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議員の口利きがあれば入園できる? 都市伝説にも言及。保活事情の本当のところ

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「○○すれば保育園に入れる」というのは本当?


2016年の待機児童は23,553人。出生数は増えず、保育園は増え続けているのに、一向に減らない待機児童。

待機児童ワーストランキング1位の世田谷区など東京都内の各区をはじめ、千葉県船橋市や沖縄県那覇市など、保育所が足りない場所は局所的ではありますが、「働きたいのに働けない」「預け場所がない」と困っている保護者が、待機児童の数だけいるというワケになります。

さて、この狭き門である保育園に入れる活動を"保活"と呼ぶようになり久しいですが、この保活には様々な"ウワサ"や"都市伝説"が飛び交っています。例えば「議員さんに口を聞いてもらえれば入園できる」などと聞いたことがある人もいるのでは?

今回は、そんな"保活"について、様々な立場の人に「実際のところ」を聞いてみました。

議員さんの口利きはアリなのか


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なんといってもまずは「議員さん」です。私も何人もの人に「〇〇党の区議会議員に頼んだら入れてもらえた」「やっぱり議員さんに頼まないと、普通の共働きは入れないよ」などと話を聞きました。でもコレ、本当なんでしょうか?

「あくまで指数優先。自治体によっては同点で並んだ場合の優先順位まで公開している自治体もあり、不正は出来ないようになっています。杉並区では区議会議員のお子さんが認可保育園に入園出来なかったケースもあります」
(東京都子育て支援員/曽山さん)

なんと議員さんの子どもも入園できないことがある様子。議員さんが神通力をもつわけではないということがまず証明されました。

「議員の口利き、昔はあったような話も聞きますが、今は皆無です」
(世田谷区議員/佐藤美樹さん)

やはり昔はあったのかもしれませんね。昔があったなら今もあるんじゃないの? と意地悪な私は思ってしまいますが、本当のコト、教えてくださいヨ。

「待機児童がいるような都心部では入園選考はシステム化されています。また、ネットやSNSがこれだけ普及した情報化社会で、しかも待機児童が社会問題となっている現状で、役所が点数をごまかし、それが判明した場合のリスクは計り知れません。コネさえあれば入れるというのは、現代、特に都心では非常に困難です」
(目黒区議/山本ひろこさん)

まあ、冷静に考えればそういうコトになりますよね。表立って不正がされるようでは、今の情報化社会、大変なコトになってしまいます。

というワケで、「議員さんに口利き」路線はナシ! 議員さんに相談したら入れたという方は、たまたま時期的に重なっただけだったのでしょう。

申請書に窮状をたくさん書けば書くほど入りやすくなる?


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次によく保活中のママの間で囁かれるのがコレです。「申請書に、困っているってみっちり書いた?」「ベビーシッターにこれだけの金額がかかっているとかいっぱい書くと入りやすくなるわよ」と先輩ママからアドバイスされたかたもいるのでは? これに関してはどうなのでしょうか。

「入園選考はシステムで自動判定して優先順位が決まるので、採点基準の壁を超えて優先されることはまずありません」
(目黒区議/山本ひろこさん)

何千通もの申請書が送られてくるのですから、そうそう丁寧に見ているはずもないでしょう。ただし窮状を書いてもまったく意味がないかといえば、そうではない様子。

「軽い障害や疾病などがあり、認証保育所から断られ続けているなど指数として考えられていないような特殊事情がある場合には多少考慮されるケースがあるそうです」
(東京都子育て支援員/曽山さん)

というケースもあるようです。しかし、

「よほどの特殊事情があり考慮してほしい場合は、まず窓口で相談したほうが良いです」
(目黒区議/山本ひろこさん)

ちなみに私のケースですが、長男が入園したのは0歳児クラスの5月。通常だったら入れない超狭き門で入園したのですが、これには理由があります。

すでに平日5日間フルタイムで働いていて、無認可保育所にも預けていたという理由もありますが、それだけではおそらく入れません。「未婚で子どもを産んだ若い母で、産休がないから辞めてくれと臨月で職場から追い出され、無収入で出産し、妊娠中から福祉事務所に何度も足を運んで相談をしている問題アリな家庭」として区内でも目立った存在だったからと思われます。

福祉課の担当もついていて、週に1回は電話をくれるという間柄でした。ここまでのレベルになれば、きっと誰でもすんなり入れるかと思います。日本の福祉はある程度しっかり機能していると信じて良いでしょう。ちなみに11月生まれの長男が、なぜ5月入園になってしまったかというと申請書を出し忘れていたからです.....

なお稀に、保育園に入れたいがあまり「勤務証明書」を偽造する人もいます。しかし、これは止めたほうがいいです。

「知人の会社に就労証明書を発行してもらうなどの場合もありますが、偽装は必ずどこかから判明するもの。その後退園になるケースもあるし、不正をした場合にはその後の(下の子までも)入園申請に影響することがありますので、絶対にいけません」
(東京都子育て支援員/曽山さん)

悪いことをすると、ツケがあると思ったほうがよさそうです。

「優先順位として何を優先とするかは自治体の判断です。母子家庭で週3日労働の場合と両親がフルタイム共働きの場合、母子家庭の方が優先順位は低くなってしまいますが、それを不公平ととらえる方もいます。」
(曽山さん/東京都子育て支援員)


早生まれの子は入園しにくいから、出産月を計算して妊娠すべき?


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これもあるあるですが、「早生まれは0歳の4月で入園できないから、共働きをするなら早生まれを避けたほうがいい。4〜5月で産めば、育休も1年近く取れるから、計算して妊娠するべき」という先輩ママの声。これって一体どうなのでしょう?

「2月、3月生まれなどの場合、そもそも手続き面で、4月度の入園申し込み期限に間に合いません。待機児童があふれる現代で、年度内に0歳児クラスに空きが出ることはほとんどないので、翌年1歳児クラスから入園申し込みするしかないというケースが多いですが、それ以外は、他の子と同じ条件です」
(目黒区議/山本ひろこさん)

そう、つまり、認可保育園に預けられるのは、産休が明けた57日目以降から。4月の時点で57日になっていない2月生まれ、3月生まれはどうしたって入園することができないのです。そのため、自治体によっては、5月入園を作り、早生まれに対応しているところもあります。

「自治体によっては、早生まれの不利を是正するために入園の優先順位を上げている自治体もあります。お住まいの自治体が早生まれにどう対処しているのか確認することが大切です」
(東京都子育て支援員/曽山さん)

自分の居住地の自治体が早生まれにどのように対応しているかをあらかじめ調べておくことは必須といえるでしょう。でも、まだ2カ月になったばかりの小さな赤ちゃんを入園させるのは、やはり負担が大きいものです。

「入園しやすさでいうなら0歳入園の倍率が低いのですが、ウィルス感染や発熱による呼び出しの頻度が多いのも0歳です。少しでも身体が丈夫になり、体力もつく1歳からの方が子どもにとっては負担にはなりにくいのではないでしょうか。会社の状況や子どもの様子から復職の時期を見極めることが大切です」
(東京都子育て支援員/曽山さん)

働き方はイコール生き方、暮らし方にもつながってきます。赤ちゃんが産まれたら、「自分の人生を見つめ直す時期」だと思って、どんな働き方をしたいのか、どんな生き方をしていきたいのか...... 産休&育休中にじっくり考えるのもステキなことです。

もちろんその結果「共働きしようと思っていたけど専業主婦になろう」とか「会社勤めは辞めてフリーランスになろう」と決断する人も出てくるかもしれません。働くこと、自分の時間を持って生きること、そしてお金を稼ぐ事は大切なことですが、でも、それだけが人生じゃないですからね。

できることなら仕事を夫婦でスッパリ辞めて遊び暮らしたい〜! っていうのが理想ですが、一般庶民ですから、それはできないので悩みどころですね。

お答えくださった方々

<曽山恵理子さん/東京都子育て支援員(保育の情報提供)、こどもコワーキングbabyCo代表>
杉並区の待機児童問題に関わった後「子育ても仕事も楽しめる社会の実現」を目指し、こどもコワーキングbabyCoを立ち上げる。キャリアカウンセラーとして2,000件以上のカウンセリング実績を持つ他、女性の就業支援講座や就職セミナーの講師としても活動中。行政との協業を目指し、「杉並子育てサイト」の「すぎラボ」編集委員や子育て支援グループ「杉並こどもプロジェクト」の運営、地域の交流イベント企画、保育園入園相談にも携わる。東京都の子育て支援専門員(保育の情報提供)認定。中学生と保育園児の男女を育てるワーキングマザー。

<佐藤美樹さん/世田谷区区議会議員>
1971年生まれ、東京都出身。世田谷区上北沢で育つ。三菱信託銀行(現三 菱UFJ信託銀行)にて人材教育の起業に参画する傍ら、米国U.C.バークレー・ エクステンションに留学。その後、リスクマネジメント、内部監査および内部統 制を専門とする大手コンサルティング会社にて、金融機関、メーカー、通信事 業等、多数の内部監査・コンサルティングに従事。子育て当事者として、子育て支援に関する様々な政策や、2期目はダブルケア(子育てと介護の同時進行)関する問題提議や、認知症対策にも取り組む。

<山本ひろこさん/目黒区区議会議員>
1976年生まれ、広島県出身、埼玉大学卒業。以前は外資金融企業のシステ ムエンジニア。家族は、夫と幼い年子の3姉妹。保育園入所率ワースト1の目 黒区にて4年間連続で保活を経験し、行政のありかたに疑問を抱く。2015年 4月目黒区議会議員選挙に8位で当選(初出馬ではトップ)。 働くママを代弁し、早々に復職したいママにとって、いかに保活が複雑で大変 なものか、預け先が見つからない事の重大さを伝え、今すぐできる新たな策を 提言し続け、待機児童解消を推進している。日本維新の会、日本税制改革協 議会所属。

【ライター 中山 美里】
大人の女性のラブメディア「JESSIE(http://jessie.jp)」編集長。夫とともに編集プロダクション「オフィスキング」を営む。
22歳の時、未婚で長男を出産。その後、32歳で結婚。子どもは15歳&3歳(♂)、0歳(♀)。ベビー雑誌からスタートした出版人生だけど、なぜか性に関する記事をメインに書くように。著書に「16歳だった」(幻冬舎)、「漂流遊女」(ミリオン出版)など。

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