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駒崎弘樹 Headshot

4歳からシチズンシップを教える、オランダの小学校視察記

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日本でも珍しいシチズンシップ保育園を2017年4月に開園することを控え、「世界一こどもが幸せな国」オランダの教育を視察してきました。

特にオランダでは、「ピースフルスクールプログラム」という、生徒自身による問題解決プログラムが開発され、実践されており、それはシチズンシップ教育において大きな成果をあげています。

今回は、このピースフルスクールプログラムを最初に実践した、OBS Overvecht(以下OBO小学校)に行ってきました。

【OBO小学校】


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実質的な首都であるアムステルダムから電車とタクシーで乗り継いで1時間くらいのところにある、ユトレヒト市にOBO小学校はあります。

生徒数は175人と少人数で、校舎も可愛らしいのですが、9割が移民の子ども達という、いわば困難校です。移民の子ども達はオランダ語が不自由で、学業が遅れてしまう傾向があります。

そうした厳しい環境にもかかわらず、教育省から3年連続でExcellent学校賞を受けているという、優れた事例です。

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*動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=BXVZHv3VUrg

【4歳から小学校に通う】


オランダはK12制度と行って、4歳〜12歳の期間に小学校に行きます。義務教育は5歳からで、4歳はプレスクール期間で選択制になっています。

これは一般の日本人としては少し驚きのポイントで、日本で小学校といえば6歳からで、それまでは保育園や幼稚園なのですが、世界の潮流としては、日本における保育園・幼稚園期間を「就学前教育」と位置づけ、部分的に義務教育にしていっているのです。

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授業はサークル型。他の学年も小グループに分かれた形で、日本のように先生の方に全員が向くいわゆる「スクール形式」の椅子の配置はありません

OBO小学校では、4・5歳児混合クラスで、クラスサイズは16人程度。全部で3クラスありました。

クラスサイズが4・5歳児で16人というのは、日本の認可保育所に比べるととても小さいものです。
認可保育所は100人定員が普通ですが、1学年20人としても、4・5歳児で40人います。
日本は保育士1人に対し、子ども30人が国の基準。OBO小学校では、先生1人に子ども16人〜20人程度だったので、手厚さはやはり違いました。

ちなみに、日本では「3歳児以上は大集団の中にいないと社会性がつかない。だから小規模保育は3歳児以降になじまない」と主張する保育運動家や行政マンたちがいまだにいるのですが、4・5歳合わせて16人で保育(教育)を受けているオランダ人は社会性が育まれない、ということなんでしょうか。日本の保育業界には奇妙なガラパゴス議論が多々あります。

【ピースフル・スクール・プログラムとは】


ピースフルスクールプログラムを日本に紹介した、クマヒラセキュリティ財団のWEBを引用します。

1990年頃のオランダでは、いじめや生徒の問題行動が増加していました。

この問題を国全体で解決するために、学校風土や教室の雰囲気を改善することを目標としたシチズンシップ教育プログラムの開発が計画されました。

1999年、オランダのユトレヒト市が、ユトレヒト大学のミシャ・デ・ウィンター教授の協力のもと、独自の教育プログラム「ピースフルスクールプログラム」を開発しました。

現在、ピースフルスクールプログラムは、オランダ全土の約600校に導入されています。

さて、OBO小学校、特に4・5歳という低年齢で、どのようにピースフルスクールプログラムを通じて、シチズンシップを教えていくのでしょうか。

【授業の様子】


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まず、1日の流れは、このようなカードによって示され、今自分たちはどこにいるのか、が明示されています。
これによって1日の全体感が掴め、次に何がやるのか、が明確になります。

ピースフルスクールプログラムは、1日の中で45分ほど行われます。

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先生は虎と猿のパペットを使って、もめ事を演出します。「遊んでたおもちゃを、虎くんが無理やり奪っちゃったの」というように。

先生は、子ども達に尋ねます。
「こういう時って、どうしたら良いのかな?」

子ども達は、自分のアイディアを次々に口にします。

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先生は、自分の感情をうちに抑えるのではなく、はっきりと「やめて」と主張してみよう、と子ども達に促します。
また、その上で、お互いが満足行くためには、どのように対話をしていったら良いのか、これも双方向的な議論によって子ども達に考えさせていきます。

まさにピースフルスクールプログラムの真っ最中に、隣の席同士で小競り合いが始まりました。片方の子どもが、もう片方の子を小突いたのです。

先生は、その二人を近くに呼び寄せ、両方から話を聞き、教室のみんなに「みんなは、どうすれば彼らの課題が解決できると思う?」とオープンクエスチョンで投げかけます。

「エイメンが先に手を出したんだから、エイメンが謝ったら?」
「ごめん、ってお互いに言ったら良いんじゃない?」

等と子ども達が話し合い、「じゃあ、二人はどうしたら良いと思う?」と先生が当事者達に話しかけ、当事者は結果的に仲直りし、また席につきました。

プログラムの最後には、「今日、議論に一番貢献してくれたのは、誰かな?」と生徒達に尋ねます。いろんな名前があがった後に、先生が「では、今日一番、議論に貢献してくれたのは、◎◎ね」とカードをプレゼントし、壁に貼ります。

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日本では大人しく授業を聞いている子が「良い子」ですが、オランダでは質の高い発言を行うことで教室に貢献することが褒められるに値するようです

こうして、様々なコンフリクト(課題)に対し、子ども達が議論を通じて解決策を生み出し、それを実践していく、ということを行っています。

【感想】


日本であったら、子ども同士にトラブルがあった際に、先生に言いつけて、先生が「マサルくん、謝りなさい!」等と怒り、マサルくんは悪いと思っていないけど、とりあえずこれ以上怒られるのも嫌なので「はぁい。ごめんなさーーい」みたいな形でひとまず謝り、それで終了、みたいなパターンが散見されるのではないでしょうか。

この場合、課題の解決者は先生で、かつ課題の解決方法は先生のみが考え、実行しています。
子ども達は客体であり、主導権は大人に委ねられていて、なおかつトラブル当事者にとって、必ずしも納得のいくものでもありません。

一方で、ピースフルスクールプログラムで実践されるのは、「子ども達による課題解決」です。先生は一方的な裁定者でなく、議論のファシリテーターとなり、子ども達が主体となって課題解決が行えるよう、問いを投げかけていきます。

こうした取り組みによって、子ども達は4歳という小さい頃から、議論をして課題を解決する、という作法を学び、そして自らが主体となって、課題を解決しうるのだ、という自己効力感を培うことができるのでしょう。

非常に感銘を受けた一方で、さらにスゴい仕組みが待ち受けていました・・・(次回に続く)

(2016年10月8日「駒崎弘樹公式サイト」より転載)