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がん患者をつなぐ、顔の見える電話相談システム構築に支援を

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元がん患者の大久保淳一さん(52)は、NPO法人「5years」でがん患者が、がん経験者に相談できるシステムを作ろうとしている。

2007年、外資系金融機関の営業マンとして公私ともに充実していた42歳の時に精巣がんを発症した。

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A-portより

どういう薬がいいのかなどの医療情報だけではなく、がんの人の生活情報が欲しかった。職場に復帰できるのか、治療中子供のことをどうすればいいのか。悩みはつきなかった。がんの告知を受けたあと、少しでも情報を得たくてネットで検索した。

だが、欲しい情報は見つからなかった。

大久保さんによると、昔の勤め先のアメリカ人の上司は、がんになった時、米国の医師から「いつでも相談できるがんサバイバーのリスト」を渡されたという。がんで同じような状況に直面した人と連絡をとりあえる仕組みだった。生の経験談が聞けるため相談が寄せられる。がんサバイバー(罹患者)も、自分の体験がいかせるため、情報を積極的に共有する。

国立がん研究センターによると、全がん協加盟のがん専門病院などで診断治療を受けてから10年後の生存率は約58%だ。生存率が上がり、部位によっては、がんは「死ぬ病」ではななく、「つきあっていく病気」になりつつある。

だからこそ生活に密着した情報は、患者にとって必要となる。だが、それを聞いたり、相談する場が、日本では社会的に埋没している、と大久保さんは指摘する。

日本では、死に至る病という印象が強いため、仕事や保険契約に影響するとして、病歴を伏せる人が多い。そのためオープンにがんサバイバーと名乗りをあげる人は少ないのだという。

ただ、協力したい人は出てきている。

神奈川県在住の主婦、高松珠代さん(54)は2013年末に急性白血病になった。一人で治療を続ける無菌室の中、携帯電話で情報を探した。

同じような状況の人を探すと、やっと一人の連絡先が見つかった。

「暗闇にぴかーんと光る雲の糸が垂れ下がっているかのようでした。小躍りして必死でしがみつきました」と高松さんは話す。

「不安で仕方がない」と高松さんが言うと、「不安なことが入院中に出てくるのは当然なので不安を見える化することをおすすめします」と元患者に言われた。

「たったそれだけのことでも、同じ病気で同じような状況にいる人の一言は何ものにもかえがたいのです。家族も心配してくれているのは分かるのだけれど、体験した人しか分からないつらさを分かっている人の一言は大きい」

2012年に卵巣がんと診断された大塚美絵子さん(56)は、以前働いていた会社での人事のスキルを生かして、5yearsの活動の中で、がんになった場合の会社との交渉などについて相談にのっている。

「自分の体験をいかして役に立ちたい」と話す。 

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A-port
より

こうした声にあと押しされ、大久保さんは今、サバイバーと相談したい人がつながることができるプラットフォームを作ろうとしている。

顔をみながら話せるように、スカイプのような会議システムを使う。5yearsのウェブサイトに入れば、ソフトなどをインストールすることなく、スムーズに使うことができる。日程調整もウェブ上でできるようにする。そのシステム構築費用をクラウドファンディングで求めている。

大久保さんは、こうした活動を通じて、患者の情報を集め、将来的には医師や医療機関も埋もれた患者のニーズを掘り起こせるようなエコシステム(循環)を作り、患者たちが生きやすい世界をめざしている。

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A-portより

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朝日新聞社撮影。朝日新聞全国版に掲載された記事はこちら