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長崎原爆の記憶を未来につなぐクラウド・ファンディング開始

2015年06月01日 14時49分 JST | 更新 2016年05月31日 18時12分 JST

戦後70周年を迎える長崎。 原爆の記憶を未来につなぐイベントを開催したい。

長崎原爆の実相を伝える「ナガサキ・アーカイブ」は、2010年7月にスタートしました。公開直後に20万ページビュー / 日を超えるなど、世界的に大きな話題となり、その後の「ヒロシマ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」などのルーツとなったプロジェクトです。

被爆70年を迎えるにあたり、私たちは、原爆の記憶を、次世代につなぐワークショップを開催するためのクラウドファンディングを開始しました。

クラウドファンディングで集められた費用は、企画開催に必要な会場費用などに使用されるほか、アーカイブのスマホ最適化に向けたバージョンアップ作業費用として、活用させていただきます。

このクラウドファンディングは「ナガサキ・アーカイブ」実行委員会により実施されます。メンバーは、2010年当時の発起人。鳥巣智行さん(高校生1万人署名活動第1期生・被爆3世)、大瀬良亮さん(長崎出身有志・被爆3世)、岡山史興さん(高校生1万人署名活動第1期生・被爆3世)と私の4名で構成されています。

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「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」など、私たちが手がけてきたデジタルアーカイブは、デジタル地球儀やAR(拡張現実)を利用しているというテクノロジー面に着目されがちです。しかし、できごとの「実相」を時代を越えて伝えていくためには、異なる方面からのアプローチが必要になります。

どの技術にも寿命があります。フロッピーディスクなどのレガシーな記憶メディアが象徴するように、資料をデジタル化すれば、永遠に利用できるとは限りません。つまり、デジタルアーカイブに用いているデジタル地球儀の技術も、将来において使い続けられるという保証はないのです。

技術の寿命を越えて記憶を遺していくためには、その記憶を「自らのことば」で語り継ぎ、ミッションを後世に伝える人々が必要になります。そうした人々が存在していれば、時代とともに技術が移り変わったとしても、記憶は継承されていくはずです。

「ヒロシマ・アーカイブ」の制作において、私たちは広島女学院中学高等学校の生徒たちと協力関係を築くことができました。彼女たちはこれまでに、被爆者の証言の収録活動を担当し、約30名にインタビューを行ってきています。彼女たちのインタビューに応えて、これまで被爆を「他言したことがなかった」被爆者からも、次々と新たな証言が提供されています。こうした証言は、ヒロシマの「実相」をかたちづくる、貴重なパズルのピースです。

アーカイブの制作者として、主体的に被爆者の話を聞くことによって、証言についての記憶が、若者たちの中に強く刻まれていきます。若者たちは、自らがつくったアーカイブを使いこなしながら、ヒロシマの記憶を語るようになります。こうして「作り手」は「語り部」となっていきます。

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さて、2011年に「ヒロシマ・アーカイブ」がスタートして以来、地元の高校生たちは専らインタビュー役に徹し、デジタル地球儀にマッピングする作業は、私の研究室のチームに委ねられてきました。この背景には、私が「作り手」の役割を区分する境界線を勝手に引いていたことがあります。それは「データを集める人」「コンテンツをつくる人」のボーダーです。

しかし、デジタルアーカイブを構成するHTMLやJavaScriptなどの技術は仕様が公開されており、誰でも習得可能なものです。地元の高校生たちも「自力で」アーカイブを更新するスキルを身に付けることができるのではないか?そうした「予感」からスタートした「ヒロシマ・アーカイブ制作ワークショップ」は成功を収め、地元の若者たちによる「コンテンツづくり」が実践されています。

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いま広島では、被爆者、地元の生徒たち、そして東京から訪れた私たち、全員が「コンテンツをつくる人」となった「記憶のコミュニティ」が生まれているのです。昨年のワークショップ以来、「ヒロシマ・アーカイブ」の記憶のコミュニティは、新しいフェーズに移行したといえます。今回のクラウドファンディングでは、こうしたワークショップを長崎で開催し、被爆者と若者たちの共同作業によって、原爆の記憶を未来につなぐための資金を募っています。

また「ヒロシマ・アーカイブ」は、既にスマートフォン・タブレット端末への対応を終えていますが「ナガサキ・アーカイブ」は現在PC環境のみで動作する仕様になっています。ご支援いただいた資金は、そのバージョンアップ作業にも使わせていただく予定です。

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ご支援いただいたかたには、アーカイブ上にお名前を掲載させていただく特典のほか、さまざまなプレゼントもご用意しています。ぜひ、お力添えいただければ幸いです。