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ライバル新聞社5紙協力で話題、初のハッカソン開催 担当者語る

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9月26日に新聞紙面でお知らせをする前から、朝日新聞デジタルに準備した「新聞5紙 NEWS HACK DAY」のページhttp://www.asahi.com/shimbun/medialab/newshackday/にはいつの間にかソーシャル上で約300のシェア、「いいね!」をいただきました。
申し込みや問い合わせも多数あり、主催者の朝日新聞社メディアラボとしてはうれしい限りです。
「ライバル新聞社同士が、しかも5社が協力してイベントを開くなんて珍しい!」「なぜ今?」「どうやって実現したの?」「会場のメディアラボ渋谷オフィスって?」――。そんな反応もありましたので、イベント概要と開催の経緯、担当者の思いを紹介します。

朝日新聞社は10月18日と25日、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞グループ、産経新聞社・産経デジタルと協力して5社でハッカソンイベントを開催します。「全国紙」によるハッカソンの共同開催は今回が初めてです。

ハッカソンとは、「Hack(ハック)」と「Marathon(マラソン)」をあわせた造語。ウェブ技術者やデザイナーの方々を対象に、数名のチームに分かれて新しいサービスやソフトウェアの立案・開発を競い合うイベントです。米国で誕生して日本にも徐々に浸透し、現在ではIT企業だけでなく、様々な企業や学術機関などが採り入れています。

今回のテーマは「ニュースの新しい読み方、楽しみ方」です。各社が記事データなどを提供して、新サービスの可能性を探ります。

2日間でできあがった作品の中から、最優秀賞1作品(賞金10万円)、各新聞社が選ぶ優秀賞5作品を表彰します。
ゲスト審査員は東北大院情報科学研究科准教授の岡崎直観氏、Google株式会社シニア・エンジニアリング・マネージャの賀沢秀人氏、株式会社AMF代表取締役の椎木里佳氏、クリエイターのTehu氏、スマートニュース株式会社執行役員メディア事業開発担当の藤村厚夫氏、株式会社nanapi 代表取締役の古川健介氏です。

まだまだ参加者は募集しています。専用ページhttp://asahi-medialab.doorkeeper.jp/events/15107よりお申し込みください。締め切りは、10月6日。応募者多数の場合は抽選とさせていただき、結果は10月8日までにメールで連絡いたします。

場所は、10月1日にできたばかりの朝日新聞社メディアラボの渋谷オフィスです。メディアラボは東京・築地の東京本社内を拠点としていますが、ベンチャー企業や若手のエンジニア、クリエイターが多く集まる渋谷でも新たな挑戦をしようと、渋谷から原宿方面に向かう明治通り沿いに分室をつくりました。新オフィスが、参加者の皆様のアイデアを引き出し、親睦を深められる場になれば幸いです。

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新オフィスの内観 株式会社ツバメアーキテクツ(渋谷オフィスの設計を担当)提供

「メディアの未来を考える」をミッションとするメディアラボは、これまでに6つのハッカソンを主催したり協賛したりして、新技術と新聞社のリソースを使ってできることを探ってきました。
紙面では日ごろ議論を戦わせている新聞各社ですが、今回、私たちが5社による共同開催にこだわったのには理由があります。
主担当の大石雅彦は、催事を企画する企画事業本部からメディアラボに来た入社6年目の28歳です。

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――なぜ今、全国紙5紙で合同のハッカソンを開くのですか。
「少しでもメディアの可能性を広げたい」という思いです。1人や1社では、広げられる可能性に限界があります。
私は入社した時から「新聞離れ」という言葉を聞き続けてきた世代です。自社だけでどうこうできる話じゃない、とずっと思っていました。

そんななか、ハッカソンの存在を知り、外部からの目線で新サービスを開発していくイベントに魅力を感じました。
これまでにもメディアラボの有志で小規模のハッカソンを開いてきました。最初は、ほとんど見よう見まねでしたが、参加者から指摘を受けたり、成果物のクオリティを確かめたりするなかでノウハウをためました。
10月15日から1週間は「秋の新聞週間」です。このタイミングで、ほかの新聞社と一緒に新聞の未来について考えるハッカソンが出来たら面白い、というアイデアにつながりました。

――各社にはどうやって協力を求めたのですか。
ハッカソン担当メンバー4人で飛び込みでお願いに回りました。すると各社も企画の趣旨やテーマにすぐに賛同してくれ、提案した私たちが運営や調整などの事務局を引き受けることになりました。

各社ともニュースを売ることを商売にしている企業なので、大事な「新聞記事データ」をどの程度提供してもらえるかは気になっていました。
ハッカソンは、普段目にできないような面白いデータが提供されないと、参加者が集まりにくいことは経験でわかっていました。まずは朝日新聞が過去の記事を可能な限り提供することを伝えたうえで、あとは各社の判断にお任せしました。結果的には、どのデータを使うか迷ってしまうほどの豊富な内容になりました。各社のご尽力に感謝しています。

――新聞メディアの現状とこれからについて、どう考えていますか。 
紙媒体を中心とする新聞業界のビジネスモデルは、ネットの発展を機に崩れかけています。とくに若者の新聞離れが加速し、新聞各社は大きな事業の変革を迫られています。

マーケティング用語の「製品のライフサイクル」で考えてみましょう。導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つのステージでいうと、紙の新聞はいま、まさに衰退期にあります。この時期には成長期や成熟期に築いた資金を、新しい商品や事業に投資していくことが求められます。
しかし、どんな分野に投資すべきなのか、残念ながらまだ答えは見つかっていないと思います。世界中の新聞社、メディアが一生懸命探しています。しかし極めて長い期間、「紙の新聞発行」というほぼ一つのビジネスに頼って来た業界内だけでは、発想にも限界があります。

ハッカソンでは、いつも新たな視点に気づかされます。多角的な可能性の芽を見つけ育てる努力を怠らなければ、情報そのものへの需要は常にあるのですから、カタチは変わっても道は開けていくはずです。
今回の狙いは、限られた市場シェアの奪い合いはとりあえず忘れ、新サービスを開発し、市場そのものの拡大を目指そうというものです。
新聞社は、単に紙の新聞を発行する会社ではなく、情報を届ける企業です。技術の進歩を取り入れ、時代に順応したメディアサービスのあり方を探りたいと考えています。

米国では、眼鏡型ウェアラブル端末のグーグルグラスを使用し、目の上に搭載したカメラのレンズからインターネットを経由してリアルタイムで実況する手法が生まれています。これは、新しい情報発信の仕方です。
日本でも、読み手の興味に合った情報を、人工知能技術を用いてネットから自動収集するスマートフォンアプリが登場し、注目を集めています。これらは、メディア業界の外からもたらされました。少し悔しいです。

スマートフォンが登場し、人々が情報を取得する方法は変わりました。メディアを取り巻く環境の変化を柔軟に受け入れて、人々の生活をより豊かにできる情報サービスを開発していきたい。いまは、未知の分野に積極的に挑戦し、前向きに変わっていこうとする姿勢が大切だと思っています。
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メディアによるハッカソンの例としては、今年2月に朝日新聞社がテクノロジーを使ったデータ分析と報道のあり方を競う「データジャーナリズム・ハッカソン」http://www.asahi.com/miraimedia/sympo/hackathon/を開き、脳卒中の治療を病院ごとに比較するサービス「データで透明化する医療」がグランプリを受賞しました。

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データジャーナリズム・ハッカソン終了後、記念撮影する参加メンバーら=東京・築地の朝日新聞東京本社、戸田拓撮影

3月にはTBSが日本のテレビ局初のハッカソン「TBS TV HACK DAY」http://www.tbs.co.jp/tv_hack_day/ を開催し、100万円という賞金額も話題になりました。NHKも5月に「NHK HACKATHON」http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/hackathon/を開きました。
マスメディアも外部の技術力や柔軟な発想、新たな知見を強く求めていることがわかります。

10月18、25日も、どんなアイデアに出会うことができるか、楽しみです。
(朝日新聞社メディアラボ)

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