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予定どおり消費税を引き上げ、子育て支援の充実を(第2回点検会合)

2014年11月14日 16時52分 JST | 更新 2015年01月13日 19時12分 JST
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11月13日に開催された経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」(第2回)に出席させていただいた。

一子育て中の当事者として、そして内閣府の「子ども・子育て会議」の委員という立場から、

以下の発言をしたのでその全文を紹介したい。

(多少ニュアンスは変えているが、原文のまま掲載する。)

プレゼンの資料は下記のサイトからご覧いただきたい。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken2014/index.html

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労働・子育てジャーナリストの吉田大樹と申します。

このたびは、経済財政諮問会議における「今後の経済財政等についての点検会合」という貴重な場において発言する機会をいただき、誠にありがとうございます。

元々、労働関係の専門誌の記者で、その後、父親支援団体の代表を経て、今年7月より現在の肩書で活動しております。その関係で、昨年4月に発足した内閣府「子ども・子育て会議」において委員を務めさせていただいております。

個人的な状況ですが、現在、小5、小2、年長の子どもを持つ父親で、ここ4年ほどシングルファザーでもあります。父親が子育てに関わることの大切さを実感しております。自分自身が子育てをする当事者として、今回の消費税の引き上げについてどのような考え方を持っているのか意見を述べさせていただきます。

来年4月より「子ども・子育て支援新制度」が開始されることになっており、現在内閣府においても「子ども・子育て会議」の場で議論が進められているところです。

その「子ども・子育て会議」において保育の「量的拡充」及び「質の向上」として必要な財源とされたのは1兆円超とされたところですが、実際には消費税増税分の7,000億円がこの新制度に充てられることが決まっているだけであり、残り3,000~4,000億円については依然として確保できていない状況にあります。

しかし、現在確保できている7,000億円についても、10%に上がったことが前提とされています。他から財源が確保できるということであれば話は別ですが、消費税が引き上げられない場合、子ども・子育て支援新制度が十分に機能しない状態に陥る可能性が高まります。特に、大都市部における待機児童問題は一向に解決しないばかりか、保育士の賃金も引き上げることができずに保育士の確保も難しい状況が続くことになります。

そこで、改めて「子ども・子育て支援新制度」の意義について考えてみたいと思います。

そもそも憲法においては、国民に対して、勤労の権利を付与しているだけではなく、義務を課しているところです。つまり、義務を課している以上、働ける環境を整備するというのは、国の責務であると考えます。

しかし、高度経済成長期において、男女役割分業体制が構築され、「男性は仕事、女性は家庭」という状況を是認し、男性の長時間労働を前提とした上に、女性の就労を奪ってきた状況にあります。1986年に男女雇用機会均等法が、1992年育児休業法(現在の育児・介護休業法)が施行され、対策が進んできたように見えますが、依然として、第1子出産時に6割の女性が退職をするという状況です。

その大きな原因となっているのが、男性の長時間労働にあります。「週労働時間60時間以上の就業者の割合」をみてみると、2012年30代が18.2%、40代が17.5%となっており、まさに子育て世代と重なっています。長時間労働によって命や健康が脅かされるだけではなく、男性の子育てをする権利を奪っているとも言えます。その実態は、「父親の家事・育児時間の実態」をご覧いただければと思いますが、他の先進国と比べて圧倒的に家事・育児の時間が少ない状況にあります。

一方で、男性の長時間労働を減らすことで、残業代が減ることが考えられます。つまり世帯所得が減ることになりますが、専業主婦世帯では安定した収入を得られなくなる可能性があります。30代の「収入階級別雇用者構成」をみてみると、終身雇用や年功序列が崩壊する中で、非正規雇用も増えたことなども影響し、収入が減っている状況にあります。男性1人が世帯を養うことは非常に難しく、稼ぎ手とされる男性の収入が上がらない以上、夫婦が共働きできる環境をいち早く整備することが必要になります。

デフレ対策を講じるなどの景気対策を進めたとしても、20~30代の収入は果たしてどれくらい増えるのでしょうか。正直あまり期待はしていません。しかし、子ども・子育て支援は喫緊の課題です。政府が進めようとしている「女性の活躍推進」についても、子ども・子育て支援新制度が十分機能しない以上、とてもうまくいくとは考えられません。いま現時点において、仕事を続けることを諦めている人たちが大勢いるということを直視するべきです。

たとえ200~300万円の低所得者同士であっても、結婚・出産を乗り越えていってもらうためには、共働きを前提とする社会を構築するしか道はありません。パートであっても預けられる環境、ひとり親や低所得世帯であっても優先的に預けられる環境が新制度では進められることになります。

今回、経済動向が消費税を上げる判断となっておりますが、たとえ延期をしたとしても、十分に景気が上向かない可能性もあります。5%から8%に引き上げられるのに16年の月日がかかりましたが、再び同じ轍を踏まないためにも増税を先送りすべきだとは思いません。

国全体で1,000兆円を超える借金を抱え、社会保障財源も年々増え続ける状況の中で、次世代になるべくつけを回さないためにも、なるべく早い時期に消費税を10%に引き上げるべきだと考えます。

個人的は、それほど収入が高くない状況なので、消費税が10%に上がることは極めて苦しく、世帯収入を増やそうにも、ひとり親なので共働きでダブルインカムができるわけでもありません。低所得世帯にとって逆進性である消費税は厳しいものであるのは間違いありません。

しかし、消費税を上げることによって、社会保障を充実させ、低所得者やひとり親が安心して暮らせる状況を同時に整備してもらいたいと思います。それなしでは10%に引き上げられることの国民の理解を得られないと思います。食品や生活必需品に対する軽減税率、低所得世帯への給付制度などを構築することにより、所得の再分配機能を強化することも強く求めます。

最後に、政権基盤が強い「いま」だからこそ、引き上げを実行することが重要となります。解散によるコストを鑑みても、前回の解散から2年しか経っておらず、解散は時期尚早です。

いま政府がすべきことは、安心して働き、子育てができる環境を整備することだと考えます。そのためには、平年10月の増税を予定どおり実施すべきだと考えます。

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その後、質疑の時間で、経済財政諮問会議議員で株式会社日本総合研究所理事長の高橋進氏より、

「国民の意識を変えるために何が必要か?」という質問をいただいた。

その回答として、

「男性の意識を変えることが最も必要だと考えます。多くの男性が「人生=仕事」という状態になっており、ここから脱することが求められています。男性が子育てだけではなく、地域に関わっていくことも地域活性化という意味でも重要であり、現在都市部においては、地域は「寝て帰るだけ」の状況にある。今後政府が進めようとしている地方創生とも絡めて、男性の意識変革を促していくことが大事だと思います」

と発言した。