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サイボウズ式:「やりたいことを日々の行動まで落とせない」のは、将来像の設定の仕方に問題がある

ずばり言ってしまうと、これは将来像の設定の仕方に問題があります。

2017年11月07日 17時19分 JST | 更新 2017年11月07日 17時19分 JST

マツナガエイコ

サイボウズ式編集部より:著名ブロガーによるチームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。読者のみなさまからご相談を募集したところ、たくさんのお悩みが届きました。届いたご質問やご相談をいくつか取り上げて、ブロガーのみなさまに回答していただきます。第1回は、日野瑛太郎さんからの回答です。

ご相談内容

ーー:未来の自分と今の自分を上手く繋げられません。どのようにキャリアプランを立てれば良いでしょうか?

漠然としたやりたいこと・ありたい姿はあるのですが、毎日何を頑張ればいいのか、どんな目標を設定すればいいのかが見えずに焦っています。社内風土としても人材育成は二の次で、ロールモデルになるような先輩もいません。

まず何をすべきか。その突破口のヒントを教えて欲しいです。(ひらめかないエジソン・若手社員)

やりたいこと・ありたい姿が漠然としていては、日々の行動までは落とせない

「なんとなくこうなりたい」という将来像はあるのだけど、それを実現するために何をすればよいのかがわからない、というご相談ですね。

ずばり言ってしまうと、これは将来像の設定の仕方に問題があります。「漠然としたやりたいこと・ありたい姿はある」と書かれていますが、この「漠然と」というのが曲者で、このぐらいの粒度では日々の行動までブレイクダウンすることは困難です。

なので、まず何をすべきかというと、その「漠然としたやりたいこと・ありたい姿」を、より明確なもの・具体的なものにしていく必要があります。

10年後なら10年後、自分はどこに住んでいたいのか、どんな会社で何の仕事をしていたいのか、その会社の社員数は何人ぐらいなのか、年収はいくらぐらいで、平日は何時ぐらいに帰って、休みの日は何をしていたいのか、あるいは会社員ではなく独立して働いているのか、などなど、こういったことをリアルに想像してみます。将来像にこのぐらいの具体性があると、それを達成するために今何をすべきなのかを考えるのは比較的簡単です。

たとえば、「日本のものづくりに関わる仕事がしたい」という将来像を思い描いていたとしても、これだけでは漠然としすぎていて、いま何をすべきなのかとかいう問いに答えることができません。しかしこれが「漆(うるし)塗り職人になりたい」などであれば、とりあえず職人の誰かに弟子入りしようとか、専門学校に通おうとか、そういう具体的な次の行動が浮かびます。

このように、将来像がある程度具体的に描けるようになると、今の自分に何が欠けているのかを把握してそれを埋めるための計画が立てられるようになります。いま慌てて何かをすることよりも、まずは自分がどこに行きたいのかをしっかり考えることが大切です。

具体的な将来像がすぐに描けなくても焦ることはない

そんな先の未来のことを具体的に想像しろと言われても難しい......と思われたかもしれません。実際、その通りだと思います。

以前『「キャリアプラン」は何年で考えるのが理想?──就活でよく聞かれる「10年」は長すぎる』というコラムを書きましたが、あまりに先の未来を想像しようとしても途方にくれてしまう人のほうが多いと思います。そんな時は、このコラムで書いたようにとりあえず2年後にどうなっていたいかを考えて(これなら具体的に考えることも難しくないはずです)その目標に向かって日々の行動をブレイクダウンするというのもひとつのやり方です。

もうひとつ別の考え方としては、「自分のやりたいのはこれだ。これになら人生を賭けてもいい!」という確たるものが出てくるまでは、焦らずに一日一日を大切に生きることに集中するというのもよいと思います。いろんなことに挑戦してみて、その時に自分の心がどう動くのかをよく観察してみるとよいのではないでしょうか。

本をたくさん読んでみるとか、どこか遠くに出かけてみるとか、10年ぐらい連絡を取っていなかった友人と連絡を取ってみるとか、そういった「何かが変わるかもしれないこと」をできるだけたくさん日々の生活に採用しながら、とりあえず目の前の物事を楽しむことに集中してみる。するとある日「お、自分がやりたいのはこれだな」というものが現れるかもしれません。

そもそも、「自分のやりたいことって具体的には何なのだろうか」とか一生懸命考えなければいけない時点で、残念ながら既に後手に回っているのです。本当にやりたいことがある人は、既にやっているか、何か障害があってやれないのであれば、どうにかしてやる方法はないかと必死でもがいているのが普通です。

もちろん、そういうものが今はないからといって焦る必要はまったくありません。焦ったからと言ってすぐに見つかるようなものではないですし、こればかりは落ち着いて自分の内なる声に耳を傾けるしかないのだと思います。

社内にロールモデルがいない時はどうすればいいか

ご質問には「ロールモデルになるような先輩もいません」と書かれていました。たしかに、身近なところに「ああ、この人のようになれたらいいなあ」という人がいると、自分のキャリアを考えるのは簡単になりますよね。

でも、実際には社内にロールモデルなんていないことのほうが圧倒的に多いんです。僕も特にはいませんでした。

会社というものは実はとても小さい限定された社会なので、その狭い社会の中でロールモデルをさがしても見つからないのはあたりまえのことです。それに、社内で見つかったロールモデルは、あくまでその会社の中という閉じたキャリアを描くためのモデルなので、キャリアパスが会社の中に縛られてしまうこともしばしばあります。ロールモデルが社内にいないなら、別に無理してさがす必要はありません。

それよりも、社外に目を向けてみましょう。社外であれば「この人みたいなキャリアを描きたいな」という人は比較的見つかりやすいと思います。

実際に社外のいろんな人に会ってみるのが理想ですが、本や雑誌のインタビュー記事をいろいろと読んでみるのもいいと思います。その時は、別に日本人に限定しなくてもいいですし、もっと言うと故人や歴史上の人物だっていいのではないでしょうか。場合によっては、フィクションの登場人物でもいいかもしれません。あくまで「モデル」なのですから、自分が「ああ、この人憧れるな」と強く思える対象なら、誰だってよいのです。

また、ロールモデルは一人に限定する必要もありません。誰か特定の一人を参考にするのも(その人がそれに値する人なら)悪くはないと思うんですが、たとえば仕事の進め方はあの人、プライベートではこの人、人生観はこの人......といったように、部分部分で参考にする人を変えてみるというのもよいと思います。よく小説家や映画監督が影響を受けた先達の名前を挙げることがありますが、その時に出てくる名前はたいてい複数です。そうやって複数の偉大な先達から影響を受けつつ、自分の感性という要素を足して、良い作品を完成させていくのです。これはキャリアでも同じなのではないでしょうか。

イラスト:マツナガエイコ


サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。 本記事は、2017年4月19日のサイボウズ式掲載記事「やりたいことを日々の行動まで落とせない」のは、将来像の設定の仕方に問題があるより一部編集して転載しました。

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