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韓国・朴槿恵大統領は「国政運営力が崩壊」 知人女性の国政介入疑惑で今後のシナリオ

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PARK GEUN HYE
10月25日、朴槿恵大統領の謝罪会見を映す街頭のテレビ | JUNG YEON-JE via Getty Images
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韓国の朴槿恵大統領が、演説文の下書きなど公文書を知人女性に流出させていた問題が発覚し、朴大統領の権威は著しく失墜した。

10月25日の韓国メディアは「もはや、国民を説得できる最小限の道徳性を喪失し、権威を回復するのは難しいほど崩壊」(朝鮮日報)し、「事実上、正常な職務遂行が不可能な状態」(ハンギョレ)になったと厳しく批判した。

今後、さらに多くの疑惑が明らかになる可能性もあるが、既に朴大統領は完全にリーダーシップを喪失した。そんな朴大統領の任期は、まだ1年4カ月も残っている。

では、どうやって「大統領の国政運営力の崩壊」(朝鮮日報)を収拾するのか。

26日の新聞各紙が朴槿恵大統領に提示した収拾策は大きく3つだ。(大部分、野党の主張と一致する内容でもある)

1. 特別検察官による徹底した捜査
2. 青瓦台(大統領府)参謀陣の総辞職
3. 与党と野党が支持する「挙国一致首相・内閣」を任命

これに加えて「大統領の弾劾を推進せよ」という世論もある。朴大統領の辞任を主張する人もいる。

■特別検察官

メディアが一斉に特別検察官の導入を主張している理由は簡単だ。「検察を信じられない」ということだ。

検察は(崔順実氏が私物化したとする)文化財団「ミル」「Kスポーツ財団」の疑惑を、しぶしぶ捜査するふりだけした。その間の主な調査対象者は、次々と海外出国・潜伏した。検察が証拠隠滅の時間を与えたのではないか。検察がマスコミに先立って、国政を私物化する証拠のパソコンを確保していたら、隠していただろうという話まで出ている。今、検察はすべての面で正常な国家機関として認めることは難しい。(朝鮮日報社説、10月26日)
これまでの捜査状況を見ると、検察の真相究明の意志を確認するのは難しい。9月29日、崔順実氏の疑惑告発が受理された後の動きは鈍く、10月20日に朴大統領が厳正な捜査を指示した後に、やっと本格的な調査に入った。関係者を相次いで召喚しているが、迅速な証拠確保のために不可欠な令状による押収の捜査には踏み切っていない。その間、財団と崔氏に関する資料が廃棄されており、崔氏ら主要人物は海外に逃亡した。(中央日報社説、10月26日)

他の理由もある。捜査対象となるべき人物がまさに前代未聞のレベルということ。一般的なレベルの検察捜査ではないということだ。

崔氏の注文に応じて、大韓航空の人事を請託したという青瓦台首席、崔氏に大統領演説を渡したという朴氏側近3人の秘書官はもちろんのこと、企業に文化体育への「投資拡大」を依頼したという大統領まで、事実ならば、法の枠を著しく超えている。何よりも、最近明らかになった大統領文書の流出など国政介入疑惑こそ、明らかな「綱紀の乱れ」であり、大統領への捜査と青瓦台の家宅捜索が必要だ。(ハンギョレ社説、10月26日)

■青瓦台首脳陣の総辞職

これも理由は明らかだ。前例のない国政介入事件で、青瓦台の参謀たちは、これを放置したり隠したりした。疑惑が持ち上がるとデマ扱いし、虚偽の釈明に汲々とした。職務放棄はもちろん、「国政介入」に加担した責任から逃れられない。

当然のことながら、ウ・ビョンウ青瓦台民情首席秘書官の名前は外せない。

ウ首席は崔氏の問題とは関係なく、大統領の側近の深刻な国政介入行為を防げなかったという事実だけでも、すぐに辞任させて、司法の責任を問わなければならない。(京郷新聞社説、10月26日)
大統領が間違った道を進んでいるのに、大統領補佐官たちの無能も問題だ。イ・ウォンジョン大統領府秘書室長は国政監査で、朴大統領演説文の修正疑惑について「封建時代にもありえない話」と一蹴した。青瓦台参謀陣の首長である秘書室長も国政介入を全く把握していなかったということだ。側近不正を監視し、事前に歯止めをかけなければならない義務があるウ・ビョンウ民政首席には職務遺棄の責任を問わざるを得ない。(ソウル新聞社説、10月26日)

■首相・内閣交代

真相究明は、事実上まだ始まっていない状況で「残りの任期中、誰が国政を導くのか」という質問は多少早いが、誰かが責任をもって国政を導かなければならない。すぐに大統領を新たに選任することもできない。

朝鮮日報は「挙国一致首相」を任命しなければならないと主張する。その論理は次の通りだ。

野党は内閣総辞職も要求している。しかし、安保・経済危機に直面している国では、政府閣僚が総辞職し、再び聴聞会を開いて内閣を構成することは可能でもなく、好ましくもない。今は現内閣の無能を追及している時ではない。朴大統領は、全面的な内閣改造の代わりに、与野党すべての支持を受けられる挙国一致首相を任命して、残りの1年間の経済と內政を任せなければならない。残り1年では何も新しい仕事をできない。国を滅ぼすことができる造船産業の不祥事と、空中分解した海運業界の問題など構造的な懸案、失敗が予想される主要業種への政策、尋常でない不動産対策に集中する必要がある。挙国一致首相を任命して野党の意思を問い、経済対策に野党の協力が得られるようにしなければならない。(朝鮮日報社説、12月26日)

■弾劾・辞職

park geun hye

主な報道機関で朴槿恵大統領の弾劾や辞任を主張したところはない。「弾劾」や「辞任」がインターネットのポータルサイトの人気検索ワードに登場する現象とは多少距離がある。

憲法によると、大統領に対する弾劾手続きは、次のとおりだ。

1. 国会在籍議員の過半数の発議と、国会在籍議員の3分の2以上の賛成
2. 憲法裁判所の弾劾審判(憲法裁判官6人以上の賛成)

つまり、与党・セヌリ党(129議席)、野党・共に民主党(121)、国民の党(38)、正義党(6)、無所属(6)の国会議員300人のうち、151人以上の国会議員が弾劾訴追案を発議し、少なくとも200人以上の同意で可決した後、朴槿恵大統領が任命した憲法裁判官3人(憲法裁判所長を含む)と、李明博・前大統領が任命した憲法裁判官6人で構成する憲法裁判所で、9人のうち6人以上の賛成がなければならない。

憲法によると、弾劾が認められ、大統領が失職した場合は、60日以内に大統領選挙を実施しなければならない。2017年12月の大統領選挙を目指して、出馬を準備している候補者もいる。しかし2カ月では、候補者も有権者も十分な時間がない。実はそれほど簡単な問題ではない。

野党も弾劾や辞任要求を警戒する雰囲気だ。

共に民主党の院内関係者は、「弾劾の主張は、国民がするのであって、野党がそこまで要求するものではない」と牽制した。

この関係者は、「弾劾したとしても、その後の権力の空白に国民が多大な混乱を経験するだろう」として「野党が弾劾を主導する場合、これに対する責任も問われることになる」と説明した。(聯合ニュース、10月26日)

朴智源・国民の党非常対策委員会代表はFacebookに「弾劾は難しい」と明らかにした。

電話、SNSなど、朴智源らしくない弱腰対応と叱責されています。すぐに弾劾せよというのが主流です。特別検察官も提唱しています。現行憲法84条は、内乱などでない限り、現職の大統領は刑事訴追を受けず、多数の国民は、憲政の中断を望んでいません。板挟みの状態です。幸いなことに議員の多数が私と同じ見解です。

一部では「弾劾で即終了ではない」という意見もある。朴槿恵大統領と崔順実氏の国政介入問題は、2人だけで行われたのではなく、多数の補助者と傍観者など、構造的な責任を問わなければならないという主張だ。

共に民主党の関係者は聯合ニュースに「事実上、すでに植物政府になった。私たちは状況を注視し、真相究明のために最も効果的な対応をする」と述べた。

時事INのコ・ジェヨル記者は「『朴槿恵を担いだセヌリ党』を評価する時間が必要だ」として「なぜあんな人物が国会議員になり、党代表となり、党の大統領選候補になり、大統領になったのか、検証する時間が必要だ」と主張した。

政治評論家として活動してきたメディアスのキム・ミンハ記者は「私たちが問いただすべきは、大統領と崔順実氏の法的責任だけではない」として、以下のように書いた。

これほど何の内容もない人物を大統領に適した人物にめっきし、忠誠を捧げたセヌリ党の政治的責任を問わなければならない。こんなとんでもない統治を、腕を組んで眺めていた官僚と、権力者への色目使いばかりに汲々としていた捜査機関、情報機関の政治的責任も問わなければならない。これらと積極的に共生した保守言論の政治的責任も問わなければならない。(メディアス、10月26日)

ハフポスト韓国版に掲載されたものを翻訳、要約しました。

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