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小池vs増田候補、火花散らす 都知事選立候補予定者共同記者会見

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トップ画像:© Japan In-depth 編集部

混迷を極める東京都知事選、13日午後東京千代田区の日本記者クラブ開催で、4人に立候補予定者の記者会見が開催された。2時間にわたる長時間の会見だったが、明確になったことが二つあった。

一つは、小池百合子候補と増田寛也候補の対立点が明確になったこと。二つ目は、鳥越俊太郎候補に対する信頼性が揺らいだことだ。

まず一つ目。自民党の公認を得られず、単独で立候補した小池氏は、議会の一部の勢力による不透明な意思決定システムを正そうとしているのに対し、自公推薦の増田氏は、自民党の都連など、議会を牛耳る勢力と融和政策を取ろうとしていることだ。それは増田氏が小池氏に聞いたこの質問によく現れている。

増田氏「小池さんは、都議会冒頭解散とおっしゃっていることが気になる。ボスがそこを支配している、というが、会派のことをおっしゃっているのかどうなのか?(議会と対立すると)課題の解決が遅れてしまう。都政が停滞し、混乱が継続してしまうのではないか?」

これに対し、小池氏はこう答えた。

「これまでの都知事の選挙において、議会との関係がクローズアップされたことはない。(議会解散と申し上げたことで)冒頭大変ショックになったかもしれないが、議会から不信任頂いて、と申し上げた。私も都連の一員になってから重要な会議に呼ばれないとか、様々な決定が後で知らされたりした。私は、会長代理だったが、いろいろな会議に招かれないこともあった。(意思決定の)プロセスが明確でない。(議会と)喧嘩してどうする、と言われるが、猪瀬、舛添、と起きた事はまた十分に起きうる。むしろ繰り返されるのではないか。議会の中には、声上げないけど同じ感覚持っている議員もいる。」

巷では、仮想敵を作ることで劇場型選挙を行おうとしているとの批判も聞こえてくるが、もし、首長=都知事が、議会の一部の勢力のいいなりになり、言うことを聞かなければしっぺ返しを食うような、そんな都政などあってはならないだろう。不透明な意思決定プロセスがあるのであれば、徹底的に正すべきだし、ましていわんや、そこに利権の巣窟などがあるとしたら、それを一掃すべき、というのが都民の偽らざる気持ちだろう。

一方で、小池氏は8日のJapan In-depthとのインタビューで自らを「リアリスト」と称し、必ずしも議会と対決して都政を停滞させるようなことはしないとの考えを明らかにしている。

一方小池氏は増田氏に対し、「(前回の都知事選では)都連は舛添さんが世論調査で支持率があるということで推薦することになった。党を除名された人を持ってきた。今回私は真っ先に手を挙げ、党を除名されていない現役議員です。でも、党の推薦は増田さんになった。どうして私でなかったと考えられるのでしょうか?」と不満をぶつけた。

これに対し増田氏は、「党側の事情は十分承知しているわけではない。口幅ったいが、市区長さんたちとの対話通じて、都政を円滑にやっていこうと思っている。自民党の中の問題は十分承知していない。冒頭解散とかおっしゃるが、(都議会のいろんな党の)議員の職を奪うことになる。小池さんの手法は、私から見たら少し劇場型といったら、お叱り受けるかもしれないがそういうことをやられるように感じる。」とかわした。小池氏に解散権はないのだから、議員の職を奪う云々は的外れだが、党の事情は分からない、と逃げに終始した。

そして、野党の統一候補鳥越氏だが、宇都宮氏は、野党系候補として出馬を本当にするのかどうか聞かれ、「野党4党の政策協定があるのかどうか不透明。私は政策論争が中心にあると思っている。それが明確でないので現段階で出馬の意思は変わりません。」と明言、鳥越氏の政策がはっきりしないことを批判した。

これに対し鳥越氏は、「誰でも最初はわからない。昨日から今日にかけて政策作りました。言ってるつもり。宇都宮さんは聞いていないと仰るかもしれないが。文章にまとめてないだけ。心配していただかなくても結構です。」と語気を強めた。

その鳥越氏、冒頭掲げた政策フリップは「がん検診100%」。自らをガンサバイバーと称し、最終的に検診率を100%に引き上げたい、と強調した。しかし、財政、オリンピック、災害など、都の重要課題への対応を問われると抽象的な回答ばかり。政策論争が深まらないなら宇都宮氏は立候補を取り下げないと言っているので、このままだと野党票が割れるのは必至、野党4党の選対はさぞかし頭が痛いだろうと思っていたら、会見後ほどなく夜8時前に宇都宮氏は立候補取りやめを表明。

メディアを前にして鳥越氏の準備不足をあからさまに批判しておきながら、あっさり降板されては、宇都宮氏の支援者もどっちらけではないか。野党の足並みの悪さここに極まれり、だ。

その当の鳥越氏、最後に一言、と司会者に言われて引用したのが、室町時代の小歌集「閑吟集」の一句。

「『何せうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂え』、何もしないでくすんで生きていてどうするんだい、人生なんて夢のようにあっという間だよ。だから今やりたいことを、狂うほどにやれよ、という意味。まさに今この心境。(私の人生)残り10年残っているかどうかだと思う。がんもやりましたしね。そんなに長生きできると思っていませんが、もし生命があるなら、残りの限りをつくし、ただ狂ったかのように、精魂込めて全身全霊かけて都知事をやりたい、やらしてください!」と声を張り上げた。

その心意気やよし、と言いたいところだが、一抹の不安を感じた都民は私だけではないだろう。

一方の小池氏は、都知事としての資格を問われこう答えた。「たまには女性にしたらいいんじゃないのと思ってます。(会場笑)今山積している課題は男目線のものが多い。目線を変えることで潜在力花開くこともあるんです。環境大臣、防衛大臣やって、クールビズ、発想変えて社会変わった。都民と一緒にやりましょうというムーブメント起こせるのがリーダー。一つ一つの課題は現場にあります。耳傾けながら優先順位を決めて都民と実行していく。」

自民党都連は、党が推薦していない候補者を応援した場合、「除名などの処分対象になる」との文書を所属国会議員や地方議員に配布している。議員本人だけでなく親族による応援も禁じているが、これに反発する自民党議員もいる。与党も分裂選挙だが、自民公明の推薦を受ける増田候補が盤石なのか、無手勝流の小池候補が無党派票を取り込むのか、現時点で予測不能だ。

その他にも様々な候補者が乱立、星雲状態の都知事選だが、一つだけ言えることがある。都民がやるべきこと、それは一人一人の候補者の政策をしっかりと見極めること、それに尽きる。決して人気投票に終わらしてはならないし、参院選から続く選挙疲れで投票を棄権したりしてはならない。さすれば、組織票を持つ一部の候補者だけが有利になる。自分の暮らしを本当によくしてくれるのは誰なのか、考える時間はまだ、十分ある。