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遅れて来た大国中国は一体何処に向かうのか?

2014年05月14日 22時14分 JST | 更新 2014年07月14日 18時12分 JST

またBBCがUS warns Beijing on South China Sea tensionsと伝えている。連日、中国とベトナム、中国とフィリッピン間の紛争が報じられるので余りニュースという気がしなくなってしまった。

The US has warned China that moving a drilling rig into seas disputed with Vietnam was "provocative".

In a telephone call, US Secretary of State John Kerry told Chinese Foreign Minister Wang Yi the US had "strong concerns" over recent developments.

Last week, Chinese and Vietnamese ships clashed over the drilling rig that China has placed in waters near the disputed Paracel Islands.

China and Manila are also at odds over overlapping territorial claims.

Beijing claims a U-shaped swathe of the South China Sea that covers areas other South East Asian nations say are their territory.

The issue has been rumbling in recent years amid an increasingly assertive stance from China over its claims.

中國は戦後70年かけて実に粘り強くゆっくりと南シナ海での権益を拡大して来た。しかしながら、ここに来て動きが加速している。ベトナムが激しく反発している様に石油探索リグをベトナムが領有権を主張する南シナ海パラセル諸島付近に設置を急いでいる。これは、「尖閣」を含めオバマ政権が本気で東アジアの平和と安定を守る気があるのか否かを見極める試金石になるだろう。世界がパラセル諸島での中越紛争を注視する所以はここにある。

ベトナムが強気に出る背景にはアメリカ軍のフィリッピン基地駐留決定があるのは明らかだ。これはフィリッピン、アキノ大統領のニューヨークタイムズのインタビューに答える形での中国をナチスに例えての中国批判を受けたものである。一方、アキノ大統領の 中国批判はダボス会議での安倍首相発言の趣旨を継承するもので、安倍発言の結果米軍が再度フィリッピンに駐留する事となり、結果、東アジアの平和に貢献している。

今後、中国が日本を含む西側諸国と協調し、国際秩序や法の支配を尊重した上で、力による現状変更の試みを封印するのか? 或いはロシアのプーチン大統領同様、国際法を重視する事無く、国境を力(軍事力)で変更しようとするのか? これにより今世紀の東アジアの歴史は大きく異なる展開を辿る事となる。今月下旬から来月上旬にかけて重要な国際会議が目白押しであり、この会議の結果は日本を含めた東アジアに大きな影響を与える事となる。

■ 5月19~20日 TPP閣僚会合(シンガポール)

日本のTPP加盟に関しての私の基本的な考えは、一年弱前に公表した、日本は何故TPPに加盟すべきなのか?で説明した通りである。マスコミは例によって「TPPで日本はアメリカの属国になる」といった大騒ぎを演じるだろうが、影響を受けるのは「規制」によって利益を得ている日本の人口の精々2%程度に過ぎないと聞いている。

従って、残りの98%の国民に取っては牛肉、豚肉、米が安く買える様になり、また、一般にアメリカの保険商品の方が、日本の保険会社の提供する商品よりも遥かに安いので保険費用が節約出来る様になるというだけの事である。消費者に取っては何も困る事のない話なのだ。

11月に中間選挙を控えるオバマ政権としてはTPPで実績をあげる必要がある。一方、安倍政権としても「成長戦略」の中身が見えず、東京株式市場が年初来冴えない展開を続けている状況下、TPP加盟を急ぎこれを「成長戦略」の中核に位置付ける必要がある。従って私は11月以前には決着すると考えている。その際、念頭に置くべきはTPPが合意に至り、アジア・太平洋地域での通商と投資の枠組みが決まると中国は蚊帳の外に置かれてしまうという事である。

■ 5月20~21日 CICAアジア相互協力信頼醸成措置会議(上海)

日本では余り報じられていないがCICAアジア相互協力信頼醸成措置会議(上海)が開催される。

2014年5月20日―21日、第4回亜信峰会(CICAサミット)は中国上海市浦東新区で開催される。サミット会場と関係ホテルは浦東新区の陸家嘴、花木、万博など多くにエリアに分布している。これで、中国は正式に2014年―2016年のCICAサミットの主席国となり、CICAにとって新しい発展段階に入ることを意味する。中国国家主席習近平は開催国の首脳として、各国の首脳を迎える。中国外交部王毅部長(外務大臣)はCICAサミットがAPECサミットと並列し、今年中国にとって二つの重大な出来事であると語った。

この間プーチン大統領が訪中し、中露首脳会議が開催されると聞いている。更にはこの期間に揚子江近くで中ロ合同軍事演習が行われるとの憶測もある。南シナ海で中国はフィリッピンに漁船を拿捕され、一方、ベトナムとは小競り合いが続いている。中国としては力(軍事力)により現状打破を図りたいのは山々であろうが、しっぺ返し、副作用が怖いのも事実。一方、この状態に指を咥え座視している様では国民から手緩いとの批判を浴び、政権の維持が難しくなってしまう。進も地獄、退くも地獄の状況に陥った中国がロシアとの軍事同盟を誇示する事で状況の打開を図るというのはあり得るシナリオだ。しかしながら、西側諸国がこれに反発するのは当然で、結果、中国の孤立が更に進む事になる。

■ 危険なプーチン大統領

元々プーチン大統領が危険な指導者である事は以前から指摘されて来た。ウクライナ問題とクリミアの併合でこの事が一気に顕在化した訳である。それでは、一体プーチン大統領のどういった点が危険なのであろうか? 第一は冷戦後の世界秩序を力(軍事力)で破壊し、ロシアの国益に叶う新体制の構築を考えている事であろう。

今一つは国家間で問題が生じた場合、法を尊重し、話し合いにより、飽く迄も互恵の精神で解決策を見だす努力をするのではなく、力(軍事力)に物を言わせゼロサムゲームで根こそぎ奪い取るといった発想に準拠している事である。習近平総書記がプーチン大統領のやり方を中国として追随するのか否か、これが今世紀の東アジア安全保障の分水嶺になると思う。

■ 5月30~6月1日 シャングリラ会議(シンガポール)

安倍首相が出席し基調講演を行う予定と聞いている。講演の中身は基本的に先般のオバマ大統領との首脳会談後の共同声明を踏襲するものになると予測する。その際、一国平和主義を見直し、世界の平和と安定に貢献する新しい日本を巧くアピールすべきである。ロシアと中国の冒険主義がここまで重篤になった以上、最早、日本の右傾化を心配し、批判する国は韓国以外には見当たらないと推測する。

■ 6月4~5日 G7首脳会議(ブラッセル)

元々はオリンピックが開催されたロシアのソチでG8として開かれる予定であった。しかしながら、ウクライナ問題とロシアのクリミア併合によりロシアがG8から除名され、ブラッセルでG7首脳会議として開催される事になったものだ。その時に、中国とロシアが何処まで接近しているかが大きなインパクトを与える事になるだろう。

ちなみに、現状維持であれば西側先進国は一致団結してロシアに対抗する事となる。仮に中国がロシアと連携し、南シナ海で軍事行動をエスカレートさせていたら中国、ロシアの二国に対峙せねばならない。そういう展開となれば国連は最早機能せず、例えば東アジアであれば日米を中核にG7+アセアンで中国に対抗する展開となるだろう。そうなれば、従来の国連中心主義やPKOを中核に組み立てた国際貢献のスキームも見直しが必要となる。