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あえて「ミッドタウン目線」、全国で勝負できる商品を発掘するには

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東日本大震災からの復興を目指し、さまざまな支援事業が行われている。しかし、発生から3年以上が経過したいま、徐々に「風化」が指摘されるようになった。単純な復興ストーリーの発信だけでは伝わりにくくなる中、復興支援を「事業」として続けるためには、どんな情報発信のあり方が求められるのだろうか。前回の記事(「復興支援は「ボランティア」ではなく、「ビジネス」になるのか)で紹介したヤフー石巻復興ベースの長谷川琢也氏の報告を事例として、意見が交わされた。

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■ストーリー性が薄れると「ショッピングモール」に負ける

ヤフー石巻復興ベースの長谷川氏は現地で、特産品のネット販売などを手がけたり、イベントを開催したりして、持続可能なビジネスを目指している。しかし、徐々に迫りつつあるのが、人々の記憶の「風化」だ。駒沢大学の山口浩教授は「風化」によるストーリーの喪失を指摘する。

時間との戦いがあります。今はいいですが、もし次の震災が別の場所で起きれば、みんなの関心はそっちに向かってしまうでしょう。また、人々の共感を集めるストーリーは災害被災地だけのものではありません。地方活性化したいという田舎は全国にたくさんあります。それに、そうしたストーリー性が薄れると、人はどうしても「ショッピングモール的」な安くて便利なものにからめとられるでしょう。

立命館大学の西田亮介・特別招聘准教授も同様の疑問を投げかける。

復興支援事業から、「復興」をのぞいた場合にどのようなコンセプトがあるのでしょうか。それぞれ個別の事業は、その文脈が薄れていっても、バリューが高いと言えるのでしょうか。

敬和学園大学(新潟県)の一戸信哉准教授は、新潟県で50年前の1964年に起きた新潟地震を引き合いに出して説明する。

新潟地震から50年が経って、地元では報道がありましたが、東京ではほとんどありません。新潟の学生に聞いても、50年前の出来事なので、よく知らないケースもあります。では10年前の中越地震はどうでしょうか。これも10年経った現在、東日本大震災とはリアリティが違うでしょう。徐々に風化する中で、今の取り組みをどう位置づけていくのかは考えないといけないでしょう。

このような投げかけに対し、長谷川氏が答えた。

復興の文脈はまだあります。しかし、このままではやっていけないでしょう。震災に関係なく、こんなすごいものがあるということを出そうと思っています。次に震災が起きた時には横展開できるようにしたいのです。クラウドファンディングも最近は成立が難しくなっています。「脱復興」の文脈でどうやれるのかを考えています。復興という言葉にいつまでもすがるつもりはありません。

■フローのニュースを活用して、ストックの購入予約を増やす

では、「風化」が進む中で、継続的に情報を発信し続けるためには何が必要なのだろうか。長谷川氏は課題として、ビジネスの感覚がなかなか共有されにくいことを指摘する。

何か1個が売れたとしましょう。「もっと売りましょうよ」と自分が現地のおばちゃんに言うと、「いやいやいや、うちはバーンと右肩上がりは無理です」と言われます。「毎月5万円を一生稼ぎたい」という感じです。横一直線を望んでいて、悩ましい部分があります。いくら売りたいとか、どういうビジネスモデルにしたいかという感覚が全く僕らとは違っています。

そこで、法政大学の藤代裕之准教授がヤフー主導の情報発信のアイデアを提案する。

露出が減るとECが売れなくなってしまいます。一方で、情報がバーンと出ても、一時的な注目で終わります。どうやって情報を出し続けるのかを考えないといけません。

では、具体的にどんなやり方があるのだろうか。

ニュースとして情報を出すけれど、「売らない」というやり方はどうでしょうか。すぐに売ってしまうのではなく、そこで予約させて、後で売る。
ニュースは「フロー」なので、あまりストックできませんが、予約として興味を「ストック」出来ます。

フローとしてのニュースを流し続けるのではなく、予約のストックを積み重ねることで、持続的なビジネスにつなげる。プラットフォーマーならではのやり方といえるだろう。これに対して、Yahoo!ニュース編集部の伊藤儀雄氏は、こう指摘する。

ニュースを流す場合は、既存のニュースとの切り分けが必要になるでしょう。しかも自社でやる以上、自社のプロモーションにも見えてしまいます。ユーザーにその違いが分かってもらえるようにすべきでしょう。また、人が集まる掲出場所というのは限られている。発信するだけではなく価値のある情報としてユーザーにどうやって認識してもらうのか、届け方、伝え方に工夫が必要です。

ニュースをどう位置づけるのか。さらにニュースとECをどううまく連携させるのかが重要なポイントになりそうだ。

■ミッドタウンの視点を生かしたキュレーターに

では、商品の購入予約につながるような、注目度の高いニュースを発信するためには、どうすればいいのだろうか。藤代氏は、

地元で当たり前になっていることは、地元の人には紹介できません。ヤフーの本社があるミッドタウンに普段いるからこそできることがあるはずです。

西田氏も、

全国の、消費の最大公約数的な「東京的な価値観」になっていくのではないでしょうか。価値観のコードにかなう、「地域のモノやコト」、つまりは「ミッドタウン的な価値観」に合致するもので、まだ気づかれていないものを、地域からピックアップしていく。何から何まで、べたっと「地域的なもの」は、なかなかヒットしません。たとえば、ある大手百貨店の北海道展は担当者が予算無制限で、道内をぐるぐるまわって、常に自らの舌で新しい出展する店舗を探していると聞きました。それと似ているのかもしれませんね。

地元にはない視点で「品定め」をすることのできるキュレーターが必要になる。その視点は全く現地とは異なる「ミッドタウン的」なものともいえる。

これに対して、長谷川氏は、地元メディアとの「協力関係」が有効であることを主張する。

三陸河北新報社は、「よそ者」をいれてWebサイトをリニューアルしました。また、地元メディアは、地元で一定の影響力があるので、イベントを開くときに警察と交渉してくれるなど、協力関係を構築することができています。

地元メディアとも役割分担をしながら、お互いに事業を進められるといいだろう。いかに情報をうまくコントロールして、事業として継続させることができるのか。風化に負けないためにも、復興ストーリーの発信だけでなく、収益モデルを考えた新たな仕組みが求められている。(編集:新志有裕)

※「誰もが情報発信者時代」の課題解決策や制度設計を提案する情報ネットワーク法学会の連続討議「ソーシャルメディア社会における情報流通と制度設計」の第12回討議(14年6月開催)を中心に、記事を構成しています。