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「セクマイも鬱もオープンにしたい!」 ダブルマイノリティーが働こうとしたらこうなった

2017年03月01日 23時22分 JST

セクシュアルマイノリティーであり、さらに身体障害や精神障害などがある人たちのことを「ダブルマイノリティー」という。普段なかなかクローズアップされない彼らだが、就労する際に深刻な問題を抱えることがある。

そこで、以前に引き続き、トランスジェンダー(MtF)でADHD・学習障害を抱えるゆむさん(仮名・20代)と、同じくトランスジェンダー(FtM)でADHD、うつ病を抱えるあすとさん(仮名・20代)、ゲイで自律神経失調症を抱えるあおさん(仮名・20代)の3人に、働くことについて語ってもらった。

面接で落とされたとき、性別に負けた!って思った

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▲雀荘でバイトしたかったんですよね、と話すゆむさん

――以前、ツイッターにセクシャルマイノリティーであることが、就職を難しくしていると書いているのを見かけました。具体的には何があったのですか?

あすと:ある企業のインターンに行ったときなのですが、何日間か一緒に活動して、仲良くなった人たちに、自分がFtMだということをカミングアウトしたんですね。

そしたら、次の日から誰も目を合わせてくれなくなりました。自分としては、今後一緒に働く可能性のある人たちに、偽りの姿を見せたくないと思ってしたことだったので、かなりショックでした。

ゆむ:履歴書の性別欄を見られて落とされたことがあります。私はMtFなのですが、戸籍は男性のため一応「男」に丸を付けました。

そしたら、履歴書を見る前は~さん付けで呼ばれていたのが~君となって......結局不採用でした。

他にも落ちた理由はあったのかもしれませんが、自分が表明した性別を否定されたようで悔しかったです。身体の性別に負けた!と感じました。

あすと: セクマイにとって、履歴書の性別欄は本当に鬼門。私の場合、履歴書には「男」に丸を付けるのですが、就活をしていた当時はまだ戸籍を変えていなかったので、住民票や戸籍上は「女」のままでした。

なので、書類と照らし合わせた時、嘘をついていると判断されそうで不安でした。間の「・」に丸を付けたかった。

就活では、セクマイのことをオープンにできる企業を中心に受けていました。

しかし、それを表明している企業は本当に少ないし、ほとんどが大企業です。もちろん。説明会などで質問すると、ほとんどの企業が「人物重視」の採用活動をしますと答えます。

でも、面接でオープンにすると困惑されることが多い。想定外なんだと思います。「まさか実在したとは!」みたいな対応をされる。

一般の人たちは、セクマイに対する知識も興味もないんだろうなと感じます。だから、今「真っ当」に就職するなら、セクマイであることは隠したほうがいいんでしょうね。

やっぱり自分は...

――就職や採用試験の面で困難を感じたことはありますか?

あすと:大学で就活をしていたころは、卒業論文と就活の両方を同時にやらなければいけなかったので、かなりプレッシャーを感じて不安になりました。

今はだいぶ落ち着いていますが、酷いときは自分のコントロールができなくなってしまいます。就活どころじゃない。

あと、ADHDの症状で、採用面接のときに喋りすぎてしまうことがありました。その時に、自分がADHDであることも面接官に説明するのですが、分かってもらうのはなかなか難しいみたいですね......。

あお:体調が悪くなったときから、仕事中のミスを指摘されたり、自分のセクシュアリティのことをからかわれたりしたときにうまく対処できないんです。ちょっとした嫌な気持ちやいらだちが大きなストレスになる。

そうなると、仕事を休む日が多くなったり、働く意欲がなくなったりして、結局辞めざるを得なくなってしまうんです。だから、なかなか続かない......

ゆむ:自分の場合は漢字が書けないんです。読めるしスマホでも打てるんだけど、いざ手で書くとなると頭が真っ白になるというか......とにかく「書けない」。

普通の人が当たり前にできることが自分にはできない。そんなとき「あ、自分は障害者なんだ」って思うなあ。

採用面接で「どうやってエッチしてるの?」って

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▲「これからはとりあえず蒼井そらさんと言っておきます」と笑うあおさん
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――職場でオープンにしづらい環境がある?

あお:働いているとやっぱり、好きな女性のタイプとか聞かれるんですよね。男性同士だと、好きなAV女優の名前とかね。もう知らんがな! ほっとけ! って思う。

その場にいる人全員が異性愛であるという暗黙の前提があるんですよ。そんなことを聞かれるたびに、女性を好きにならなきゃいけない社会も、女性を好きになれない自分も全部、嫌になってくるんです。

あすと:セクマイだって言った瞬間にあれこれ聞かれたりするんだよね。以前、一応は大企業と呼ばれる会社の面接で「どうやってエッチしてるの?」って聞かれたことがあります。信じられないでしょ?

ただただ気持ち悪かった。セクマイだからいつでも下ネタOKだと思われているのかな。

そういった失礼な質問をされると、もちろん傷つきます。でも、採用面接だし、反発しても面倒くさい人呼ばわりされる。そういった嫌な思いがストレスとなったこともあり、就活で体調が悪化しました。

精神面が崩れると、就活もできなくなるんですよね。不安定だと頑張っても受からない。

障害者枠でも窮屈

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▲ゆむさんとあすとさんの障害者手帳

――障害者枠での就職活動はしていましたか?

ゆむ:自分はADHDや学習障害があるので、最初から障害者枠ですね。でも、ひとくくりに「障害者」といっても、軽度から重度まで様々なレベルがあります。

私は比較的軽度の障害なので、6時間かけて行う仕事でもあっという間に終わっちゃう。だから、障害者なのに障害者枠だと窮屈なんです。

あすと:カウンセラーに勧められて、説明会に行ったり、採用試験をいくつか受けてみたりはしました。けれど、そもそも採用人数が少ないし、受けている人数も多すぎて一般枠より倍率が高いこともあったんですね。

あと、身体障害も精神障害も同じように扱われる企業が多く、ちょっと疑問に思いました。精神障害は目に見えないので「なまけ」だと思われたり、明確な配慮が難しいから嫌厭されたりするのかな......

カミングアウトってリスクのある行為だから

――どうしたら働く上での生きづらさを解消していけると思いますか?

あすと:性の話や障害、病気の話をもっと気軽に話せる環境が本当に必要。当事者だけではなくて、普通の人ももっと巻き込んで話したい。

最近は「カミングアウトすれば受け入れるよ?」みたいな雰囲気もできてきたけれど、カミングアウトってリスクのある行為だから。

そもそもオープンにできる環境がないとしんどすぎる。もし職場でインターンの時みたいな状況になったら耐えられない......。

あお:私はダメな時に頼れる誰かや居場所が欲しいんですよね。例え社会に受け入れられなかったとしても、それだけで精神的余裕が違うんです。

ちょっと前はパートナーがいたんですけれど、互いに頼れる人が相手しかいなくて、結局ひどいことになっちゃった。だから、自分が安心していられる場所がいくつかあれば理想的です。

――もしオープンにできる環境が整ったら働きたい?

ゆむ:私は環境関係なく、性別が決まったら働きたいですね。今は正直働ける状態じゃないから。今まで感じてきた、自分と周囲の人の間にある壁みたいなものはこれからもなくならないでしょ。

あお:私ももうしばらく無理かなあ......。周りの環境というか、自分の体調をまず直さないと。今は自分自身に向き合うだけで精一杯です。

あすと:もちろんです。そしてできれば、セクマイや障害、うつに理解のある職場で働きたいですよ。私たちのような立場の人だったら誰でも同じなんじゃないかな。

でも、今の自分は社会の中で何の役にも立っていないと感じていて、それがとても苦痛。体調の起伏が激しいので不安はあるけれど、もし採用されたらすぐ働きたいですね。