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「アイマス」愛と狂気の品揃え、京都ヨドバシの店員さんがすごい。萩原雪歩への情熱が無限大だった

2017年08月05日 17時46分 JST | 更新 2017年08月06日 18時07分 JST

愛と情熱をもって、自分の好きなものを「好きだ」と伝えることはとても尊い。そう思わせてくれる人と、私はこの夏、京都で出会った。

京都市の家電量販店「ヨドバシカメラ マルチメディア京都(京都ヨドバシ)」。ここに、人気ゲームシリーズ「アイドルマスター(アイマス)」をこよなく愛し、その魅力を伝えようと奮闘する人がいる。同店でゲーム・ホビーを担当する岡大輔さん(29)だ。

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京都ヨドバシの岡さん

一部の「アイマス」ファンの間では、京都ヨドバシのフィギュアコーナーの“ツボ”を抑えた商品紹介や、「アイマス」の声優陣が出演するコンサートでファンが応援に使う「サイリウム(ペンライト)」を販売するコーナーの充実ぶりがTwitterなどで報告されている。

ヨドバシ広報に問い合わせてみると、これを手掛けたのが岡さんだという。一体どんな人なのか。私は岡さんに会うため、実際に京都ヨドバシまで足を運んだ。

個性豊かなアイドルが魅力 「アイドルマスター」とは


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ここで「アイドルマスター」について、簡単に説明しておきたい。

「アイドルマスター(略称「アイマス」「IM@S」)は、バンダイナムコエンターテインメント(旧ナムコ)が展開するゲームシリーズだ。

プレイヤー自身が芸能事務所「765プロダクション」の新米プロデューサー(P)となり、歌やダンスのレッスンなどを通してアイドルをトップアイドルに育て上げる。アーケード版(2005年7月)を皮切りに、これまで家庭用ゲームソフトやテレビアニメ、ソーシャルゲームなど、様々な形でコンテンツが展開されてきた。

「アイマス」が世に出て早くも10年以上が経過したが、いまもなお新たなシリーズやアイドルが生まれ、古参ファンのみならず新たなファン層も集まっている。

「アイマス」の魅力は、なんといっても個性豊かなアイドルたちだ。

・リボンがトレードマークで誰よりもアイドルに憧れる元気な子

・天性の歌声を持ちながら、理想と現実のギャップに悩み、周囲に心を開けない子

・妖艶な雰囲気を漂わせながらも、なぜかラーメンをこよなく愛する子

・おにぎりと昼寝が大好きな自由人ながら、アイドルとしてのプロ意識に覚醒する子

などなど…他にも多数のアイドルがキャラクターとして登場する。

そんな個性あふれるアイドルたちと、プレイヤーは喜び、楽しみ、そして時には悲しみを分かち合い、トップアイドルへの道を目指す…。アイドルとともに自分自身も成長できるシナリオは、単なる育成ゲームの枠にとどまらないものだ。

やがて「アイマス」は、TVアニメや映画にもなった。トップアイドルを目指すべく「今」という瞬間に全力を注ぐアイドルたちが、ライバル事務所の妨害をはじめ様々な困難に立ち向かいながら、「未来」に向けてひたむきに成長していく姿が描かれた。

ネット上では「アイマス」の名セリフ集が作られるほど。アイドルたちが、時に迷いながらも、仲間たちと絆を深めて「輝きの向こう側」を目指す…。そんなストーリーは多くの感動を呼び、いまなおファン(通称「プロデューサー(P)」)を惹きつけてやまない。

そんな「アイマス」ファンの、ごく一部の間でにわかに注目されているのが「京都ヨドバシ」だ。

「サイリウム」は充実の品ぞろえ。アイマス初心者にも丁寧な解説


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ヨドバシ京都

京都ヨドバシは、京都駅北側にある中央口を出てすぐ。市内を南北に走るメインストリート「烏丸通(からすまどおり)」沿いに位置する。地上8階・地下2階の広さを誇り、ヨドバシカメラ(B1階〜3階)のほか、衣料店や飲食店など90店舗以上のテナントが入居。言うなれば大型のショッピングセンターだ。

ビルに入った私はエスカレーターに乗り、2階サイリウムを販売しているコーナーに向かった。

「いらっしゃいませ。本日は遠いところありがとうございます」。岡さんがさわやかな表情で出迎えてくれた。

「プロダクトスペシャリスト」の肩書を持つ岡さんは、店舗を訪れるお客さんに少しでも買い物がしやすく、また「アイマス」の魅力を知ってもらおうと様々な工夫を凝らしている。

Twitterで話題になっていたサイリウムコーナーは充実の品ぞろえだった。電池式とケミカル式、色も数十種類を取り揃えている。

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サイリウムコーナーについて、岡さんはこう話す。

「もともとサイリウムは3階のホビーコーナーにあったのですが、お客様にお選びいただきやすいよう、2階のCD・DVDコーナーの近いほうが良いと考え、移動しました」

売り場を移した際に、上司から「もっと売り場が目立つようにしてほしい」と相談があったという。

「私はもともはサイリウムの担当ではありませんでした。フィギュアとかプラモデルとか鉄道模型などホビー系を担当しているのですが、サイリウムコーナーが移動するにあたって上司から話があって…」

そこで岡さんが考えたのが「アイマス」の魅力とともに、サイリウムコーナーを展開することだった。

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「アイマス」キャラの萩原雪歩がファンを出迎える

「アイマス」では、ゲームやアニメの枠を超え、キャラクターを演じる声優陣が劇中歌やカバー曲を披露するライブを定期的に開催している。会場のファンは、それぞれのキャラクターを象徴する色のサイリウムを振りながら応援するのが恒例となっている。例えば、今井麻美さんが演じる「如月千早」は青色という具合だ。

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キャラクターと色の早見表も作成。ここにないキャラも追って増やす予定

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千早ファンの私は青色を購入。脳内では「眠り姫」が流れている

京都や大阪でライブビューイングやライブが開催されると、京都ヨドバシにはサイリウムを求めるお客さんが訪れるという。

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25本入りも用意。「大人買い」も可能だ

ケミカル式のサイリウム。折ると光る

一方で、「アイマス」のライブは、持ち込めるサイリウムについてルールがある。ライブ初心者には少しハードルが高く感じられることがあるかもしれない。岡さんはこう語る。

「電池式の場合はボタン電池式のみだったり、大きすぎるサイリウムは使えないなど、いくつかの約束があります。コンサートを楽しみにされているお客様に向けて、こういうルールがあるのだと、わかりやすく伝えられたらと思いました。自分もアイマスが好きなので」

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サイリウムのルールをわかり易く解説「キャラクターが呼びかけているような雰囲気を心がけた」と岡さん

「サイリウムを探すお客様の目に止まりやすいように」「お客様がレギューレーション違反のサイリウムを買ってガッカリすることがないように」――岡さんの言葉からは、常に気遣いの姿勢が伺える。

「『推し』という言葉は好きではない。僕は言うなれば『担当』です」


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取材の合間にも手際よく商品を整理する岡さん

岡さんが「アイマス」と出会ったのは学生の頃。2005年に稼働したアーケード版だった。「アイマス」初期からのファンということは、推すキャラクターは「765プロ」のアイドルなのだろうか。そう尋ねると、岡さんの表情が一瞬キリッとなり、こう語った。

「『推し』という言葉は、僕の中で好きではないんです。言うなれば『担当』ですね。僕の担当は『雪歩(萩原雪歩)』です。人気で、いまはサイリウムも品切れになっています」

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THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 2 -FIRST SEASON- 07 萩原雪歩/日本コロムビア

岡さんが「担当」する萩原雪歩は、ショートボブが似合う可憐な少女だ。性格は引っ込み思案でネガティブ思考。何事にも臆病で、行き詰るとすぐ泣き出してしまう。男性と犬が苦手で、特に初対面の男性と話すときには「大股で3歩ぐらい」離れてしまうことも…。

さらに激しく落ち込むと「穴を掘って埋まってますぅ」の台詞とともに、本当に地面に穴を掘って埋まる癖がある。 この台詞から、ファンの間では実家は「建設関係の稼業を営んでいる」と推測されている。父親は厳格な人物で、家には大勢の「弟子」がいるようだ。ファンの間では「荻原組」などと呼ばれることも…。

そんな雪歩の魅力を、岡さんに尋ねてみた。すると岡さんは「それはですね…では、こちらのほうをご案内します」と、私をCD・DVDコーナーの一角へと誘った。

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向かった先は「アイドルマスター」の特設コーナー。そこには、「萩原雪歩」のプロフィールや魅力を伝える大きなパネルが展示されていた。もちろん、これも岡さんの手作りだ。

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「雪歩の魅力を多くの方に伝えたいという気持ちで、少々申し上げにくいのですが『雪歩をリアルにプロデュースしたら…』という気持ちでやっております。これをきっかけに、弊社ヨドバシカメラ京都店についても知っていただければという意味も込めております」

パネルには、「担当プロデューサーOからのコメント」として、こんな文章が記されていた。

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雪歩の魅力はなんといっても芯の強さです。アイドルを目指した理由も『引っ込み思案でネガティブな性格を変えたいから』という、自分の弱さを認め、努力し克服したいという思いからで、非常に健気で応援したくなります。

また、雪歩は極度の『男性恐怖症』でもあり、アイドルにとっては致命的な問題も抱えています。アニメ序盤で雪歩パートが放送されたのは、雪歩が抱えている問題が非常に難解で、解決には時間を要するが、今後の765プロの躍進には雪歩の成長が必要不可欠だからこそ、序盤に雪歩パートを放送したと考えられます。

そのアイドルとしての成長は、『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』での後輩アイドルへのアドバイスや、PS4ソフト『アイドルマスター プラチナスターズ』での765プロオールスター“ザ・ライブ革命でSHOW!”の男性を意識したセリフ部分「キスしちゃう?」(美希やあずささんが担当しそうなセリフ)を担当するなど、色々な面で確認できます。

雪歩は自身のことを「ひんそーでひんにゅーでちんちくりん」と言いますが、上記プロフィールからも分かるように、非常にバランスの取れたスタイルであり、これは内面的な未熟さを表現した口癖だと思います。個性派揃いの765プロ内では印象が薄い方の雪歩ですが、清楚で可憐で奥ゆかしくて健気で、弱くて強い、だからこそ心優しく、他のアイドルや765プロが窮地のときに活躍してくれます。765プロに必要不可欠で頼りになるアイドル、それが萩原雪歩です!!

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岡さんは改めてこう語る。

「一番伝えたいのは雪歩の『芯の強さ』ですね。『ひんそーでひんにゅーでちんちくりん』という言葉は、雪歩が精神的な自分の未熟さを乗り越えていきたいという、プラスの強い気持ちが込められている。雪歩はそれほどまでに、自分を見つめることができていると思うんです」

「雪歩がゲームに登場したときの年齢設定は16歳でした。自分が高校生の時は、そこまで自分のことを考えられていなかったなと…」

岡さんの言葉には、雪歩に対する惜しみない尊敬の念が読み取れる。

今後、京都ヨドバシで「アイマス」をどう展開していくのか。岡さんはこう語る。

「『アイドルマスター』は、もともと人気のあるコンテンツですが、その魅力をもっともっと多くの方に伝えることができたら…と考えています。また新規ファンの開拓と言いますか、アニメなどとも関連させた商品紹介を考えています。2017年10月からは男性アイドルが主人公となる『アイドルマスター Side M』などの放送が予定されていますので」

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京都ヨドバシには岡さん以外にもう一人「アイマス」Pが在籍。結城晴を担当している

10年以上の長きに渡る「アイマス」の歴史。765プロ・876プロ・346プロ・315プロなどシリーズ全体を見渡せば登場するアイドルは200人を超える。こうしたアイマス史を振り返りながら、岡さんはこう語る。

「アイマスの長い歴史を振り返れば、沢山のアイドルが登場します。なので、シリーズを限定して展開しようとは思いません。出来る限り多くの方に見ていただき、アイマスの魅力を、ひいては弊社ヨドバシカメラを知っていただければ…という気持ちです」

「アイマスはアーケードゲームやアニメ、家庭用ゲーム、ライブ、ニコニコ動画など、その入り口も様々です。自分にあったものを選んで、楽しんでいただければと思います。我々の仕事は、コンテンツの裾野を広げていくという仕事です。我々もアイマスの裾野を広げる貢献ができればという気持ちです」

「ライブに行かれる際には、ぜひヨドバシカメラでサイリウムをご購入いただき、アイドルたちを応援していただければ幸いです」

「『アイマス』は、ただ応援するだけのコンテンツではない」


多種多様ある「アイマス」関連商品の中で、岡さんの一押しを聞いてみた。

「僕のおすすめは、2015年発売の雪歩のソロアルバムですね。このCDに収録されている『Agapē』という曲が大好きです」

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THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 3 09 萩原雪歩(CVは浅倉杏美さん)

「アイマス」では、キャラクターたちが有名なヒット曲をカバーしたアルバムをリリースしている。言うなれば、「アイドルたちが現実世界の曲をカバーしたら…」というコンセプトに近い。

岡さんの一押し曲『Agapē(アガペー)』は、アニメ『円盤皇女ワるきゅーレ』(2002年)の挿入歌だ。「アガペー」はギリシア語で「(無償・無限の)愛」を意味する。

シンガーソングライターの岡崎律子さんが作詞・作曲したこの曲は、生きとし生けるもの全てを包み込むような優しい旋律と歌詞で、いまなお多くのアニメファンの間で「名曲」として語り継がれている。岡崎さんは2004年、44歳の若さで帰らぬ人となった。

Agape(歌:萩原雪歩)

雪歩がカバーした「Agapē」の魅力について、岡さんはこう語る。

「『アイマス』のカバーCDでは、アイドルたちが様々なカバーソングを歌っています。その中でも『Agapē』は、雪歩のイメージととてもマッチしていて、カバー曲とは思えないぐらいです。そして、これを機会に岡崎さんの曲の魅力や『円盤少女ワルキューレ』という作品を知ることができました」

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最後に、岡さんにとって「アイマス」とはどんな存在なのか尋ねてみた。

「僕の中で『アイマス』は、ただ応援するだけのコンテンツではないんです。出社前に雪歩の曲を聞いて元気をもらったり、仕事終わりには雪歩の曲に疲れを癒やしてもらえます。『アイマス』は人々の生活、人生とともにあるものなのかもしれません」

岡さんの言葉で、「Agapē」の歌詞の一節をふと思い出した。

Would you call me if you need my love?

どこにいたって聞こえる

君がくれる Agapē

力の限り Dive!
(「Agape」より)

愛と情熱を持って、自分の好きなものを伝えようとする姿は尊い。そんな「無限の愛」を貫く人の姿が、京都ヨドバシにあった。

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