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メディアは、テロを助長している?

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イタリアをはじめ、いくつかのヨーロッパ諸国では、血を流す遺体や犠牲者を捉えた生々しい映像が、ニュースの材料として優先されるようになった。
この点に関して言えば、報道を「規制」あるいは「選択」している日本のメディアの方が、つつしみ深く、誠実だと言えるのではないだろうか。

世界中で度々起きている、「カミカゼ攻撃(自爆テロ)」の報道について言っているのだ。

7月14日、フランス南部ニースで発生したテロでは、死者は少なくとも84人、負傷者は202人にのぼるという。イタリアのニュースポータルでは、動画や写真が次々に報道された。見るのをお勧めできないような、ニースの路上で血を流して倒れる犠牲者や引き裂かれた遺体の写真も掲載していたのだ。
紙媒体であろうと、ネット媒体であろうと、ニュースの存在理由は、事実を正しく伝え、それがどうして起こったのか、専門家や知識人が説明することではなかったか。

自爆テロの報道は、情報を発信することよりも、単に閲覧数を稼ぐための「ホラーショー」となってしまっているように思う。さらに、テロがいかに恐ろしく、規模の大きなものであったか、その爪痕を繰り返し報道する習慣が、テロの目標達成を手助けしているのではないか。

これらの生々しい動画や写真は、閲覧者を必要以上に怖がらせる。さらには、他のテロリストにも、同じように、ソフトターゲットを狙った自爆テロを実行するよう、助長してしまっている。
テロの刺客が望んだ、刺客としての勝利の感覚を与えてしまっているのだ。

これらの「残酷な」動画や写真は、どのように対処されるべきだろう。

報道内容を選択する、というプロセスを踏めばいいと思うのだ。
ジャーナルなどのコメント欄に適用される、不適切なコンテンツを排除するシステムのように、ニュースも、取り上げるべきではないと思われるコンテンツを控える、という選択肢を持つべきだ。

簡単な例を一つ挙げよう。
6月から約1カ月かけて行われたサッカー欧州選手権の間に、ファンが試合中のフィールドに乱入するという事が起きた。この「熱狂的なファン」がしたかったのは、公式戦の邪魔をして、数百万人という観客の注目を浴びることだ。この行為に対して、フランステレビ局が取ったポリシーは、簡潔かつ明瞭であった。
その「熱狂的なファン」をカメラで捉えないこと。彼らの望みを叶えないこと。
そうしたポリシーの下、多くのテレビ局は乱入したファンを映さなかった。

同じように、テロによって流された血は、メディアによって報道されるべきものではない。これらの映像や写真は、諜報機関にとっては役に立つものであるが、一般大衆に向けて積極的に知らせるべきものではない。興味があって見たいと言う人は、インターネットで検索し、個人的に見ればよい。

だが、「謹直な情報仲介者」であるはずのメディアが、「テロ窃視症」を助長するようなことは、決してあってはならないのだ。

訳:阪上 みなみ(Sakaue Minami)