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自由って何だ? SEALDsとの対話(4) 政治は生き物 育てていこう

2016年03月07日 01時20分 JST | 更新 2016年03月13日 01時33分 JST

2016-02-23-1456217311-2962687-logo.png朝日新聞社の言論サイトである「WEBRONZA」は今を読み解き、明日を考えるための知的材料を提供する「多様な言論の広場(プラットフォーム)」です。「民主主義をつくる」というテーマのもと、デモクラシーをめぐる対談やインタビューなどの様々な原稿とともに、「女性の『自分らしさ』と『生きやすさ』を考える」イベントも展開していきます。

「民主主義をつくる」は、

巻頭論文

②「自由って何だ? SEALDsとの対話」 123 4(本記事)

③五百旗頭真・熊本県立大理事長インタビュー 123

の三つで構成しています。

◆SEALDsからの出席者 千葉泰真(ちば・やすまさ)/元山仁士郎(もとやま・じんしろう)/今村幸子(いまむら・さちこ)/是恒香琳(これつね・かりん)/安部さくら(あべ・さくら)/大高 優歩(おおたか・ゆうほ)山本雅昭(やまもと・まさあき)



◆齋藤純一/早稲田大学政経学部教授(政治理論・政治思想史専攻)



◆司会 松本一弥/朝日新聞WEBRONZA編集長(末尾に参加者の略歴を掲載)

議会制民主主義に足りない点を補完する

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齋藤純一教授と語り合うSEALDsのメンバー

松本 最後に、「デモと議会制民主主義」について話したいと思います。

元山 日本は議会制民主主義の制度をとっていますよね。それ自体はまったく否定しないですが、議会というものは、必ず欠けているところがあるので、そこを自分たちも参加して、声を上げていくことで埋めていきたいなと思っています。声をあげる、ということは憲法でも認められていることなので、声を上げることで、議会に足りていないところを埋め合わせていきたいんです。

議会と個人って、お互いに共依存的というか、補完的なところがあるんじゃないのかな。今まで日本では、議会がとても強かったし、僕たちはお任せしたきりだった。でも、3・11以降から、参加型というか、市民が直接声をあげて議会に反映させるっていうことが盛んになってきたと思うし、それをSEALDsが盛り上げているという側面もあると思うんです。また、これは日本だけじゃなくて、世界各国でやるべきことなので、それを自分たちも受け継いで、次の世代に引き渡していきたいなと。

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今村幸子さん

今村 私は、民主主義って、議会制だけでは足りなくて、議会を補完する役割がデモにあると思っています。民主主義のなかで、選挙以外に市民が政治にかかわっていくあり方として、デモがある。それだけじゃなく、選挙に対しても効果があると思っています。

たとえば、次の選挙までに街中でのデモをやって、世論を喚起することで「こういう問題があるんだ」と気づく人がいるかもしれない。

世論を可視化して、それをメディアが取り上げることで、もしかしたら次の選挙で、今まで少数だった声が多数になっていって、それが選挙結果に反映されるという可能性もあると思うし。安保法制だけの問題だけじゃなく、デモというのは議会制民主主義にとっても、大事なひとつの表現じゃないかなと思っています。

小選挙区制では補えない民意を反映させる

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元山仁士郎さん(左)と千葉泰真さん

千葉 まったく一緒です。民主主義は未完のプロジェクトだ、といわれますよね。投票行動、選挙こそ民主主義だということに対する批判も浴びせられているんですけども、投票行動というものも、特に議会制民主主義において大きなウェートを占めることは間違いないと思うんです。

でも、それだけじゃ100%ではない。特に一つ前の選挙を見てみると、得票率にしたら、わずか25%前後の自由民主党が、議席数にかんしては7割以上を占めるような小選挙区制の問題点がある。投票していない人がいるにしても、75%の民意は選挙結果に反映されていないわけです。

やはり、そういった民意の欠如を補う方法として、デモだったり、ウェブでの動画配信による世論喚起であったりっていうのも、一つの政治参加の方法だと思っています。特に昨年の夏は、デモという政治参加の仕方もあるんだなっていうのが社会に大きく認められたと思う。

あとは、こんど立ち上がった「ReDEMOS(リデモス)」というシンクタンクにしても、そういった市民側の知のプラットフォームを提供するという点で、政治参加のひとつなのかなと。投票だけでは完成しえない議会制民主主義を補完する、たくさんあるなかのひとつになるんじゃないかなと僕は思っています。

自由であり続けるために

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安部さくらさん(右)、今村幸子さん(真ん中)、是恒香琳さん

安部 もう、ほとんど言われちゃった(笑)。私、社会はそう簡単に変わらないと思っているんですが、だからといって絶対変わらないことはないとも思っていて。自分が選挙に行けるようになってまだ1年目で、まだ2回しか行ったことがないけど、選挙に行くだけで社会に参加したという気持ちになれるし、自分の行動が何かを動かすかもしれないと思えたりすることは、すごく希望なんですよね。

議会制民主主義が、すべてを代弁していない、誰かに頼っているだけでは変わらないと思うようになりました。だから、自分にできることをやろうと思う。

自分の行動が何かにつながっていると思えるようになったから、それだけで私は希望が持てる。社会はそう簡単に変わらないし、変えるためには、地道で面倒くさいことをずっと続けていかなくちゃいけないわけだけど、それをやらなくなったら、もっとつまらない人生だなって私は思う。

だから、いま、SEALDsの活動をやっていて後悔もないし、もっとおもしろくなるだろう、自分でおもしろくできるだろう、って感じています。世の中の状況はすごく絶望的だけど、やめたらもっと不自由になる。自分は自由なんだと自分で思っている限り、誰も私から自由を奪えないのかな、と。そう思いながらやっています。

政治は生きている

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是恒香琳さん(左)と千葉泰真さん

是恒 昨年の夏を見ていて思ったんですけど、政治って、生ものっていうか、生きている。だから、みんなで育てていかないといけないわけで。

たとえば、この候補者はきっといい働きをしてくれると思って選挙で選ぶとするじゃないですか。でも、選んでそのあと放置すれば、みんなが思っていたような政治家になってくれるかというと、そうではない。

やっぱり政治って、ああでもないこうでもないと意見を交換しながら、みんなで少しずつ育てていくものだと思うんですよね。そのへんの感覚が、あまりにも私たちにないな、と思って。

みんな、選挙で選んで終わりで、それで自分の思った通りの政治をしてくれると思っているのかもしれないけど、政治って、そんなに無機質なものじゃないから、生きものに対するのと同じように、かかわり続けていくことが大事。その一つの方法が、私はデモだと思う。いろんな関わり方があるべきだと思うんです。デモも占拠もそれ以外も、どの方法も否定するわけではない。全部が大事ってことです。

民主主義スピリットを持つ

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大高優歩さん(右)と安部さくらさん

大高 民主主義は、スピリットとして、一人ひとりが持っておくべきものだなと思っています。国会議員の人にも、一人ひとり、民主主義のスピリットがあれば、きっと議会制民主主義というのはもっとうまくいくんじゃないかなと思うんですね。一対一から始まるのが民主主義なんだな、と。

そういう姿勢というか配慮というか、そういうものがあれば、議会制民主主義って、ものすごくうまくいくものだと思うんですけど。現状はそういうものがなくって、議会制民主主義の欠点が、すごくうまい感じで利用されているな、というのが、今回僕が運動を通して感じたことです。それまで、僕はあまり運動とかやったことがなかったので。

千葉 オレもない。

一同 ないないない(笑)。

大高 だから、政治とか国会とかの中身をあまり考えたことなかったんです。民主主義のスピリットは国民がそれぞれ持っておくべきものであって、きっとそれを表現する方法となると、例えば代表的にはデモというものが生まれてくるんじゃないかなと思っています。

僕自身もそれを大切にしたいし、きっとまだ世の中には、そういった考え方ではなかったりする人がたくさんいると思うので、僕らが訴えていけるのは、民主主義に対する言葉で全体主義っていうのがありますけど、全体主義的な人たちを、僕らが変えていくこととか、僕らが説得していくこととか、議論していくこととかが、僕らができることなんじゃないかなって思います。

ウェーバーのいう「働く議会」をつくる

齋藤 ドイツの社会学者であるマックス・ウェーバーが、ドイツが第一次世界大戦に敗北したときに、ドイツの政治を変えなきゃいけない、そのためには「働く議会」をつくっていかねばならないといいました。

ウェーバーいわく、議会のいちばん大きな役割は、行政統制なんです。われわれ一般の市民は、質問権とか調査権とかを持っていないけれど、行政側は、官僚組織を背景に、さまざまな専門的な知識、法律で保護されるような知識を持っている。それを、完全でないにしても引き出せる力、権限が与えられているのが議会なんです。

議会のもっとも重要な役割は、立法するということよりも、行政を統制すること。さっきいったアカウンタビリティを実効化することなんですね。で。そういう面から見ても、働くべき議会が働いていない、というのはみなさん感じている通りだと思います。

ただ、議会が働いていたとしても、選挙だけが唯一、私たちの意見やイシューを形成して、代表させるチャネルではないので、いろんなルートがある。たとえば、直接デモクラシー、参加デモクラシーなどがそれです。参加のなかには、デモなどの直接行動が入るし、あと、ミニパブリックスというのもあります。

多様な意見を熟議できる場をつくる

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齋藤純一さん

齋藤 ここでミニパブリックスについても少し説明しましょう。あるテーマについて、ランダムサンプリングで市民の代表を15~20人くらい選んで2日ないし4日間くらい議論するんですよ。たとえばエネルギー政策について、じっくり意見交換する空間を制度的に作っているわけですね。

もし、私たちが十分な情報を得て、熟慮とか熟議とかができる、そういうプロセスを経たとしたら、ある問題について、ある政策について、私たちはどういうふうに考えるだろう、と。議論の後にそれをまとめて提出するんですが、受け取ったほうの市長や政府などは、今度は1年以内にそれに対して答えを出さないといけないというミニパブリックスもあります。市民が熟議したうえで出したレポートに対して、アカウンタブル、つまり答責性を担うんですね。

なぜこういう制度が重要かというと、フィルタリングが生じれば、自然発生的に、多様な意見を持つ人の間で意見交換するということがなかなかできなくなってしまうからです。で、結局、せまい範囲の中だけで意見形成を行っている。しかも、大手メディアに接する人がだんだん減ってきている。そうすると、バラバラになった公共圏を媒介するようなものがだんだんなくなってくるわけです。

もし、自然発生的に多様な意見の交換が成立しにくいとすれば、制度的に新たに作りだしていこうという趣旨ですね。もちろんお金がかかるから、政府とか市長とか、あるいは議会とかがそれをしなければならないわけですが。今年6月には静岡で、移民問題について話し合うミニパブリックスが開かれます。こういう制度で、多様な意見が交わされる空間を作っていく、という方法もあります。

直接デモクラシー

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元山仁士郎さん(左)、千葉泰真さん(真ん中)、是恒香琳さん

齋藤 あとは、ダイレクトデモクラシー、直接デモクラシーですね。たとえば住民投票などがこれにあたります。沖縄なんかがやっているのが直接デモクラシーです。

ちょっと古い話だけど、岐阜県の御嵩町っていうところがあって、ここに産業廃棄物の巨大な処分場をつくる計画があったんですが、木曽川にかかる渓谷があるんです。この計画を認めてしまうと、木曽川が汚染される可能性が非常に高くなってくる。