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同性愛者の軍人を探し出すため、韓国陸軍が特別捜査 NGOが暴露

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韓国陸軍当局が軍隊内の同性愛者の捜索や刑事処罰を指示したことが暴露された。上層部の指示を受けた陸軍中央団は、2017年初頭から特別捜査を行ったとし、この過程で性的羞恥心を誘発する反人権的言動はもちろん、脅迫や懐柔などをしたという証言である。

NGO「軍人権センター」のイム・テフン所長は4月13日、ソウル麻浦区李韓烈記念館で緊急記者会見を開き「今年初め、複数の被害者から衝撃的な情報提供を受けた」と、このような内容を公開した。

これによると、陸軍中央団は今年の初めの情報通信網法関連事件を捜査していたなか、たまたま被疑者が同性愛者であることを認識し、これを通して把握したもう一つの同性愛者の軍人を追及する形で捜査を拡大してきた。事実上「別件捜査」を行ったわけだ。

陸軍中央団は軍隊内の同性愛者を探し出すかのように、手当たり次第に捜査を行った。特に物証ないまま同性愛者という理由だけで、彼らを「識別」して捜査対象にしたとのこと。イム所長は「特別捜査で一網打尽しようと捜査を行っている」とし「(軍当局が)このような規模で同性愛者への捜査を進めるのは今回が初めてだ」と語った。

軍当局が同性愛者の捜索に乗り出した根拠は「アナルセックスやその他のみだらな行為」を処罰するように規定した軍刑法92条6(醜行)の規定にある。イム所長は「この条項は違憲の可能性が高く、同性愛者(のアナルセックス)だけに特定しているわけでもない」とし「途方もない魔女狩り」と指摘した。

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また、イム所長は「統計がほとんど取れない限り、この条項で同性愛者が処罰された事例は極めて珍しい」とし「(違憲論議がある)軍刑法92条の6の規定を存置する必要性を証明するために特別捜査をしていたのではないかという疑いがある」と話した。

それだけでなく、現行の部隊管理訓令(国防総省訓令第1932号)には「同性愛という指向を持ったという理由で差別を受けない」(第253条第1項)、「指揮官などは、兵営内の兵士たちに対して性的指向の調査などを通じ、積極的な同性愛者の識別活動をすることができない」(第254条第1項)と規定されている。

軍人権センターは、捜査の過程で「総体的人権侵害」が強行されたと指摘した。捜査官が部隊内の「アウティング」(本人の了承なくセクシュアリティについて第三者に暴露すること)の可能性を言及し脅迫を加える一方で、自白を強要する過程で同性との性関係の有無はもちろん、性交時の体位、コンドームの使用可否、初体験の時期などを執拗に追及したという。

軍人権センターがまとめた被害者の情報提供によると、捜査関係者は「今回のことをきっかけに性自認を取り戻してくれれば」とか「男とすれば良いんですか?」などのセクハラ発言を繰り返した。捜査官が「ゲイの出会い系アプリケーション」に接続し、兵士たちを相手におとり捜査をしたことも確認された。

軍人権センターは、現在までに15人の現役将校と副士官が被害を受け、現在40〜50人ほどが捜査線上に上がっていることが把握されたと伝えた。13日午前には逮捕令状が発行され、出張中に逮捕されたことがわかった。

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軍人権センターは「捜査チームがA4用紙400枚に及ぶ個人情報を取得し、同性愛者であると推定される数十名の軍人の写真を印刷して、全国各地に拡散しているので、被害者の数は増え続けている」と述べた。

このような同性愛者関連の捜査はチャン・ジュンギュ陸軍参謀総長の指示があったというのが軍人権センター側の見方だ。イム所長は「誰の指示を受けたかとすると陸軍参謀の決裁事案と述べたという情報提供がある」とし「複数の陳述と状況を総合してみるに、陸軍参謀総長の指示がないとするには、このような特別捜査には絶対至らない」と述べた。

関連法上、醜行罪は有罪判決を受けた場合、2年以下の懲役になる可能性がある。軍人権センターは「同性愛者という理由で普通に服務していた兵士が軍服を脱いで刑務所に行くのは、ロシアやチェチェン、一部の中東諸国などの人権後進国で同性愛者を拘禁、拷問、処刑することと全く変わりない」と指摘した。

軍人権センターは「2006年から現在までに4回にわたって国連人権理事会の理事国を再任している大韓民国で起こったと信じられない野蛮な行為であり、狂気の沙汰」とし「国連人権理事会に出席し、この事態を国際社会に知らしめること」と明らかにした。また、「チャン・ジュンギュ陸軍参謀総長は、もはや軍隊を指揮する資格がない」とし「事態のすべての責任を負ってただちに辞任すべき」と要求した。

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チャン・ジュンギュ陸軍参謀総長。 ⓒNEWS1

これに対して陸軍本部は声明を出し「SNS上に現役軍人が同性の軍人と性交する動画を掲載したことを確認し、事実関係をただして関係者を割り出し、関連法令に基づき刑事立件した」だけだと、探し出している事実を否定した。

陸軍は「関連捜査は人権と個人情報を保護し、法的手続きを遵守して行われている」とし「軍にいる同性愛将兵には、プライバシーを保障している」と主張した。

これは「捜査に協力的な場合、大隊長と中隊長のみに被害者の身元を通知し、捜査に非協力的な場合は(所属将兵の)師団長をはじめ、人事にまで通知されてしまったことが把握された」という、軍人権センター側の説明と矛盾する。

陸軍はまた「現役将兵が同性の軍人と性交渉することは現行の法律に違反した行為であり、軍紀の特殊性を考慮して同性の性関係を軍刑法上「醜行罪」で処罰している」とし「今後も陸軍は、厳正な軍紀を維持するために、風紀を乱す行為については関連法令に基づき処理する」と明らかにした。

しかし、軍人権センターをはじめとする人権団体は、この条項が相互合意の下に行われた同性間の性的行為に対する処罰を規定するものではないと指摘してきた。この条項を廃止する内容の 法案も何度か提出された。

また「同性愛者の兵士の兵舎内でのすべての性的行為は禁止されている」(国防省訓令 第1932号第253条2項)は規定があるにはあるが、今回の事件の場合、部隊内の性関係などの物証なく陸軍中央団が軍内の同性愛者に対する広範囲の「識別」に出たというのが軍人権センターの説明である。

イム所長は「領内、領外関係なく軍人と性関係を持ったか、オーラルセックスをしたか継続的に執拗に聞いたことがわかった」とし「被害者が犯罪成立の可否や処罰基準に対する法的知識がない場合が多いので、それを悪用したもの」と述べた。

また同性愛者を探し出し、性体験などについて追及する行為は指揮官などによる同性愛者の「識別」活動を禁止した条項(第254条第1項)と同性愛者を相手に「性体験・相手の個人情報などのプライバシーに関する質問を禁止する」(第154条2項)と規定したものに、それぞれ違反となる。

ハフィントンポスト韓国版「육군이 군대 내 동성애자를 '색출'하기 위해 기획수사를 벌이고 있다는 폭로가 나왔다」(2017年4月13日)より翻訳・加筆しました。

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