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「ファストフードは食べさせちゃだめ」は本当? 管理栄養士パパが教える「食」にまつわる5つの誤解

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HAMBURGER KIDS
Unequal twin boys | Jupiterimages via Getty Images
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「○○は子どもの発達に悪い」、「××は毒だから、食べちゃいけない」なんて話を耳にしたことはないですか?

食にまつわる噂話は後をたちません。いつも口にしている食べ物に、「害がある」と言われるとショックですよね。特に子育て中のお父さん、お母さんは親心から、「絶対に食べさせないようにしなくちゃ」と思ってしまうかもしれません。

そうした背景において、「間違った情報が、親に無意味な苦労をさせるばかりか、子どもの成長や健康を阻害する危険がある」と、管理栄養士の成田崇信さんはいいます。成田さんは、自身が子育てをしている中で、間違った情報や、根拠のない噂話が多くあると気づきました。そんな成田さんに、食にまつわるさまざまな、疑問について、プロの視点で教えてもらいました。

1. 昔ながらの食事は健康的


japanese traditional meal

「昔の日本食は健康的」というイメージが根付いています。しかし成田さんからみると、そうとも言い切れないようです。

江戸時代〜昭和にかけての日本では、食事は麦、あわ、芋などの穀類が主流で、内陸に住んでいる人々が魚を食べる機会はめったにありませんでした。「ハレの日」と呼ばれる特別な日には、食べられる家庭もあったかもしれないけれど、保存のため塩漬けにされていたものがほとんど。冷凍・冷蔵技術がない時代、塩漬けで保存された塩っ辛いものをおかずに、穀類を摂るのが主流だったため、塩分過多な食事だったのです。

「昔は、今と比べて脂質やたんぱく質も不足していました。またサラダなど生野菜を食べる習慣がなかったため、ビタミン不足も深刻でした。バランスのよい食事とは程遠かったんですよ」(成田さん)

改善が進んだのは1970年代に入ってから。冷蔵技術や流通が整い、洋食の文化も徐々に浸透し、栄養士などの専門家が情報を出すことで、昨今の「バランスの良い食事」が定義され始めました。

“昔はよかった”と思い込むだけではなく、「正しい知識を持って、程良く“いいとこ取り”していきましょう」と成田さんはいいます。

2. 魚を食べると頭がよくなる


fish dha

「○○を食べると頭がよくなる」と言われることがよくありますが、「まず、頭がよくなる食べ物はありません」と、栄養士の成田さんはキッパリといいます。

魚などに多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、人間の脳の神経細胞膜にも含まれている成分で、十数年前から「脳に含まれている成分を摂ると頭がよくなる」ということをよく耳にするようになりました。

しかし、「DHAを多く取れば必ず頭がよくなる」という単純なものでもありません。栄養士の成田さんは、特定の栄養素にこだわらない食事のほうがいいといいます。「バランスの良い食事と、適度な運動と睡眠で生活リズムを整えれば、勉強にも集中できるでしょう」

3. 子どもに牛乳を飲ませると身長が伸びる


height kids

栄養士の成田さんによると、「牛乳を飲ませると身長が伸びるのではなく、カルシウムが不足していると身長が伸びない」が正解だそう。

身長を、本来伸びるところまで伸ばすためには、骨を丈夫にする必要があります。確かに牛乳は、カルシウムを摂取しやすい食品なのだそうです。しかし、いくら牛乳を多く飲んでも「本来伸びる」身長以上に伸びることはないと言います。

身長を伸ばす重要な要素はカルシウムだけではありません。「カルシウムは、ビタミンDがないと身体に吸収しないため、骨に栄養を蓄えることができません。また、骨に刺激がないとカルシウムは抜けてしまうため、運動することも必要です。筋肉を作るたんぱく質も、子どもの身体の成長に欠かせません」。

子どもが大きく育ってほしいと願うのは親心として自然なこと。そんな食事があるなら食べさせてあげたくなりますよね。

「食事で“頭がよくなる”とか“身長が伸びる”は親の夢なのです。だから、そうした噂話はウケがよく、マスコミにも取り上げられ、広まりやすいのかもしれません」(成田さん)

4. ファストフードは食べさせちゃダメ


子どもたちが大好きなファストフード。大人でも、無性に食べたい!と思うときがあるでしょう。しかし、美味しいけれど「不健康」といったイメージから「子どもに食べさせちゃだめ」と思っている親もいるのではないでしょうか。

栄養士の成田さんは「それは誤解」だといいます。アレルギーに関わる食品でない限り、極端に同じものを食べ続けなければ、食べてはいけないものということはありません。朝昼夕の食事のトータル栄養バランスを考えることが大切です。

では、どのようなメニューだとファストフードと合わせるのにバランスがよいのでしょうか。今回、マクドナルドのメニューをもとに、成田さんに1日の食事を考えてもらいました。休日のランチに、6〜7歳の子どもが、マクドナルドのセットメニューを食べるという想定で、バランスの良い理想のメニューをご紹介します。

mcdonalds
栄養素:エネルギー370、たんぱく質11.6g、脂質6.9g、ビタミンA 273μg、ビタミンB1 0.22mg、ビタミンB2 0.18mg、ビタミンC 39mg、カルシウム145mg、鉄分2.7mg、食物繊維4.1g、食塩1.9g

食材:ごはん(精白米…60g)・みそ汁(小松菜30g、えのきたけ12g、かつおだし汁150g、みそ8g)・とうふサラダ(絹ごし豆腐50g、きゅうり20g、トマト20g、桜エビ2g、ポン酢しょうゆ5g)・かぼちゃのソテー(かぼちゃ56g、サラダ菜6g、バター4g)

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栄養素:エネルギー619kcal、たんぱく質19.9g、脂質 25.7g、ビタミンA 790μg、ビタミンB1 0.26mg、ビタミンB2 0.20mg、ビタミンC 27mg、カルシウム149mg、鉄分2mg、食物繊維4.8g、食塩3.1g ※マクドナルドのWebサイトでは、管理栄養士の監修による栄養素の情報開示のほか、原材料の産地や加工現場での生産過程が公開されています。

子どもたちが大好きなマクドナルドの「ハッピーセット」で、栄養士の成田さんに、より良い組み合わせを提案してもらいました。メインは、チーズでカルシウムを補うためにチーズーバーガーを。皮膚や目の健康に欠かせないビタミンAを補給するため、ドリンクは野菜ジュースを推奨しています。

mcdonalds
栄養素:エネルギー401kcal、たんぱく質21.9g、脂質8.1g、ビタミンA 298μg、ビタミンB1 0.28mg、ビタミンB2 0.26mg、ビタミンC 61mg、カルシウム160mg、鉄分1.9mg、食物繊維4.6g、食塩1.6g

食材:ごはん(精白米60g)・トマトのスープ(トマト41g、玉ねぎ16g、キャベツ29g、固形コンソメ1g、食塩0.3g)・アジの塩焼き(真あじ1尾、大根29g、しょうゆ2g)・豆苗と油揚げのおひたし(豆苗30g、油揚げ5g、しょうゆ2g、いりごま0.5g)・温野菜(ブロッコリー30g、にんじん20g、パルメザンチーズ2g、ヨーグルト15g、マヨネーズ2g)

栄養バランスで気をつけることは、エネルギー、たんぱく質、脂質の3つの要素は十分に取れるのに対して、ビタミンやミネラルが不足ぎみである点です。このため、前後の食事では、野菜を多く摂るメニューを意識するといいでしょう。

またファストフードでは、塩分が多くなりがちな点も注意が必要です。6~7歳の子どもにとって、塩分の1日の適正は6g程度と言われています。この目標値は、ファストフードに限らず、家庭の献立においても大きく上回ってしまうことが多く、日本人の減塩は理想通りに進んでいないようです。今回は、みそ汁を朝食のみにとどめて塩分をなるべく減らすよう工夫しました。

このように、前後の食事でバランスがとれていればファストフードを食べても問題はありません。

「せっかくの食事で、子どもたちも喜んでいるのに、後ろめたい気持ちではもったいないです。栄養バランスに配慮しながら“我が家では月に○回まで”というようにルールを決めて、納得して楽しく食べることをおすすめします」(成田さん)

5. コンビニの「カット野菜」には栄養がない


cut lettuce salad

スーパーやコンビニで袋詰めされて販売している「カット野菜」ですが、便利である一方で「栄養価がないから、食べても意味がない」という声が聞かれることもあります。栄養士の成田さんによると「これはまったくの誤解」。

では、カット野菜を食べるのは「意味がない」という話はどうして広まったのでしょう?

野菜は収穫されたあとも、それぞれ適した保存方法であれば、栄養価がある程度維持されます。一方、カット済みの野菜は細胞が壊れてしまうため、時間とともに栄養分が低下していきます。

栄養士の成田さんによると、カット野菜は、加工の際に水洗いや殺菌などの処理を行うため、ビタミンCやミネラルがある程度流れ出てしまい、栄養価は7〜8割程度に低下するといいます。そのため「栄養価がまったくない」といった極論に発展していったのかもしれません。

栄養価の低下は、カット野菜に限ったことではありません。カットせず冷蔵庫に入れたままの野菜も、同じように鮮度とともに失われていくのだそうです。しかし、いずれも7〜8割程度の栄養価は残っていますし、食物繊維が失われることはないため「食べないよりはずっといい」というのが成田さんの見解です。

「調理時間を確保できないときは、便利なカット野菜をひとつの選択肢として活用してみるのもいいでしょう。時間があるときは、ぜひ新鮮な野菜を新鮮なうちに調理しましょう。お子さんと一緒に料理をして、野菜の切り方によって味の違いを楽しんでみるのもいいですよ」(成田さん)

デマを信じてしまうのも親心


成田さんは自身の子育ての経験から、「親なら、大切な子どもにとって良いことなら、なんでもしてあげたい」という親心があると話してくれました。そして一番伝えたいことは、「そんなにがんばらなくても大丈夫」というパパ・ママへの応援メッセージです。

「子どもに愛情を注ぐ親だからこそ、子育てをがんばりすぎてしまうし、そうしたデマを過剰に信じてしまうところがあります。忙しく働く親であれば、外食や加工食品も上手に取り入れて、ラクできるところはラクしましょう。そして、少しでも子どもと一緒に過ごす時間を大事にしてください。そのほうが、子どもにとっても、きっとうれしいはずですよ」(成田さん)

監修者:成田崇信(なりた・たかのぶ)

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1975年、東京生まれ。管理栄養士、健康科学修士。病院、短期大学などを経て、現在は社会福祉法人に勤務。ペンネーム・道良寧子(みちよしねこ)名義で、主にインターネット上で「食と健康」に関する啓蒙活動を行っている。著書:管理栄養士パパの親子の食育BOOK(メタモル出版)、共著:謎解き超科学(彩図社)

(イラスト:上松智樹)