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北朝鮮人権侵害の責任者を国際刑事裁判所(ICC)に立たせる日まで

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12月10日は、世界人権デーだった。

1948年12月10日、国連総会は人間の最も基本的な権利を世界普遍的に保障するとする世界人権宣言を採択し、このことを記念して12月10日を「世界人権デー」と決めた。

世界人権デーを迎え、各国では世界最悪の人権侵害国家とされている北朝鮮の人権状況の改善を求める様々な行事が開かれた。

日本も毎年12月10日から一週間を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」としており、今年も日本政府主導で、北朝鮮当局による日本人拉致被害問題など北朝鮮の人権侵害の実態を広く知らせる行事が行われた。

国連安保理も前日の9日、緊急会合を開いて北朝鮮の人権問題を正式議題に採択、北朝鮮当局による北朝鮮住民および他国民に対する人権侵害を強く批難した。さらに、金正恩を名指しして人権侵害の責任を問い、彼を「人道に反する罪」を起こした犯罪者として国際刑事裁判所(ICC)に回付すべきだという主張も出た。

今、国際社会は北朝鮮の人権侵害実態を知らせて共有する段階を越えて、これに関する責任と処罰を議論する段階に来ているのだ。

=====国際の人権非難に逆ギレする北政権


このように国際社会から「最悪の人権蹂躙国家」と烙印を押された北朝鮮が、世界人権デーに「韓国とアメリカ、日本の方が人権後進国である」と逆に攻撃をするといった突拍子もないことがあって、北朝鮮が笑い者になっている。

北朝鮮の海外宣伝メディアの「わが民族同士」は10日「国や民族によって歴史・風習・生活様式がそれぞれ違うだけに、人権保障制度もその国の人民の要求に合わせて設定すべきである」「人民大衆中心の我が社会主義制度くらいに人権が徹底保障されている国はどこにもない」と主張したのだ。

また、北朝鮮の機関紙の「労働新聞」も同日の論評で「国連の舞台で人権が敏感な政治的問題として提起されている」「それは他国に対する内政干渉と侵略を正当化する口実として悪用されている」と主張し、9日の安保理の緊急会合に関しても「悪辣な敵対行為」と強く反発した。

改善どころか反省の気配も一向にない北朝鮮政権。今現在、国際社会では国際刑事法に則って北朝鮮の人権侵害行為を断罪すべきというコンセンサスが形成されている。国連の公式会議においても金正恩と北朝鮮指導部を人道に反する罪の疑いでICCに回付しようというのが衆論である。

私も北朝鮮政権の無知と強弁は常識と国際法に則って罰して正さねばならないと考えており、既に色々なNGOが安保理の決意を促す請願運動などを繰り広げICC回付主張に力を添えている。

=====なぜ、ICCか


もちろん、まずは

#国際社会が歯止めをかけなければ人権侵害さらに深刻に

北朝鮮政権による人権侵害の実態は、脱北者らの生々しい証言から十分確認できる。

また、国連の「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」が行った北朝鮮による食糧権侵害・収容所人権侵害・拷問と非人間的な待遇・恣意的な拘禁・差別・表現の自由の侵害・生命権の侵害・移動の自由の侵害・他国民の拉致と強制失踪問題などを対象にする大規模な調査結果からも分かる。

COIは2014年に公開した最終報告書で、北朝鮮による人権侵害を「人道に反する罪」と規定し、その刑事責任を金正恩をはじめとする北朝鮮の支配層が取るべきであると明らかにした。

国際社会がある日いきなり国際刑事法による処罰を主張しはじめたわけではない。それこそ、特定国家および地域に対する主権侵害・内政干渉の行為になりうる。国際社会は北朝鮮による深刻な人権侵害を認識してから客観的な調査を行ってきており、その結果を根拠に、北朝鮮当局に改善するよう我慢強く求めてきた。

しかし、北朝鮮は全ての証拠を否認し、かえって証言をした脱北者を脅かすなど改善の態度は示していない。だからといって、北朝鮮内部の事であると放っておくには北朝鮮住民の人権状況は悲惨そのものである。さらに、北朝鮮は拉致や核実験など他国民に対する人権侵害行為も図っているため、国際法による制動が必要な時点なのだ。

考えてみれば、北朝鮮のみならず、アフリカや中東地域にも独裁政権がまだ存在しており、権力による組織的な人権侵害がたくさん行われている。だが、だからこそ、最も悪辣で最悪の水準である北朝鮮を処罰する先例を残すことによって、人権を軽んじて侵したら必ず罰を受けるという一般論を世の中に根付かせる義務が我々にはある。

# 北朝鮮核問題の解決のためにも

私は

【北朝鮮の核開発→国際社会の制裁→核開発資金の不足→住民搾取(=人権侵害)→資金確保→北朝鮮の核開発→国際社会の制裁→...】

といった「負のスパイラル」について何度も触れてきた。北朝鮮の核開発を止めるためには、このスパイラルのどこかを断ち切らなければならないという論理である。

そこで「国際社会の制裁」は北朝鮮の核開発を認めないという世界の決議を見せる象徴であると同時に、北朝鮮への外部資金を遮断する実質的な手段でもあるため、外すことができない。北朝鮮政権は制裁が強化すればするほど内部の住民を苦しめて資金を絞り出そうとするだろう。

言い換えれば、北朝鮮政権にとって「人権侵害」は、国際社会の制裁をすり抜ける「穴」なのだ。だから、国際社会はこの「人権侵害」の部分を厳しい刑事審判で攻めて「負のスパイラル」を断ち切らねばならない。そうすれば、北朝鮮も核開発を続けることがだんだん難しくなると考える。

ちなみに、世界人権デーの前日に開かれた安保理の緊急会合で日本の別所浩郎(べっしょ・こうろう)国連大使も「北朝鮮政権は核および弾道ミサイルの開発より北朝鮮住民の福祉に力を注ぐべき」と主張し、北朝鮮政権が「住民の人権を犠牲にして核ミサイルの開発を続けている」と北朝鮮人権問題と北朝鮮の核開発との関連性を指摘している。

# 金正恩除去も可能に

国際社会が金正恩をはじまとする北朝鮮指導部をICCに回付しようとする名分は、「国際刑事裁判所に関するローマ規程」第7条「人道に対する犯罪」の疑いであり、つまり「人権」がポイントとなっている。

しかし、本当の目標は北朝鮮独裁体制の頂点にいる「金正恩」を除去することなのかもしれない。なぜかというと、北朝鮮政権が住民の人権を認めないで暴政を続けることも、核・ミサイルで国際社会を脅かすことも、全て時代遅れの独裁体制を維持するためである。

したがって、北朝鮮独裁の核心で象徴である首領金正恩を政権から取り除くことは、北朝鮮住民の人権だけでなく国際社会の安定と平和のためにも重大な課題である。

この場を借りて、私が北朝鮮で目にして耳にした「北送同胞と日本人妻」(朝鮮人帰国事業で北朝鮮に送還された人々と彼らと結婚するなどの事情で一緒に送られた日本人のことをいう)に関する話を共有する。

今後、北朝鮮の人権問題が本当にICCに回付されたら、金正恩と北朝鮮指導部を裁く時にこのような証言が有効な根拠になると信じて。

映像をご覧になる読者の皆さんにも、私が伝えるこの話が北朝鮮の主張のように、民族それぞれ違う歴史・風習・生活様式を考慮したら容認できる範囲なのか、この状況を放っておくことができなくて国際社会が力合わせで歯止めをかけようとすることが内政干渉に当たるのか、ぜひ判断してほしい。


イ・エラン 韓国・自由統一文化院 院長、1997年脱北