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クライマックスシリーズの廃止を

2014年10月20日 22時58分 JST | 更新 2014年12月20日 19時12分 JST

NPB(日本野球機構)では、2007年から日本シリーズ進出を賭けたクライマックスシリーズを導入したが、本当に必要なのだろうか。

■パリーグのプレーオフ

クライマックスシリーズの前身は、パリーグのプレーオフだ。昔は「人気のセ、実力のパ」と言われていたが、1993年から10年間、パリーグのチームが日本シリーズを制したのは、3回だけ。オールスターゲームでも、1997年から2000年まで、引き分け1つはさんで8連敗を喫してしまう。「人気、実力ともセリーグ」という状況になっていた。

パリーグは、様々な面でセリーグとの差が広がることを懸念したのか、2004年からプレーオフ制度を導入し、公式戦1~3位チーム(通称、Aクラス)による優勝決定戦が行なわれた。その結果は下記のとおりである。

●2004年

2位の西武ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)が優勝(1位は福岡ダイエーホークス)。

●2005年

2位の千葉ロッテマリーンズが優勝(1位は福岡ソフトバンクホークス)。

●2006年

1位の北海道日本ハムファイターズが優勝。

パリーグの覇者は、いずれも日本一に輝いた。その要因としてあげられるのは「野球勘」だ。プレーオフ終了後から日本シリーズまでの間隔が短いので、緊張感を持続したまま試合に臨める。特に2005年は4連勝、2006年は4勝1敗で早々に幕を閉じた。

"惨敗続き"のセリーグは、ついにプレーオフの導入を検討し、2007年からの開催を決定。併せて両リーグとも"公式戦の1位は優勝とみなすが、日本シリーズに出られる保証はない"という、「クライマックスシリーズ」として、新たな戦いが始まった。

■クライマックスシリーズの影響

クライマックスシリーズのメリットを挙げてみよう。

(1)ファンとしては、試合が観られる。

(2)2位、3位のチームが「日本一」を勝ち取る可能性がある。

(3)興行収入が期待できる。

(4)テレビの高視聴率、ラジオの高聴取率も期待できる。

(5)スポーツ新聞の売り上げ増加も期待できる。

クライマックスシリーズ導入により、1試合でも多く観られるのは、ファンとして純粋に嬉しい。プレーする側、応援する側にとって、冥利に尽きる。NPBとしても、最大12試合増加したので、"超満員の試合が増える"という青写真も描ける。

しかし、デメリットもある。

(1)公式戦と日本シリーズの存在価値が薄れる恐れ

2010年の日本シリーズは、中日ドラゴンズ(セリーグ優勝)と千葉ロッテマリーンズ(パリーグ3位)の対戦となった。しかし、在京のテレビ各局は、"高視聴率が取れない"と確信したのか、地上波の全国中継を見送る試合もあった。頂上決戦なのに、伝える側が盛り上げようとしない姿勢にがっかりした。

同年はパリーグ3位の千葉ロッテが日本一になり、「下克上(げこくじょう)」と言われた。中日にとっては、歴史的屈辱である。今後、2位、3位のチームが栄光に輝くと、リーグ優勝制度を廃止したほうがいい。

(2)日本シリーズとドラフト会議(新人選手選択会議)の順番が逆転

2014年のクライマックスシリーズ開催前、広島東洋カープの野村謙二郎監督とソフトバンクの秋山幸二監督が相次いで退任を発表した。2人ともシーズン中という、不本意な形での発表となった最大の理由は、ドラフト会議だと考えられる。

以前のドラフト会議は、ポストシーズン終了後に開催していたが、2008年以降は日本シリーズ前に変更した(注、2005~2007年は初秋「高校生」、晩秋「大学・社会人など」の2度開催)。

ドラフト会議に出席できるのは、球団職員・役員のほか、翌年指揮を執る監督である。仮に野村・秋山両監督が退任発表を行なわないまま、日本シリーズ出場を決めた場合、2014年10月23日開催のドラフト会議に出席できないので、マスコミが憶測を記事にしてしまう。両球団がそれを恐れたのだろう。

突然の退任発表に選手たちが動揺したのか、広島はファーストステージで敗退。ソフトバンクは最終戦までもつれた末、日本シリーズ出場を決めた。

■日本シリーズを元の体制に戻してほしい

2003年までの日本シリーズは、両リーグの1位チームがあいまみえ、頂点を目指すものだった。各球団は「優勝」と「日本一」を目指し、首脳陣は選手に厳しい練習を科している。

ところがクライマックスシリーズの導入により、勝率5割以下のAクラスチームでも、日本一の栄冠を手にできる。仮に現実となった場合、「ペナントレース(公式戦)では、なぜ手を抜いていたのですか?」とファンや球団関係者などが首をひねるだろう。

2014年の日本シリーズは、「下克上シリーズ」、「史上最低の日本シリーズ」にならなくて、本当にほっとした。仮に現実となったら、「交流戦スペシャル」という認識を持ち、興味や関心のない人が多いと思う。

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巨人が2位、3位のいずれかで日本一になっても、銀座でパレードを行なうのか?

今のプロ野球は"「日本一」を安売りしている"状況だ。2015年以降は、クライマックスシリーズを廃止し、元の体制に戻してほしい。