今村雅弘復興相、自主避難の長期化「現実に合わない」

今村雅弘復興相は福島第一原発事故の自主避難者が帰還できるよう、政府が長期にわたって支援するべきではないかとの意見について、「現実に合わない」などとと述べた。
時事通信社

今村雅弘復興相は3月12日放送の「日曜討論」(NHK総合)で、福島第一原発事故の自主避難者が帰還できるよう政府が長期にわたって支援するべきではないかとの意見について、「現実に合わない」などとと述べた。

この日、番組は「震災6年 “未来”をどう描く」と題し、今村氏のほか、岩手、宮城、福島の3県の知事、有識者などが地域再生や住民の帰還について意見交換。終盤には原発事故による自主避難者の状況についてが討論テーマになった。

避難指示区域以外の地域から福島県内外に自主避難している人は2万6000人に上る。福島県はこれまで借り上げ住宅の無償提供を行ってきたが、家賃を実質負担している国と協議し、3月で打ち切ると決めた。

福島県の内堀雅雄知事は、自主避難者に対するこれまでの支援制度は県独自の制度に移行するとコメント。今後は民間賃貸住宅への家賃補助や帰還希望者への引っ越し補助などを通じて、生活再建を図っていきたいなどと話した。また、県は自主避難者への個別訪問を続けており、1件1件細かな対応を継続していることも強調した。

討論に参加した首都大学東京准教授の山下祐介氏は帰還について、「帰れない理由を考えるべきだ」と指摘した。

「原発20キロ圏内に関しては放射能が怖いだけではなく、生活のインフラが揃っていないからというだけではなく、やっぱり再事故の可能性が否定出来ないと思います。1回避難した方がもう一度非難するということは考えられない。だから、絶対安全な状況にならないと帰れないと思います」

今村氏は「山下さんの言われることは分かる」としながらも、自主避難について次のように述べた。

「ふるさとを捨てるというのは簡単ですよ。だけど、そうじゃなくて戻ってね、頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたいし、そのためのいろんな施策は、新しい産業を持ってくるとかイノベーション・コースト等々、我々もやっていますから。

出来る限りの生活インフラの整備もしますから、是非、ふるさとをもう一回、取り戻してもらいたいなと、そういう気持ちをしっかり持ってもらいたいなと」

山下氏は「帰還が悪いといっているわけではない。早期は無理だろうと言っている」とコメント。「長期に時間をかけて、戻れる人から順々に帰っていく長いスキームを作っていく必要があると思うんですね。廃炉にも何十年もかかるわけですから。廃炉が完了するまでは、なかなか子連れで変えるということは難しいと思うんですよね。そういう人の地位もきちんと保証していくことが必要」などと述べ、政府に寄る長期支援の必要性を指摘した。

今村氏は、自主避難が長期にわたっていることについて、「あの、これはねえ、時間との勝負ということもあるんですよね。早く解除したところはたくさん戻りましたね。しかし、いつになるかわからないというところでは、他のところで生活ができていますから、家を建てた人もいます。子供の学校のこともあります。だから、長期にわたって解決すればいいじゃないかちゅう話は、これは現実的には、私は合いません。おそらくもう、どんどん廃れていくと思います」などと話した。

今村氏は「ふるさとを捨てる」という言葉を、避難指示が解除されない帰還困難区域内に5年以内をめどに復興拠点を設けるという方針を説明した時にも使っていた。これは政府は国費を投じて除染やインフラ整備を行い、住民が住めるようにするというものだ。今村氏は「故郷に戻る拠点、足がかりの場を作っていこうじゃないかということなんです。そうしないと、まさに、ふるさとをそのまま打ち捨ててしまうということになりますから。そうはならないよと。しっかり取り戻そうじゃないか、整備していこうということ」などと話した。

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楢葉町の田んぼと仮置き場

ドローンで撮影した福島県双葉郡

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