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食をテーマにした大胆な地域再開発プロジェクトがパリ3区で始動!

2014年05月17日 14時15分 JST | 更新 2014年07月12日 18時12分 JST

今年1月、パリ3区の3つの通りにある約30店舗を購入し、地区ごと再開発するというプロジェクトが発表されました。中心人物は若手投資家セドリック・ノードンさんで、プロジェクト名は『ラ・ジュンヌ・リュL a Jeune Rue(若い通り)』。

場所は交差する3つの通りで、ヴェルボワ通り(rue verbois)とヴォルタ通り(rue Volta)、ノートル・ダム・ドゥ・ナザレス通り(rue Notre-Dame de Nazareth)。店のほとんどが、食に関する店に改装され、4月から順次オープンしていくそうです。

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ヴェルボワ通り。いまのところ14店舗のオープンが決まっています。既に工事中らしき店舗もありました。

投資家であるノードンさんは、料理やデザインにも精通。ミシュラン・ガイドで1つ星を獲得しているパリ4区のレストラン『セルジャン・ルクリュトゥール』のオーナーとして知られています。

同レストランで生産者から直接届く食材を使いながら、「環境を守りながら栽培・生産された食品が手に入る、現代的な場所を創りたい」と考え始めたそう。食と文化が混在して、住民も旅行者も足を運ぶことができる場所-。こうして今回のプロジェクトが生まれました。

オープンが予定されているのは、チーズ店、パン屋、食肉店、魚屋、魚専門レストラン、タパスバー、アイスクリーム店、韓国風ストリートフード店、クレープ店、日本の包丁専門店など。

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ヴェルヴォワ通りとヴォルタ通りの交差点。角の建物はお菓子&パン屋さん、レストラン、魚屋さんになる予定だそう。

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ノートル・ダム・ドゥ・ナザレス通り。1階が商店、階上がアパルトマンです。

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古い電気屋さんの外壁がそのまま残っています。こうした外観はそのまま残して、内部のみ改装されます。

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ヴォルト通りの端。右の角はスーパー。

注目すべきは、ここで販売される食品が、すべて仲介業者を通さず、生産者から直接届けられる質の高いものであるということです。

たとえば、伝統品種の肉、生乳で作ったチーズ、小麦の栽培から行っているローラン・フイヤスさんのパン、パーマカルチャー(=永続的な農業。環境に配慮するだけでなく、すべての生命システムも配慮し、地域全体も設計するという考え方)を実践する農園ラ・フェルム・ドゥ・ベック-エルアンの野菜や果物など......。

また『ラ・ジュンヌ・リュ』のレストランなどで使われる食材の準備のため、パリ12区に1000㎡におよぶ独自のラボも準備。200~250人の新たな雇用が見込まれています。

食以外では、ギャラリーや文房具店、金物店、そして2015年には映画館もオープンする予定。リストには"日本のクラブ"もあり、どんなコンセプトになるのか、興味しんしんです。

さらに、各店舗の内装を担当するのは、世界的に知られるデザイナーたち。

イタリア人ミケーレ・デ・ルッキが肉屋、イギリス出身のトム・ ディクソンは魚屋、フランス人のジョゼ・レヴィは自身のショップと金物店、スペイン人のハイメ・アジョンが日本のクラブと製粉所、イギリスのジャスパー・モリソンがタパスバー、イタリア人パオラ・ナヴォーネが韓国風ストリートフードと、豪華な顔ぶれです。

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35人のデザイナーが参加。この地図には担当するデザイナーの名前が書き込まれています。

ヴェルボワ通りやヴォルタ通りでは、パリ市が改装を進めているアパルトマンもありました。これほど食品店が充実した地区に住めるなんて、うらやましいかぎりです。ただ、地区が注目されて人気の地区になれば、アパルトマンの価値が上がり、人通りも多くなり、課題も生まれてくるかもしれません。

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ヴェルボワ通りのアパルトマン。

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ヴェルボワ通りで改装中の建物。14棟のアパルトマンが入るそう。

プロジェクトの根底に流れるのは、「よりよく生産し、よりよく食べ、よりよく生きる」という思い。ここから新たな価値観と文化が生まれることを期待しながら、今後の行方に注目していきたいと思います。日本でも今回のように食品の充実した地区のマンションといった、地域の特性の際立たせて差別化することで、資産価値を高めるといった動きも出てくるとおもしろいですね。

ライター/写真 三富千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。