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ハラールでおもてなし

2013年06月26日 00時27分 JST | 更新 2013年08月25日 18時12分 JST

日本の玄関口である成田国際空港を擁する千葉県は、海外からの訪問客をいかに素通りさせずに県内に滞在して貰うかという、海外観光客の誘致が重要な政策課題となっている。

そのために、森田健作知事が音頭を取って積極的に進めようとしているのが「おもてなし」だ。訪れた人が気持ちよく滞在できれば、リピーターになってくれると思われるほか、口コミで千葉県の良さが広がるかもしれない。そこで、あの手この手を考えている。

小説、映画「県庁おもてなし課」で話題になった高知県庁に実在する「おもてなし課」は千葉県庁に存在しない。しかし、房総半島、九十九里など豊かな自然、ディズニーリゾートなど観光資源が豊富なだけに、知事を筆頭に県職員が一丸となって取り組んでいる。

「おもてなし」で大きなポイントとされるのが、「食」と「トイレ」の2つだ。海外からの訪問客に対しても、それは同じだろう。とりわけ「食」に関して、千葉県は農産品や水産物が豊富であり、これが海外観光客へアピールする材料になるのは間違いない。

そこで、県として積極的に取り組むべきと考え、私はハラールの推進を政策課題として取り上げている。世界人口の20%以上を占めるイスラム教徒を受け入れるため、戒律の厳しい彼らに気持ちよく「食」を味わって貰うのに、"イスラム法上で食すことができる"ハラールで「おもてなし」することが必要になるからだ。

イスラム教国の人が日本を観光目的で訪れながら、食べるものに困り、滞在中にパンばかりかじっていた、などといった話も聞く。それでは、楽しみも半減してしまうだろう。せめて、日本の玄関口である成田空港がある千葉県だけでも、彼らをしっかり「おもてなし」できないか──そう考えて1年ほど前から議会で訴えかけている。

関係者によると、昨年、ハラールを議会で取り上げた地方議員は、全国で私1人だけだったという。正直、議会においてなかなか賛同を得られないものの、「自分がやらなければ誰がやる」と思い聞かせ、この件に関して精力的に各方面へ働きかけている。

幸い、最近になってハラールはマスコミでも取り上げられるようになり、世間での関心も高まりつつある状況だ。そうした中、千葉県でも今年度予算で研究費を計上、施策として実現するなど、この1年の間に状況が変化している。ハラールの先進県となることで、少しでも県内の観光産業の活性化に繋がって欲しいと願う。

「おもてなし」の面で広がりをみせた後に考えるのは、県内産の輸出品目におけるハラール化だ。次の政策課題としては、農作物や水産加工物、工業製品など県産品についてハラールの認証取得を推進し、巨大な市場であるイスラム圏への輸出を増やすことである。

たとえば、私の地元である千葉県市川市は、日本有数の梨の産地であるが、高級フルーツとして中東の高所得者等に販路が拡大すれば、地域活性化に繋がるのは言うまでもない。戒律から農産品は必ずしもハラールの認証は必須ではないながら、ムスリムが安心して食せるという意味から輸出で優位に立てるため、農協に働きかけたところだ。

ただ、輸出については課題がない訳ではない。メインとなる食品工業の場合、認証取得に際して技術開示が求められた場合、新興国向けのハイテク製品輸出がそうであったように、日本の高い食品加工技術が流出する恐れも生じてくる。そうした点に留意しながら、産業活性化の施策の1つとして今後も取り組んでいきたい。