の取材などで非改選の無所属参議院議員のうち、松沢成文、井上義行、渡辺美知太郎の3氏、日本を元気にする会代表のアントニオ猪木氏の合計4人が憲法改正に前向きであることがわかった。

産経ニュースはこの4人を足して、7月5日の時点で先行して、改憲ラインが「78から74議席に減った」と報じていた。

今回の参院選で改憲勢力が憲法改正の国会発議に必要な3分の2(非改選と合わせて162議席)を確保するために必要なのは、78議席から74議席に減る。
 
【参院選】改憲勢力「3分の2」の攻防ライン「78→74」に 無所属など4氏が改正賛成で - 産経ニュースより 2016.7.5 19:42)

朝日新聞は7月11日の朝刊紙面(15版)では、記事中に「4党が持つ84議席に加え、改憲に積極的な姿勢を見せる無所属議員が少なくとも4人いる」との情報を加えて、微修正している。

超えたのか、超えていないのか。この違いは、非改選の無所属参院議員ら4人の動向をどう見るかで変わってくる。

しかし、安倍首相は「すでに超えた」と認識しており、7月10日夜、NHKの番組に出演して「いよいよ憲法審査会に議論の場が移る」と改憲に向けた作業を進めると発言している

■「護憲じゃない」民進と「9条変えない」公明

一方、政党側はどうか。

民進党は「まず、3分の2をとらせない」を今回の参院選のスローガンにしていた。しかし実は、「改憲4党」に入っていない民進党の中にも、改憲に前向きな議員はいる。

この点について、7月10日夜の日本テレビ系の選挙特番「ZERO×選挙2016」で問われた枝野幸男幹事長は「まず護憲ではない。私たちは(憲法が)良く変わる、なおかつ基本原則を前提にして微調整・微修正することはは否定していない」と話した。

また、当選した蓮舫氏も、7月10日夜のハフポスト日本版の取材に対して「我々も憲法を『一文字も変えてはいけない』とは言っていません」とした。

逆に、自民党との連立政権を組む公明党は「改憲4党」の一角とみられてきた。しかし、山口那津男代表は、7月10日のNHKの番組で、憲法9条改正については、「当面、必要ないと思います。憲法解釈の限界をきっちり決めた平和安全法制の有効性を確かめるべきで、9条の改正は必要ないと思っています」と話した。

こうした発言からわかるのは、「3分の2」という分かりやすい基準が使われているが、実は、公明と民進が、わかりやすく改憲に前向き、後ろ向きとは断言できないということだ。今後すんなり改憲発議に至るかどうかは、不透明な情勢だ。

■そもそもなぜ「3分の2」が大事なのか

総務省のサイトなどによると、条文ごとの変更や新設を提案する「憲法改正原案」が国会に提出されれば、その原案について衆議院・参議院の憲法審査会での議論が始まる

その憲法審査会で、過半数の賛成を得て、衆参本会議でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成があれば、その「憲法改正原案」が議決される。これを「発議」と呼び、この賛成者を得るために「3分の2」が非常に重要な要素になっている。

発議された「憲法改正案」は、60~180日の周知・広報期間を経て、国民投票にかけられる。

なお、6月22日現在、衆議院(475議席、欠員1)は自民・公明の与党で3分の2を超えている(自民290議席、公明35議席)。そのため、今回の参院選で焦点となっていた。

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