ノーベル平和賞にNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)

核兵器禁止条約の成立に貢献
スイス・ジュネーブで、ノーベル平和賞の受賞が発表され、団体のロゴが入った横断幕を見せる反核団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のビアトリス・フィン事務局長=2017年10月6日撮影
スイス・ジュネーブで、ノーベル平和賞の受賞が発表され、団体のロゴが入った横断幕を見せる反核団体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のビアトリス・フィン事務局長=2017年10月6日撮影
Denis Balibouse / Reuters

ノルウェーのノーベル委員会は10月6日、2017年のノーベル平和賞を、核兵器の廃絶を目指して活動し「核兵器禁止条約」が採択されるのに貢献した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与すると発表した

委員会は、授賞理由について「核兵器使用が人類にもたらす壊滅的な惨禍について注意を引こうとし、条約に基づいた核兵器の禁止実現に向けた画期的な努力に対するもの」と説明。また「北朝鮮のように核兵器獲得を目指す国が増えている」と警告し、核保有国に対し「真剣な軍縮協議」開始を強く求めた。

朝日新聞デジタルは、ICANについて次のように説明した。

ジュネーブに本部を置くICANは、1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師会議」(IPPNW)のオーストラリアの運動から派生し、07年に正式に発足した。核兵器使用の非人道性に焦点を当て、有志国とNGOが連携して成立させた対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約をモデルに、核保有国が核軍縮を進めないことに不満を膨らませる非核保有国とタッグを組み、核兵器を非合法化する包括的な条約をつくることをめざしてきた。

メディアやネットを使ったキャンペーンを展開。国際会議へのNGOの参加を促したり、核兵器禁止条約を求める国際世論を高めたりしてきた。広島での被爆体験の証言を続けるカナダ在住のサーロー節子さん(85)や、長崎の被爆者で「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)の代表委員も務め今年8月に88歳で亡くなった谷口稜曄(すみてる)さんら、核兵器の被害の実態を訴える日本の被爆者の声を、広く世界に伝える役割も果たしてきた。

(「ノーベル平和賞にNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」:朝日新聞デジタル」より 2017/10/06 18:15)

条約は2017年7月に122の国と地域の賛成で国連で採択されたものの、アメリカやロシアなどの核保有国や、アメリカの「核の傘」に入る日本や韓国は参加していない。また北朝鮮は核開発を急ピッチで進めており、ノーベル賞委員会は国際社会に核廃絶の努力を促した形だ。

賞金は900万スウェーデン・クローナ(約1億2500万円)。授賞式は12月10日にノルウェーの首都オスロで行われる

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ノーベル平和賞の受賞者たち

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