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トランプ大統領の「黒幕」バノン氏、国家安全保障会議から外れる 裏には壮絶な主導権争い

2017年04月06日 18時44分 JST | 更新 2017年04月06日 18時44分 JST
The Washington Post via Getty Images
WASHINGTON, DC - FEBRUARY 23: Presidential advisor Steve Bannon at the Conservative Political Action Conference (CPAC) on February, 23, 2017 in Washington, DC. (Photo by Bill O'Leary/The Washington Post via Getty Images)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は4月5日、安全保障の政策決定機関「国家安全保障会議」(NSC)から、保守系ニュースサイト「ブライトバート」元会長で首席戦略補佐官のスティーブ・バノン氏を常任メンバーから外した。ホワイトハウス関係筋が同日、ハフィントンポストUS版の取材に答えた。

最初に報じたのはブルームバーグで、ホワイトハウスはNSCを大規模に再編することが明らかになった。

「バノン氏に、国家安全保障の機密情報への最高度のアクセス権があることに変わりはない」と、トランプ氏の側近がブルームバーグのジェニファー・ジェイコブズ記者に語った。またある高官は「首席戦略官としての地位も変わらない。バノン氏は5日午後にあったNSCの会議に出席していた」と、ジェイコブス記者に語った。

「バノン氏はいまだに国家安全保障に対して強い影響力があり、これからもアドバイスすることになる」と、トランプ氏の外交政策を詳細に分析するシンクタンク「アトランティック・カウンシル」のアナリスト、アレックス・ウォード氏は指摘した。「バノン氏は今でもイランと『イスラム過激派によるテロ』に重大な関心を持っている。イランの中東地域での台頭を抑え、テロ組織の中でも、とりわけIS(「イスラム国」)を打倒する方法についてこれからもアドバイスします。ロシアに関しても、ハト派的な助言を続けていくでしょう」

ニューヨークタイムズによると、トランプ政権のH.R. マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)が、今回の再編を強く要求したという。

マクマスター氏は世界の安全保障におけるアメリカの立場について、比較的従来通りの見解を持ち、極右的な国家主義者のバノン氏やマイケル・フリン前国家安全保障補佐官とは立場を異にする。フリン氏はトランプ氏の大統領就任前に駐米ロシア大使と接触した疑惑で2月13日に解任された。

ワシントンポストによると、マクマスター補佐官は密かにNSCを保守本流の外交政策専門家で固めてきている。個人的に気に入った軍事情報機関の職員を選んでいたフリン氏のやり方を改める動きだ。

「フリン氏とは正反対の外交政策だ。マクマスター氏は共和党らしい外交政策を推し進めているのに対し、バノン氏は国家主義的な考えが強い」と、ウォード氏は語った。

トランプ氏は1月、バノン氏をNSCの常任メンバーに指名する大統領令に署名し、バノン氏は閣僚級の高官と同席することになった。専門家、民主・共和両党の議員や過去の政権高官たちはバノン氏の参加を憂慮し、この異例の人事により非主流派の政策が採用され、バノン氏が、アメリカの外交政策を操ることになることを恐れていた。バノン氏はブライバート在籍時、白人至上主義者とのコネクションを築いた。さらにホワイトハウスでの有利な立場を利用し、イスラム教徒の入国禁止令や移民制限といったトランプ政権の政策を推し進めてきた。

バノン氏の降格ついてホワイトハウス情報筋の話や本人の声明複数の記者の取材を総合すると、バノン氏がNSCの常任メンバーに入ったのは、フリン氏を監視するためだったという。バノン氏は声明で、バラク・オバマ大統領の国家安全保障補佐官を務めたスーザン・ライス氏が「罪を犯した」から、NSCが一時的に支援を必要としていたと説明した。また、捜査の手がトランプ氏に及ばないようにするため、トランプ氏を支えなければならないという。

しかしトランプ氏は、2月にバノン氏を任命してから不満を漏らしていたという。

この数週間、バノン氏は、2016年の大統領選でトランプ陣営とロシア政府が接触していた疑惑を調査している議会に、ホワイトハウスが介入する動きにも関わっている。

マクマスター氏が3月、フリン氏がNSCの情報活動シニアディレクターに指名したエズラ・コーエン=ワトニック氏を解任しようとしたとき、バノン氏は個人的に介入した。バノン氏とトランプ氏の娘婿で大統領補佐官のジャレッド・クシュナー氏は、ワトニック氏を擁護した。ワトニック氏は、トランプ氏の「オバマ政権から盗聴されていた」という主張を裏付ける情報を提供したホワイトハウス高官の1人だと明らかになった。この情報は後に下院特別情報委員会のデビン・ヌネス委員長に提出された。ワトニック氏はNSCに残っている

バノン氏やフリン氏の支持者は今回の再編劇が、トランプ氏が自分を支える側近を裏切りつつある兆候だとみている。

事実 1: フリン、バノン両氏ともトランプ大統領に対する忠誠心が最も高かった(2人ともNSCの場で)

事実 2: マクマスターは「イスラム過激派」という言葉は絶対使おうとしない。

ホワイトハウスは真面目にアメリカの敵をつぶす気があるのだろうか?

複数の大物がトランプ大統領に反旗を翻している。バノン氏がNSCから除外され、シリアのアサド政権に対して強硬姿勢を強めるという、ワンツーパンチが原因だ。

これまでトランプ政権は、統合参謀本部議長と国家情報長官は「両名の責任と専門知識に関する問題が議論される」場合を除いて、NSCの通常会合には出席させていなかった。

ホワイトハウスによると、バノン氏は常任メンバーではなくなり、統合参謀本部議長と国家情報長官が従来通り常任メンバーとして指名されている。

「一番興味深いのは、情報機関のトップがNSCに復帰したことです」と、ウォード氏は述べた。「トランプ氏は情報機関に対する考え方が変わってきているのでしょうか」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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